高知県視察 南海トラフ地震対策

先日、横浜市会政策経営・総務・財政常任委員会の視察にて高知県にお伺いをし、「高知県の南海トラフ地震対策」について説明を受けました。

まず、南海トラフとは、駿河湾から日向灘沖にかけてのフィリピン海プレートとユーラシアプレートが接する海底の溝状の地形を指します。南海トラフでは、概ね100~150年間隔で地震が発生しており、前回の南海トラフ地震(昭和東南海地震(1944年)及び昭和南海地震(1946年))が発生してから70年以上が経過しているため、次の地震発生の切迫性が高まっています。南海トラフ地震では、震度7の激しい揺れや10メートルを超える大津波が太平洋沿岸を襲い、最悪の場合、死者は32万人を超え、経済被害も220兆円を超えると想定されています。内閣府のモデル検討会によると、震度6弱以上の地域は、九州から関東にかけての広い範囲に及ぶと想定されています。

南海トラフ地震の被害を大幅に減らす可能性はあり、対策を進めることが重要です。高知県では、●揺れや津波から「命を守る」対策●助かった「命をつなぐ」対策●復旧・復興期の「生活を立ち上げる」対策の視点で取りくみ、そして被害の最小化の為に、高知港(瀬戸湾)三重防護のよる地震・津波対策を推進しています。

南海トラフ地震による被害想定では、前例のない甚大な被害想定(最悪のケース・全国)として、全壊・焼失棟数:約238万6千棟、想定死者数:約32万3千人。経済被害額は、約220挑円。経済的被害は国家予算の2倍以上で想想定死者数は従来の約13倍にもなります。

高知県では、過去にも昭和21年の昭和南海地震による津波浸水被害や、昭和45年の台風10号による甚大な高潮被害等で甚大な被害が繰り返されてきました。今後30年以内の発生確率が70〜80%に上昇している南海トラフ地震。県人口の約47%が集中し、経済・都市機能が集積する県都・高知市を中心とする高知県中央部の被害最小化のために、浦戸湾の地震・津波対策が急務にもなっています。

高知港海岸の堤防や護岸などは建設後40年以上経過したものが多く、老朽化が著しく進行しているため、津波に対する確実な防護を行うため既存施設の老朽化対策が喫緊の課題となっています。そこで高知港海岸における地震地策の防護方針として、中心部は浦戸湾奥部に位置するという地理的特性を踏まえ、第一線防波堤、湾口地区、津波防波堤、外縁部堤防等、浦戸湾地区、内部護岸等の3ラインでの「三重防護」による対策を進めています。津波発生頻度の高い津波(レベル1津波)に対しては堤内地の浸水を防護し(防災)、レベル1津波を超える津波(最大クラスの津波・レベル2津波を含む)に対しては浸水範囲及び浸水深を減少させるとともに、浸水するまでの時間を遅らせる。(減災)としています。事業期間は平成28年度〜令和13年度で、総事業費は、640億円。

また、南国市津波避難タワーも視察しました。南国市津波避難施設スポーツセンタータワーで、収容人数が約820人で国内最大級。隣接する市立スポーツセンターなどからの避難者を想定。タワーのの完成で、市沿岸の住民が避難開始からおおむね5分以内にタワーや高台に避難できる環境が整ったとされます。屋上太陽光パネルからの電気を利用し夜間や停電時にも照明が安全に安心して避難できるものとなっています。2階の避難スペースには備蓄倉庫を設置しており、毛布や水、簡易簡易トイレなどが備蓄されています。タワーへは、いつでも登ることができます。

被害を最小化するための取り組みは重要です。災害は、いつ起こるかはわかりません。災害を無くす事は出来ませんが、命を守る、命をつなぐ等の減災対策は、事前防災として、いくらでも積み上げていく事ができる、社会的・政治的に取り組む重要事項です。

 

 

 

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