横浜市では、令和6年能登半島地震の状況などを踏まえ、市の地震防災対策を強化するため、新たな横浜市地震防災戦略の検討を進めています。新戦略の策定では、令和6年能登半島地震 等を踏まえ、改めて能登半島地震の被災地支援にあたった横浜市職員の声や、防災・減災に関する市民アンケー トなどを踏まえ、必要な取組を検討し、被災地で直接得られた教訓や市民の不安・現状等に 応える「市民目線」を反映した戦略とします。
横浜市会第4回定例会、公明党横浜市会議員団の一般質問では、「自助・共助のさらなる推進」、災害時には避難所ともなる「学校体育館空調整備」「避難所で健康に生活するための対策」「災害用トイレの充実」「避難所での温かい食事の確保策」等質問。(以下 要旨)
●能登半島地震から、間もなく1年ですが、本市としても延べ1,600名を超える職員の派遣など、様々な支援をされてきていると聞いています。我が党はかねてより、防災・減災を政治の主流に掲げ、自助・共助・公助による取組の重要性について訴えてきました。地震発生時には、自助の取組が大切ですが、本年度のアンケートで、各家庭の3日分以上の備蓄率は、食料は約6割、トイレパックはわずか3割程度でした。来年は阪神淡路大震災から30年という節目でもあり、家庭での備蓄を促進する周知啓発が必要と思います。
《質問》家庭内での備蓄を促進するための周知啓発を更に進めるべきと考える市長の見解を伺う。
《市長答弁》まずは、家族構成などに応じて最低3日分を備蓄していただくことが必要だと思います。非常食に代わり、レトルト食品など、普段の買い置きをローリングストックすることで必要な備蓄量を維持していくことも可能です。こうしたことを広報よこはまやSNS等を活用して周知を行うとともに、各種研修や企業連携などによって、啓発活動の強化を引き続き図ってまいります。
●被災地では未だに倒壊した家屋が多くあり、加えて9月の大雨により、更なる被害が発生しました。本市でも、大規模な災害が発生した場合には、一次避難所となる地域防災拠点での長期の避難生活を余儀なくされる状況も想定され、避難所で避難者の健康をどのように維持するか検討が必要と考えます。
《質問》避難所で健康に生活するための対策を検討すべきと考える市長の見解を伺う。
《市長答弁》避難所でのプライバシーの確保などの生活環境向上や栄養面などの充実のほか、感染症の危険もありますので、感染症の拡大防止に向けた衛生面での取組が重要であると考えております。あわせて、医療、保健、福祉関係のチームとの円滑な連携も必要になります。現在、検討を進めている新たな地震防災戦略に避難所環境の改善を盛り込むことで、しっかりと対策を講じてまいります。
●能登半島地震においても、避難生活を送る上での食事の確保といったことも課題になりました。発災時にはどうしても調理が不要で簡単な非常食が中心になると思いますが、やはり、温かく、バリエーションのある食事は、心身の健康を保ち、災害関連死の予防にもつながると思います。
《質問》避難所での温かい食事の確保策も検討すべきと考えるが市長見解を伺う。
《市長答弁》避難生活で温かい食事が食べられることは、避難者の健康や安心にもつながると考えています。その観点から地域防災拠点には炊き出しができる資機材を配備しているところです。能登半島地震においても、民間団体などによる炊き出しが行われた事例が多くありました。こうした事例を参考にしながら、民間団体との連携などについて、検討を進めてまいります。
●先月発表された、政府の経済対策では、「防災・減災及び国土強靭化の取組」として、「地方自治体の避難所環境整備などの取組」に対する財政支援のメニューも含まれており、我が党が政府に申し入れた提言なども随所に反映されています。避難生活の長期化を想定した対策には、このような国費の活用もしっかりと検討していただくことを要望します。災害時のトイレ対策について、我が党では、水洗式で個室も広く、バリアフリーにも対応した、快適なトイレ環境を提供できる災害用トイレトレーラーの重要性を訴えてきております。
現在、本市では、昨年5月に市内企業からの寄贈を受けたトイレトレーラーを1台保有しておりますが、石川県輪島市に派遣されているため、今この瞬間に横浜が被災した場合にはトイレトレーラーがない状態になります。新聞報道によると、国でも被災地のトイレ対策について議論がされていると聞いていますので、本市においても、推進していただきたいと考えます。
《質問》災害用トイレトレーラーを追加導入すべきと考えるが市長の見解を伺う。
《市長答弁》令和6年度実施の防災・減災の意識、取組に関する市民アンケートにおきましては、「避難所で避難生活を送る際にトイレの設備が心配」だという声が実に7割ありました。トイレに関する不安を抱えている方が多いという結果であります。今後、避難先で安心して過ごしていただくためにも、トイレトレーラーの追加導入の検討も含めて、災害時のトイレ対策の充実を図っていきます。
●体育館の空調設置については、教育環境の充実はもとより、放課後キッズクラブや学校開放など地域に根差した学校施設としての役割、そして地域防災の観点からも必要であり、わが党が以前より主張してきました。その結果、令和3年度から本格的な整備が始まり着実に進められているところです。
《質問》現在の体育館空調の整備状況について教育長に伺う。
《教育長答弁》今年度末時点で体育館501棟のうち、115棟に設置が完了し、23%の設置率になっております。
●横浜市は整備対象となる学校数が特に多いことから、現在は10年程度で整備を完了する計画と聞いています。一方、能登半島地震では、冬季に体育館避難所が設置されたことで、空調整備の必要性が改めて認識されました。特に、先月、国が示した「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」においては「防災・減災及び国土強靱化の推進」を目的として、「学校体育館への空調整備について、ペースの倍増を目指して計画的に進める」との方針が示されました
《質問》国の動きとも連携し、体育館空調整備の計画を前倒しすべきと考えるが市長の見解を伺う。
《市長答弁》国が公表した経済対策の中で、避難所となる学校体育館の空調整備を促進する方針が示され、各自治体へ通知が出されたところです。こうした状況を追い風としながら、現在検討している新たな「戦略」の中で、避難所としても重要な役割を担う学校体育館の空調整備を、前倒しする方向で考えております。
●学校では体育館以外にも、給食室溶離室への空調整備や、教室の空調の更新を進めていく必要がありますが、中学校の武道場についてはまだ整備の議論が進んでいないと伺っておりますので、ご検討を進めていただくよう要望します。能登半島地震では、耐震化されていない水道管が破損し、長期にわたり大規模な断水が発生する事態となりました。改めて「水道」が使用できることの大切さを認識するとともに、医療施設や人が集まる避難所等の施設について、接続する管路の耐震化を図る必要性を強く感じました。先月公表された国による緊急点検結果では、上下水道施設の耐震化が遅れていることが判明し、当時の斉藤国土交通大臣が「耐震化を計画的・集中的に進め、強靭で持続可能な上下水道システムの構築を図りたい」と発言しています。
横浜市においては、これまでも地域防災拠点や応急復旧活動拠点、災害拠点病院などの学校では体育館以外にも、給食室溶離室への空調整備や、教室の空調の更新を進めていく必要がありますが、中学校の武道場についてはまだ整備の議論が進んでいないと伺っておりますので、ご検討を進めていただくよう要望します。
能登半島地震では、耐震化されていない水道管が破損し、長期にわたり大規模な断水が発生する事態となりました。改めて「水道」が使用できることの大切さを認識するとともに、医療施設や人が集まる避難所等の施設について、接続する管路の耐震化を図る必要性を強く感じました。先月公表された国による緊急点検結果では、上下水道施設の耐震化が遅れていることが判明し、当時の斉藤国土交通大臣が「耐震化を計画的・集中的に進め、強靭で持続可能な上下水道システムの構築を図りたい」と発言しています。
本市においては、これまでも地域防災拠点や応急復旧活動拠点、災害拠点病院などの施設へ接続する管路の耐震化事業を進めており、これらの重要施設の耐震化状況を公表しています。重要施設への管路の耐震化については、過去の大規模地震の状況を踏まえ、被害が集中している小さく細い管路を中心に整備を進めるとともに、水を確保する設備のない重要施設や医療機関は、令和9年までの横浜水道中期経営計画期間中に耐震化を完了させる、と聞いています。しかし、水を確保する設備はあるものの、耐震化されていない施設も含め、すべてを耐震化するには、まだ時間がかかり、これら施設の耐震化をどのように進めていくのか気になります。
《質問》重要施設へ接続する水道管路の耐震化に向けた今後の取組について水道局長に伺う。
《水道局長答弁》災害拠点病院等や、水を確保する設備のない地域防災拠点への耐震化を令和9年度までに完了させます。また、改築により受水槽の撤去が予定されている拠点や小規模な受水槽しかない拠点の整備を優先的に進めます。これらを含め、すべての重要施設への耐震化が早期に実現できるよう、国からの財政支援についても引き続き要望していきます。
●耐震化にあたっては財源確保や、局をまたがる情報共有など、課題がありますが、重要施設へ接続する管路の耐震化事業は、我が党としても災害時の市民の皆様の命を守る大変重要な取組と考えています。今後も耐震化事業を着実に推進していただくことを要望します。