議会質問 横浜市下水道BCPについて

東日本大震災において、被災地の下水道施設では甚大な被害を受け、トイレの使用制限やマンホールから汚水が溢れるなど、市民生活に重大な影響を及ぼしました。このような地震に対して、災害時においても下水道の業務を継続することは緊急的な課題です。、横浜市では、直ちに「下水道業務継続計画(BCP)」策定に取り組み、「横浜市下水道BCP【地震・津波編】」を策定しています。また、近年、全国各地で河川氾濫により下水道施設も被災するなど、水害対策の強化が求められています。そこで、新たに、横浜市下水道BCP【水害編】も策定し、下水道業務継続力をレベルアップしています。

横浜市で定めている「横浜市防災計画」は、予防から応急対策、復旧・復興までに取り組むべき事項を定めた総合的かつ基本的な計画であり、「横浜市下水道BCP」は「横浜市防災計画」で定められた応急対策等、取り組むべき事項を実施するための細部計画となります。また、「横浜市下水道BCP」は、災害が発生した際にリソース(ヒト、モノ、情報等)の制約がある中で、震災後に確保すべき下水道機能にかかる業務を「だれが、いつまでに、どのレベルで、なにをするか」ということなどを具体的に定めたものです。

下水道におけるBCPについて、第3回横浜市会定例会決算特別委員会審査にて質疑を行いました。(以下質疑の要旨)。

●令和6年1月1日に石川県能登地方で発生した「令和6年能登半島地震」において、下水道施設についても液状化に伴うマンホールの浮上や地盤の変動による下水道管の損傷など、多くの被害が発生しました。下水道施設の被害調査や応急復旧を行うため、石川県からの支援要請を受け、本市の職員を派遣し復旧支援に尽力したと伺っています。このような職員派遣は、本市下水道BCPにおいても大変重要な取組であったと考えます。

【質問】能登半島地震において本市が行った復旧支援について伺う。

【答弁】発災後速やかに庁内体制を整え、石川県志賀町に総勢88名の職員を派遣し、志賀町及び、石川県下水道対策本部などと下水道復旧に関する総調整、災害査定に向けた下水道管やマンホールポンプの被害調査、水道が復旧した病院や避難所などで下水道が使用できるよう応急復旧を実施しました。

●横浜市では、全国に先駆け「下水道BCP(地震・津波編)」を策定するとともに、策定後も大規模地震への支援活動実績や、職員を中心とした訓練などを通じ、改善を重ねています。第2回市会定例会においても能登半島地震の経験を踏まえ、下水道BCPを改定する旨の報告がありました。

【質問】下水道BCPの改定に向けた取組について伺う。

【答弁】支援に従事した職員の経験を共有する報告会などを開催し、その中で、物資輸送や人命救助のための交通機能や、避難所や病院などにおける下水道機能の確保の重要性、さらには、水道の復旧にあわせた下水道の復旧や受援体制の強化の必要性などの報告がありました。報告会での意見などを基に、職員によるワーキンググループでの議論なども踏まえ、この10月末にはBCP訓練を実施し、下水道BCPの改定に反映することで、災害対応力の向上につなげていきます。

●下水道は有事の際においても、無くてはならない重要なライフラインであることから、地震のみならず、大規模噴火に伴う火山灰についても、対応すべき重要な災害として想定すべきと考えます。公明党においても、降灰対策への懸念から、8月に火山対策が進んでいる鹿児島市を訪れ、情報収集を図り、各ライフラインの取組について検証を始めたところです。令和5年4月には、国から下水道BCPに降灰対策を盛り込む方向性が示されたことを踏まえ、大規模噴火に伴い、市内の広域に降灰が見舞われる中においても、下水道機能を確保するため、優先すべき業務を明確にした下水道BCPが新たに必要と考えます。

【質問】「降灰対策に関する下水道BCPを早期に策定すべき」と考えますが、局長の見解を伺う。

【答弁】降灰時においても、トイレ機能の確保や、汚水溢水の防止、浸水対策など、市民生活を支える様々な下水道の機能を維持することは大変重要と考えています。今後、国や関係する都市インフラの動向などを踏まえ、庁内の関係部署とも調整をしながら、降灰対策に関する下水道BCPを早期に策定し、策定済の地震・津波、水害のBCPと合わせて、自然災害にしっかりと備えていきます。

●下水道BCP計画では、策定して終わりとせず、職員が中心となって訓練実施や運用を通して、課題を把握確認するとともに、これを検証し、解決するための取組を進めるなど、PDCAサイクルを継続して行っていくことが必要である。今後も継続的に改善を行い、BCPをブラッシュアップしていく。下水道は代替のきかないライフラインであり、市民生活に欠かせない都市基盤である。災害時でも市民への下水道サービスを継続していけるよう、様々な課題を克服し、危機管理体制の強化を図っていくとしています。

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