敬老の日 災害に強い「長寿大国」

横浜市では、9月を敬老月間として位置づけ、「敬老の日(9月第3月曜日)・老人の日(9月15日)」を中心に、長年にわたり社会に貢献されてきた方々に対して長寿をお祝いするとともに、生きがい・健康づくりを進めるため、様々な行事を実施しています。また、敬老月間には、日本郵船氷川丸入館無料など各施設のご協力のもと、施設の市民優待利用を実施しています。

総務省は、「敬老の日」に合わせ、65歳以上の高齢者の人口推計を公表しています。15日時点の高齢者は前年より2万人多い3625万人。総人口に占める割合(高齢化率)は0.2ポイント増の29.3%。いずれも比較可能な1950年以降で過去最高です。また、総人口に占める割合では、人口10万人以上の国・地域としては世界最高との事です。

人口の推移では、65歳以上人口は、昭和25年には総人口の5%に満たなかったが、昭和45年に7%を超え、さらに、平成6年には14%を超えた。高齢化率はその後も上昇を続け、現在は29.3%に。また、15~64歳人口は、平成7年に8,716万人でピークを迎え、その後減少に転じ、令和5年には7,395万人と、総人口の59.5%となっています。

この様な現代でも、元気な高齢者の方は大勢存在します。漫画「サザエさん」の磯野波平さんは、「定年一年前の54歳」です。現在の日本は大きく変化しているのも事実です。高齢者の定義と区分に関しては、日本老年学会・日本老年医学会「高齢者に関する定義検討ワーキンググループ報告書」(平成29年3月)において、近年の高齢者の心身の老化現象に関する種々のデータの経年的変化を検討した結果、特に65~74歳では心身の健康が保たれており、活発な社会活動が可能な人が大多数を占めていることや、各種の意識調査で従来の65歳以上を高齢者とすることに否定的な意見が強くなっていることから、75歳以上を高齢者の新たな定義とすることが提案されている。
また、「高齢社会対策大綱」においても、「65歳以上を一律に『高齢者』と見る一般的な傾向は、現状に照らせばもはや現実的なものではなくなりつつある。」とされている。(令和6年版高齢化白書コラム)

平均寿命は、令和4年現在、男性81.05年、女性87.09年。今後、男女とも平均寿命は延びて、令和52年には、男性85.89年、女性91.94年となり、女性は90年を超えると見込まれています。

本日の産経新聞の主張には、災害に強い「長寿大国」とした記事が敬老の日として掲載されています。ひとたび災害が起きれば弱い立場に置かれるのが高齢者。日本は災害の多い国だからこそ、お年寄りを災害弱者にしない社会を目指したいと。「災害に強い長寿大国」は実現できる目標であると。

能登半島地震は、高齢化が進む過疎地を直撃しました。被害の大きかった石川県珠洲市では、65歳以上の高齢化率が5割超。輪島市でも約49%と全国平均を大きく上回る地域でした。高齢化社会の中における災害対策の困難さは、横浜市においてもあると思います。人も住まいも、そして地域社会全体も「高齢化」という多重な課題です。住居・コミュティー・等、地域で長く大切にされてきた生活者の暮らしを無視した地域防災では、前に進みません。三菱総合研究所の古市佐恵絵子氏は、概して高齢者は、心理面・健康面・地域社会とのつながりなど、さまざまな理由で「生活環境を変えづらい」状況が見えてくる。今回の地震は、こうした前提に立ちながら、どうすれば防災性を高めることができるか、という難問を投げかけていると言える。と「能登半島地震から「超高齢社会」防災を考える」と題した提言で「生活環境を極力変えない防災」という視点を提示されています。

防災にゴールはありません。目指すは長寿防災大国である。まさに、その通りであると思います。(参:2024・9・16産経新聞 主張 災害に強い「長寿大国」へ)

 

 

 

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