新たな横浜市地震防災戦略の検討

横浜市では、令和6年能登半島地震の状況などを踏まえ、地震防災対策を強化するため、新たな横浜市地震防災戦略の検討を進めています。本日の政策経営・総務・財政常任委員会にて、新たな横浜市地震防災戦略(素案)の策定状況の報告がありました。

令和6年1月1日、石川県能登半島地方を襲った最大震度7の地震も、多くの人命や家屋、ライフライン等に甚大な被害をもたらしました。現地で支援にあたった延べ 1,600 名の横浜市職員は、被災地の厳しい状況を目の当たりにし、耐震化や自助・共助の推進など、これまで進めてきた取組の重要性を再確認するとともに、避難所環境や物資、配慮を必要とする方への支援に関する課題や、在宅避難等への対応について、横浜市でも早急に対策をとるべきとの教訓を得、この事も反映されています。

横浜市地震防災戦略とは、市の防災計画に定める大規模地震の被害を軽減する施策について、市役所の具体的な取組をまとめた行動計画(アクションプラン)になります。横浜市地震防災戦略は、平成 25 年度から策定・運用していますが、継続・拡充する取組や新たな取組を新戦略として策定されます。市民目線の反映として、 市民目線の能登半島地震の被災地支援にあたった職員の声や、防災・減災に関する市民アンケートなどを踏まえ、必要な取組を検討し、被災地で直接得られた教訓や市民の不安・現状等に応える「市民目線」を反映した戦略としています。

「自助・共助の推進」についても、能登半島地震でもその重要性が再確認されたことから、「一人ひとりの備えと地域の絆」をより一層浸透させ、自助・共助のさらなる推進を図る戦略されています。

戦略の4つの柱では、①市民や地域の“発災前からの備え”の強化/防災行動の促進及び多様な助け合いの強化(自助・共助の推進)、地震火災対策の推進、建物倒壊等の防止対策強化、災害時にも活きるまちづくりの推進により、市民や地域の“発災前からの備え”を強化します。②誰もが安心して避難生活を送ることができる仕組みの構築/避難所環境の向上、物資支援の充実、配慮が必要な人(災害時要援護者)への支援、多様な避難への支援、早期の生活再建に向けた支援により、誰もが安心して避難生活を送ることができる仕組みを築きます。③大規模災害時の拠点等整備/大規模災害時の拠点等整備広域防災拠点(旧上瀬谷通信施設地区)の整備、災害応急活動体制の強化により、大規模災害時の拠点等を整備します。④災害に強いまちづくりの推進(インフラの強靭化)/緊急輸送路等の強靭化、上下水道の強靭化、港湾施設等の強靭化により、災害に強いまちづくり(インフラの強靭化)を進めるとしています。

素案の中で、能登半島地震の被災地支援に携わった市職員の主な意見も紹介をされています。●公助にも限りがある中、一人ひとりに自助・共助の重要性を認識していただくことや、防災意識を高めていただくことが重要であり、行政としてそのような働きかけが必要。●トイレパック、非常食・水、防寒具など、市民一人ひとりが自分と家族を守るための備えについて啓発が必要。●避難所でも、プライベート空間の確保など可能な限り日常に近い生活を送ってもらえるよう、必要な物品等を事前に備えておくことが大切だと考える。夏・冬は空調設置が不可欠。● 当たり前のトイレが使えなくなるということが避難生活に最も影響を及ぼすことを再確認し、様々なトイレ対策を進める必要性を感じた。・ トイレが使えなくなると、トイレを我慢して体調不良となる避難者が多くなる恐れがある。●ひきこもり、認知症等の事由により避難所での共同生活に難しさを感じてやむなく在宅で過ごす方が一定数存在した。在宅避難の場合、個別訪問にもマンパワーの制約があり、本人が SOS を発してくれないと、困りごとの把握が難しい。対策の検討が必要と考える。●多様な避難について・ ペットとともに避難する方も多く、本市でも避難所での受入れ場所は事前に決めておく必要がある。・ 本市の人口規模を鑑みると、避難所以外の避難者(在宅避難、車中泊避難等)が相当発生すると見込まれるため、これらの避難者への物資供給や情報把握などの検討が必要と考える。●上水道や下水道が長期にわたり途絶すると、飲料水、生活用水やトイレ環境など、市民生活に大きく影響するため、対策が必要。 等など貴重な意見が寄せられてもいます。

災害の発生を完全に防ぐことが不可能ですが、あらゆる可能性を考慮した最大クラスの地震・津波による被害を想定し、その結果に基づき減災対策の推進に努める旨が国の防災基本計画に規定されています。横浜市においても、これまでの被害想定を抜本的に見直すとともに、その想定被害を軽減するための減災目標を設定し、目標達成のために必要な対策を効果的かつ効率的に実施していくために、「地震防災戦略」を策定することになっています。
今後は、市民の皆様から広くご意見をいただくための市民意見募集を行います。意見募集期間令和6年12月 13 日(金)~令和7年1月 20 日(月)で詳細は、横浜市のホームページから確認できます。

 

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