昨日28日付の公明新聞土曜特集に「災害法制に福祉の視点を」との見出しで、大阪公立大学大学院 菅野拓准教授へのインタビュー記事が掲載をされていました。
その中で、菅野拓准教授は、東日本大震災以降、避難生活での身体的、 精神的負担の増加などによって引き起こされる「災害関連死」 の防止が重要な課題となっている。能登半島地震でも、災害関連死は261人(24日現在)に上り、 災害時の直接的な被害による死者数を上回っていると指摘。
災害関連死を招く大きな要因の一つが、地域の福祉機能の低下。 被災地では福祉サービスの継続や早期再開が難しく、 高齢者や障がい者などの「要配慮者」 が適切なケアを受けられずに体調を悪化させる。 せっかく助けられた命を守るためにも、 災害時に福祉的な支援を迅速に提供することが重要。
能登半島地震では、社会福祉士や介護福祉士、 保育士などの専門家で構成され、 避難所での生活を福祉の面で支援する「災害派遣福祉チーム」( 通称・DWAT、一部地域ではDCAT) が各地の避難所や福祉避難所に派遣され、 避難所の環境整備や被災者の相談支援、 日常生活支援などに当たりました。そこで課題となったのは、在宅や車中泊で避難生活を送る人への支援だ。 避難所での生活が困難なことや、 受け入れられる避難先がないことで、高齢者や障がい者が、 在宅などでの避難生活を強いられることも多いとの事。
続けて、菅野准教授は、災害や被災者支援に関する法律は、避難所や仮設住宅などの「 場所」を支援することに重きを置いているが、 被災者が誰一人取り残されることなく生活再建を実現するためには 、支援の焦点を「人」へと転換する必要がある。個人の「尊厳」の保持を災害対策基本法の目的に規定するなど、「 場所の支援から人の支援へ」 との理念を災害法制の中で明確化すべきだと話されています。災害救助法に定められる救助の種類には「医療」や「助産」 、「避難所の供与」などはあるが、「福祉」 は位置付けられていない。そのことが、 災害時の福祉支援の脆弱性につながっていると指摘されてもいます。今回の能登半島地震の教訓を踏まえ、“訪問型” の相談支援を含む、介護や生活支援などの「福祉サービス」 を救助の種類として法律に盛り込む必要があります。
自治体という視点では、日頃から福祉には関わっているが、 現場でケアを担っているのは、社会福祉法人やNPO、 企業といった民間です。災害時には、 こうした民間による取り組みがなければ、その地域の被災者の「 福祉」は立ち行かなくなります。多様な課題に対し、伴走型で支援する「災害ケースマネジメント」 の各地の取り組みなどを参考に、 普段から関係者が集まる場を設けるなど、“官民協働” を強化していく仕組みづくりを進めるべきと示されてもいます。
国と連動して、災害時に誰も取り残さない支援の充実を進めて行く事が重要です。こうした事を、日常の要配慮者への視点「 場所の支援から人の支援へ」で防災・減災に取り組み事が必要です。(参:公明新聞12月28日付土曜特集)