人口減少超高齢社会、単独世帯の増加や共働きの中での子育て等、昭和の時代と異なる時代背景がある中で、昭和の時代から令和の時代にあった町内会にどうアップデートできるのか。まず時代背景について「元気な町内会のつくり方」(松下啓一氏著)では、以下の様に指摘しています。(要旨)
昭和の町内会の背景について、産業構造の違いや勤務地と住所がちがうという指摘、時代背景はまず、こうした構造が違います。農業や林業、漁業などの第一次産業が中心の時代は、地域を基盤とする町内会は、住民に身近な存在。戦後、日本の産業構造は、技術進歩と経済成長に伴う消費費目の変化によって大きく変化。
1950年代後半以降、高度経済成長を経て急速に工業化が進展し、第二次産業の割合が上昇しましたが、1970年以降は、第二次産業の割合は徐々に低下。代わって第三次産業のウエイトが高まりました。商業、運輸、情報通信、飲食や観光などのサービス業などに従事する人が増えると、住まいは横浜、勤務は東京という職住分離の暮らしが普通になりました。それまでの連綿と続けてきた町内会が時代に合わなくなってしまいました。
家族の形態も戦後は3世帯家族が40%近くを占めていましたが、昨今では5%を切っている状況。夫婦と子どもの世帯も近年は一貫して減少。それに代わって、じわじわと上昇しているのが、夫婦のみ世帯と単身世帯。世帯単位の町内会は、組織率は同じでも行動のパワーは弱体化しています。
戦後につくられた日本の福祉制度は、三世代同居家屋を前提に構築されています。三世代同居では、働き手も複数なので経済的にも安定。家族の中に経験者がいるので、妊娠、出産、育児に対する不安や負担も軽減されます。介護が必要になった時の支え手も多くいる事になります。
ところが、高齢者の単身家族や夫婦二人世帯では、これまで自助でできることができなくなった事が課題になります。病院の付き添いやゴミ出し等、従来なら自助の範囲内でできたものが人の手を借りないとできないケースが増加しています。この様に、三世代が多かった時代の発想でそのまま活動している町内会では、市民ニーズとずれてしまいます。
こうした現状を無視して、あるべき改革を町内会へ丸投げしても先に進みません。町内会の現状や力量を踏まえた現実的・実践的な改善案を示す事が必要です。
そもそも町内は必要なのか、地域の清掃、美化、防犯、防災、消防、交通安全、ゴミ処理、リサイクル、公害、自然保護、高齢者支援、子育て支援、青少年育成、祭りやイベント、伝統芸能など数えきれない程あり、“まちづくり”の根幹です。多くの人によって支えられ、参加せずとも、それだけ人任せにしているとも言えるものが山ほどあります。
それでは、昭和の時代から令和の時代にあった町内会にどうアップデートできるのか。どうしたら良いか、それが課題です。