「福祉防災元年」から3年。

災害時の減災を考えると、平時の備えが大事です。平時からの地域づくりも、いざと言いう時に命を救います。災害時に有効に機能するよう平時から体制づくり、平時と災害時の切れ目をなくす重要性がより強く求められています。

日常生活に無理なく防災機能を組み込む。個人の意識に頼らないで日頃から防災に向かう仕組み“フェーズフリー”という概念も拡がっていると言います。この考え方は、日ごろの社会の環境が、状況=フェーズに関係なく、いつも利用しているものや行動が、もしもの時に役立つという考え方です。

近年の災害では、高齢者や障害者らが逃げ遅れて亡くなるほか、避難生活で苦境に陥って多数の関連死にも繋がっています。2021年に改正災害対策基本法が施行。改正では、災害時の避難手順の円滑化と迅速な確保が重要な焦点。また、改正では、避難行動要支援者の円滑かつ迅速な避難を図るために、個別避難計画について市町村に作成の努力義務化がなされました。個別避難計画とは、避難行動要支援者(高齢者、障がい者など)ごとに、避難支援を行う人や避難先などの情報を記載した計画のことです。

平成25年に作成が義務化された避難行動要支援者名簿は、全国の市町村の約99%で作成され普及が進みましたが、未だに多くの高齢者が災害の被害を受けている状況で、避難の実効性の確保に課題があります。そして、それに合わせて、福祉避難所のガイドラインも見直されました。行政では、災害時に誰一人取り残さないために平時から保健福祉部局と防災部局との連携体制の構築がより重要にもなります。

福祉関係者の防災への取り組み強化も行われ、制度改正が始まった2021年を「福祉防災元年」とも名づけられています。(国の「高齢者等の避難に関するサブワーキンググループ座長」福祉防災コミュニティ協会代表理事の鍵屋一氏)2020年度迄は、避難に関して法令で義務付けられた計画は、福祉施設が作成する非常災害対策計画と浸水想定区域内での避難計画だけでしたが、在宅の要支援者については福祉支援の有無を問わず任意の個別計画、地区防災計画でした。そして発災後は、任意の福祉避難所のみでした。これが、2021年度の制度変更により、福祉施設に関しては、新たに福祉BCPの策定が義務付けられ、避難のステージだけでなく、避難生活、復旧・復興まで計画される事になりました。在宅で福祉支援のある要支援者については、避難の段階では個別避難計画と福祉BCPの両面で、福祉支援のない要支援者については個別避難計画が策定される事になりました。

また、福祉避難所に関しては、国のガイドラインが策定され、警報段階での福祉避難所への直接非難が原則となり、要支援者の避難先が確保され避難しやすくなりました。すなわち、要支援者については、施設入所、在宅問わず、少なくとも避難により命を守る制度的な枠組みができました。(同上 鍵屋一氏 災害福祉支援の動向)全ての介護施設、事業所を対象に、3年の経過措置期間を設けた上で、BCP等の策定、研修の実施、訓練の実施等を義務づけてもいます。

元日に発生した能登半島地震では、建物の倒壊や津波などの直接的な被害とは別に、避難生活伴う体調悪化で亡くなる「災害関連死」が30人以上に上っているとも言われます。

認知症の方、高齢者で歩行や階段の上り下がりも困難な方、自閉症の障害児者、精神障害者、乳幼児を連れた保護者等など。実施にいざ災害の時の体制は、地域レベルでは、簡単にイメージされていないという事もあろうかと思います。災害はいつ来るかわかりません。いざという時の為に、一つ一つ着実に課題解決しておかなければなりません。

 

 

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