共創とは、『社会的課題の解決を目指し、民間事業者と行政の対話により連携を進め、相互の知恵とノウハウを結集して新たな価値を創出すること』をいいます。横浜市では「新しい公共づくり」に向けて様々な主体と協働の取組を進めてきています。
「共創」は、①企業を中心とした民間事業者を主な対象としていること②ビジネス活動を通じて、サービス向上や地域の活性化につなげていくこと③ゼロから議論を積み重ね、イノベーションを引き出し、新たな価値を創造し
ていくことの3点を主な特徴としています。(横浜市HP)
多くの皆様と双方向の対話を通じて目標を共有し、それぞれの持つ知識やノウハウを最大限活用して、このYOKOHAMAを舞台に新たな価値を共に創っていきたいと考えています。市民ニーズや地域の抱える課題が多様化・複雑化し、行政だけでは対応が難しくなっています。私たちは、多くの皆様と双方向の対話を通じて目標を共有し、それぞれの持つ知識やノウハウを最大限活用して、このYOKOHAMAを舞台に新たな価値を共に創っていきたいと考えています。共創の視点と企業のCSR(社会的責任)や経済的な利益と社会的な価値を両立するCSV(共通価値創造)があいまって、あらゆる⾏政分野で⺠間の持てるアイデアと⼒を発揮し、質の⾼い公共サービスの提供や横浜らしい地域活性化につなげていきます。
第3回定例会決算特別委員会政策経営局の審査で「共創について」質疑を行いました。(以下要旨)
●10月に政策経営局が住民基本台帳に基づいて、本市の人口や世帯数に関する最新のデータが公表されました。令和6年9月30日時点での本市の総世帯数は1,885,992世帯。そのうち一人暮らしの世帯が864、800世帯と、総世帯数の45.1%を占めています。現在、全世帯のうち、ほぼ半数は、単身世帯、いわゆる「おひとりさま」です。
なかでも65歳以上の単身世帯の数は市内全体で302,390世帯と、遂に30万世帯の大台に乗り、横浜市にお住いの65歳以上の高齢者(941,316人)のうち約3割が一人暮らしという結果になっています。そして高齢化と単身化が急速に進む中で、市内の各地域の一人暮らし高齢者の方々は、今後もさらに増え続けて行くと推計されています。家族の在り方ももはや昭和でない」サザエさん一家のように3世代が一つ屋根の下に同居し、嫁が年老いた舅や姑の身の回りの世話をすることが当たり前とされていた昭和の時代の家族のありよう、もはやありません。
そうした中、新たな社会的セーフティネットを紡いでいくことが令和の時代の横浜市にとって急務ではないかと考えます。故に、我が党は、身寄りのない高齢者を中心とした市民の孤独・孤立の問題を、取り上げてきました。また市民の孤独・孤立を防ぎ、誰もが安心して暮らすことのできるセーフティネットは行政だけで築けるものではなく、地域住民もNPOも、そして企業も連携しながら、様々な公民の主体が共に手を携えて創り上げていかなくては成しえないと思います。企業や学校教育機関、NPOなどの多様な民間主体が行政と対話を重ね、新たな手法や仕組みを創り上げていくことで地域課題や社会課題を解決していくための取組として「リビングラボ」を展開しています。
身寄りのない高齢者へのセーフティネット構築という課題についても、「ひとりでも住み続けられる横浜リビングラボ」として、セミナーやワークショップ、モデルプロジェクトの実施などを通じて活発に取組を進めています。ちなみにこのリビングラボは、神奈川区を中心に市内の医療や福祉の専門職、また行政書士や税理士などの仕業の皆様、そして民生委員などの地域住民や市内企業がタッグを組んで結成されたもので、私も参加させて頂いています。
【質問】これまでのリビングラボの活動の成果について伺う。
【答弁】横浜のリビングラボは、地元企業の方が中心となりビジネスの視点で地域課題を解決するためのプラットフォームとして活動されていることが特徴であり、こうした活動が市内各地で展開されていることが成果であると考えています。さらに、令和5年度には、先生の方から御指摘がありましたが、「身寄りのない高齢者」をテーマに複数のリビングラボによるプラットフォームが形成され、地域を超えた新たなつながりや、これも先生から指摘いただきましたが、福祉団体・医療機関への活動の広がりも生まれています。
●先日、市内のリビングラボを中心に、社会課題をビジネスで解決しようという志を持つ企業が集まることで結成された或る一般社団法人「イノベーション推進機構」のフォーラムに参加してきました。そこでの議論の中軸にあったビジョンが、女性や高齢者、障害者、外国人など、市民の誰もがそれぞれの個性や能力、価値観やライフスタイルに応じて経済活動に参加し、生き生きと働くことのできる環境や仕組みを公民連携によって創りあげよう、それによって地域経済を活性化し、併せて誰一人取り残さない社会的セーフティネットを経済循環によって構築し、横浜を未来に向けて続可能な都市にして行こうという考え方です。これは、以前から申し上げて来た「横浜版地域循環型経済」です。
活動のあり方は、ボランティアやシャドーワークではなく、企業や事業者が行う経済活動を中心にしたものであるだけに、行政がその活動を支援するにあたっては、市外企業から横浜市への投資を呼び込む「企業版ふるさと納税」も活用すべきだと申し上げてきました。
【質問】どのように企業版ふるさと納税を活用しているのか伺う。
【答弁】市内のリビングラボを始めとした「横浜版地域循環型経済」を推進する取組を広く知っていただくことや、こうした取組に関心のある企業や団体、子供・若者などが対話・交流できる場を創出することに活用しています。具体的には、各地の取組を分かりやすく紹介する広報紙の発行や動画製作のほか、公民連携のイベント「ヨコラボ」の企画運営に活用しています。
●横浜版地域循環型経済を推進する際の財源として、企業版ふるさと納税だけでなく、投資的な民間資金をどんどん横浜に呼び込んで行くことが必要だと私は考えます。例えば、我が国においては、休眠預金等を社会課題の解決や民間公益活動の促進のために活用する制度が2019年度から始まっています。ただ、これまでの休眠預金の活用は、社会課題解決に取組む非営利セクター、すなわち市民団体やNPOが取り組む非営利活動への補助金として分配するというあり方が中心でした。
それに加える形で、横浜のリビングラボのようにビジネスを通じて社会課題を解決する、利益をあげながら経済を循環させることで、誰一人取り残さない社会的セーフティネットを主体的に構築しようとする意欲的な企業や事業者に対して、必要な資金を投資していく仕組みも休眠預金等の活用方法として、本市が提案することを検討しても良いのではないか?と考えます。
【質問】企業や団体が主体的に社会課題を解決していく動きは重要と考るが見解を伺う。
【答弁】人口減少・超高齢社会を迎え、単身高齢者などの課題が顕在化する中では、「休眠預金」等の活用により、民間公益活動の担い手の育成や資金調達の環境を整備することで、主体的に地域課題を解決する企業や団体が増えていくことは非常に重要と考えています。当局としても、関係者としっかり対話を重ねながら、社会情勢の変化をとらえ、共創の取組を前に進めていきたいと考えています。
●先程述べたフォーラムの中でも、休眠預金の活用と共に「ゼブラ企業」という言葉が話題になっていました。ゼブラ企業とは、いわゆる「ユニコーン企業」とは対極にある存在で、①社会的な認知度・理解の向上が必要な「社会的に複雑な」課題に挑戦している、②社会性と経済性の両方を追求するとともに、相利共生(集団・群れとしての共存)を大切にしている、③既存の金融の仕組みにマッチせず、新たなお金の流れを求めている、などを特徴とする企業群のことを指します。このゼブラ企業は2017年に米国の4人の女性起業家が提唱したもので、現在、多くの起業家や企業が賛同・参画し、世界的に大きなムーブメントが起こりつつあると言われています。「横浜版地域循環型経済」を推進する政策経営局の取組によって、世界を代表するゼブラ企業が横浜から多数、出現することを期待してます。