身寄りのない高齢者等への支援の方向性について横浜市会第2回定例会、公明党の一般質問における質疑です。
単身高齢者世帯の割合は年々増加しており、昨今の報道等でも取り上げら「身寄りのない高齢者等」への支援が喫緊の課題になっています。「身寄りのない高齢者等」が直面する課題は、日常の金銭管理や死後の手続き等、多岐に渡りますが、これらの課題に関して、国は令和6年度予算において、身寄りのない高齢者等の相談を受け止め、様々な社会資源を組み合わせた包括的支援を行う相談・調整窓口の設置をモデル事業として示すなど、社会全体で「身寄りのない高齢者等」を支える仕組みの構築を進めています。
【質問】身寄りのない高齢者等への支援の方向性について、市長に伺う。
【市長答弁】今後ますます高齢化が進み、単身高齢者が増えていく中で、身寄りのない高齢者等への支援は大変重要な課題です。今年度は、支援の在り方の検討に向けてモデル事業を実施し、行政が担う役割等を見極めます。また、民間事業者が市内で行っている試行的な取組や他都市の状況も参考にしつつ、本市の人口規模や地域特性に応じた支援の方向性を検討してまいります。
●これまでは、家族さえいれば老後は安泰と思われて来ました。逆に言えば「困った時は家族を頼れ。家の外には、迷惑をかけるな」という事で、価値においても制度においても「家族」が社会の社会の最小単位になっています。その淵源の一つは高度成長が終わった1970年後半に推進された「日本型福祉社会」とういう構想にあります。家族を社会の最も大切な中核として、家庭での「相互扶助」を提唱。公助はあくまで自助や家庭福祉を補完する形として捉えられていました。この「日本型福祉社会」が成り立っていたのは結局、母や嫁とう女性が専業主婦として家庭に籠り、家族のケアを一手に引き受けていたからです。(黒澤史津乃/(株)OAGウェルビーR代表取締役)
専業主婦の優遇政策が多く実施され、「女性が家庭内の自助を担う」という制度を維持してきました。「呼んだらすぐに来てくれる家族」がいない高齢者がいない高齢者が終末期を迎えた場合、現場では、ケアマネージャーや民生委員、地域のボランティアや、医師、看護師など、医療・介護従事者が対処療法的にその場で膨大な「シャドウ―ワーク」を行って対応している現実があります。(同上)
黒澤氏は、社会福祉のビジョンが限界を迎えているからこそ、これからは、「家族だけが介護の世話の相手でない」「社会の最小単位は家族でなく個人」という価値観への転換が必要。その前提に立って、エンディング期のリスクとコストを的確に割り振るにはどんな仕組みの構築が必要なのかを議論していくべきとされています。大都市横浜でどの様な仕組みが必要か、行政としての役割は何か、地域の仕組みも含め、トータルな視点で議論を継続して進めて参ります。