学校における合理的配慮の提供

令和3年(2021年)に障害者差別解消法が改正され、事業者による障害のある人への「合理的配慮の提供」が義務化されました。この改正法は令和6年(2024年)4月1日に施行。事業者が法に反する行為を繰り返し、自主的な改善を期待することが困難な場合などには、国の行政機関から報告を求められたり、助言や指導、さらには勧告を受けたりする場合があります。

「合理的配慮の提供」とは、社会生活において提供されている設備やサービスなどは障害のない人には簡単に利用できる一方で、障害のある人にとっては利用が難しく、結果として障害のある人の活動を制限してしまっている場合があります。このような、障害のある人にとっての社会的なバリアについて、個々の場面で障害のある人から「社会的なバリアを取り除いてほしい」という意思が示された場合には、その実施に伴う負担が過重でない範囲で、バリアを取り除くために必要かつ合理的な対応をすることとされています。これを「合理的配慮の提供」といいます。

今回、第3回横浜市会定例会本会議、一般質問で公明党を代表して、久保かずひろ議員が「学校における合理的配慮」について質問しました。公明党横浜市市会議員団にご相談が寄せられた声を具現化したものです。(以下 質疑要旨)

●学校における合理的配慮の提供について伺います。

小・中学校に通う児童生徒の中には、全体的な発達には遅れはないが、文字の読み書きに限定した困難がある「ディスレクシア」という、学習障害のある児童生徒がいます。こうしたディスレクシアの児童生徒は、知的能力や理解力には問題がないため、何かしらの配慮や支援があれば、他の児童生徒と同じように学ぶことができます。しかし、こういった配慮等を行うためには、学校の先生たちが、ディスレクシアをはじめとする様々な障害等に関する知識・理解を深め、日ごろの関わりの中で児童生徒たちが抱える何かしらの困難に気づくことが必要であると考えます。

【質問】児童生徒が抱える困難や障害に気づき、その子にあった支援につなげていくための、教員の知識・理解を深める取組について 教育長に伺います。

【教育長答弁】学習障害を始めとする様々な障害に対する知識・理解を深めるための研修等に取り組んでいるほか、更なる教員の専門性向上のため、教員が特別支援学校教諭免許状を取得するための費用助成を行っております。引き続き着実に取組を進めます。

●学校の先生たちが、学びに困難を抱えている児童がいると気づけても、それに対応する支援がなければ意味を成しません。例えばディスレクシアの児童生徒は、紙の教科書では授業の理解が難しくても、デジタル教科書やタブレット等を使用し、文字の拡大・音声読み上げ・文字入力機能などを活用すれば力を発揮できる場合があります。現在のデジタル教科書が使用できない状況は好ましくないと考えます。

【質問】紙の教科書では学びに困難を抱える児童生徒に対し、デジタル教科書を使用できることが望ましいと考えますが、 教育長に見解を伺います。

【教育長答弁】文部科学省の部会においても、デジタル教科書の使用拡大等に関する検討が始まってきております。本市としても、文字の読み上げ、あるいは拡大機能のあるデジタル教科書は、学びに困難のある児童生徒にとって有効な手段と考えます。今後デジタル教科書の使用を含め、合理的配慮として、児童生徒にとって最適な学習環境が提供できる仕組みを検討してまいります。

●またテスト時における合理的配慮の提供も含め、誰もが全力を発揮して学ぶことができる学校教育の実現を要望しました。

 

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