防災・減災を社会の主流に 災害時要援護者の個別避難計画等

地震や津波などの自然災害は、避けることが難しく、被害をなくすことも困難ですが、「減災」、被害を少しでも減らす取り組みは可能です。首都圏でも「首都直下地震」等の大地震の発生も懸念されています。日頃から備蓄等の備えや防災訓練に参加する等、災害から自分や家族を守る「減災」に取り組むことが大切でもあります。横浜市会第3回定例会における本会議において、防災・減災を社会の主流にとの観点から、公明党横浜市会議員団を代表して久保かずひろ議員が一般質問に立ちました。(以下 質疑の要旨です。)

害時要援護者の個別避難計画      

高齢者や障害者などの災害時要援護者の個別避難計画について伺います。近年、全国各地で台風や線状降水帯などによる風水害の被害が多発しています。被害者のうち高齢者が占める割合は令和元年度台風19号では約65%、令和2年7月豪雨では約79%と非常に高い状況にあります。横浜市では、福祉専門職の協力のもと自力での避難が困難な高齢者や障害者が安全に避難するために風水害を想定した個別避難計画の作成を進めています。一方で能登半島地震の発生や南海トラフ地震臨時情報の発表などにより、震災に対しての不安が広がっており、寝たきりや脳性麻痺といった方のご家族から震災を想定した個別避難計画の作成を望む声も頂いています。

【質問】震災を想定した個別避難計画の作成も進めるべきと考えるが、 市長の見解を伺います。

《市長答弁》震災に対する市民の皆様の不安が広がる中で、震災を想定した個別避難計画の作成は、大変重要な取組と認識しています。一方で、作成対象者数が風水害を想定した個別避難計画よりも多いことから、作成手法や内容を慎重に検討する必要があると考えています。当事者の皆様の声を伺うとともに、関係局が連携して、実効性のある個別避難計画となるよう、作成の検討を進めてまいります。

●計画は作成するだけでは意味がありませんので、実効性のある計画として作成されることをお願いします。

避難生活の環境改善   

避難生活の環境改善について伺います。能登半島地震においては、断水により非常に多くの方が長期の避難生活を余儀なくされ、災害時のトイレ対策が非常に重要なものであることが浮き彫りになりました。私は、かつて阪神淡路大震災で被災し自宅が全壊し家族を失いました。その際には、断水によりトイレに苦慮し、また1か月以上お風呂に入ることができなかったことを思い出します。能登半島では、全国各地から災害用トイレトレーラーを保有する自治体が被災地に支援に入りましたが、災害用トイレトレーラーを含めて、災害発生時のトイレ対策を推進していく必要があると思います。

【質問】災害時のトイレ環境を充実させるべきと考えますが、 市長の見解を伺います。

《市長答弁》おっしゃる通りだと思います。能登半島地震では、実際に避難所に仮設トイレがすぐに届かなかったとか、排泄物があふれて困ったとか、そういった様々な課題が発生して、災害発生時のトイレの備えがいかに重要であるかを目の当たりにいたしました。避難先でも安心して過ごしていただけるよう、トイレ環境の更なる充実に向けて検討を進めてまいります。体験用トイレパックの配布など、家庭における備蓄の促進についての啓発も引き続き強化してまいります。

●併せて避難生活への対策として、避難者ご自身の衛生面の維持が挙げられます。 避難生活では断水が続くことにより、清潔な状態を保つことが難しくなり、大きなストレスの要因となります。トイレ環境の充実と併せて、衛生維持にも取り組む必要があると考えます。

【質問】避難生活における衛生面の課題認識と取組の方向性について、 市長に伺います。

《市長答弁》衛生面の悪化は、感染症や食中毒などによる避難者の体調不良につながる大きな要因となり得ます。現在は、消毒液や使い捨ての手袋など感染症対策の資器材の備蓄を進める事に加えて、地域防災拠点運営マニュアルでの注意点の周知を行っているところです。これらに加えて、避難生活の衛生維持により資するための取組といたしまして、新たな防災戦略の中で幅広い視点を持って避難所における衛生面の強化について検討を進めてまいります。

●この他にも、男女のニーズの違いへの配慮や性被害防止などの防犯面、ペットを連れた避難者の受け入れなどの課題解決に向けて取り組むことを要望致します。

 災害時の物資輸送体制

本市の災害時の備蓄品は、地域防災拠点だけでなく、方面別備蓄庫でも備蓄しており、大地震発生時などには、国からの支援物資なども、併せて提供していくことになります。そのような状況下では、物資の供給をスムーズに行っていくための検討は非常に重要であると考えています。

【質問】災害時の物資輸送体制の課題と対策について、 市長に伺います。

【市長答弁】物資輸送を依頼する協定事業者も被災する可能性があるほか、道路の被災状況等の正確な情報が得にくくなることで、事業者の混乱や輸送力の低下を招くことが考えられます。そのため、より多くの運送事業者や幅広い業種との協定の締結に向けた調整を進めて、輸送力の確保に努めてまいります。また、平時からの訓練等を通じて、事業者との関係性を構築することで情報共有体制を強化いたします。

●発災時に備えて、物資輸送体制の課題を早期に解決していく必要があり、民間活用なども含めた対策を進めていただくことをお願いします。

 

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