障害児者、乳幼児、妊産婦、外国人など災害が起こった際には、特別な配慮も必要とする人たちが含まれています。危険を承知で自宅に残らざる得なかったり、車の中で寝泊りをした人達がいます。例えば、自閉症児にいる家族が一週間、自家用車の中で寝泊りする生活を続けることを試みましたが、限界を感じて避難所に入る事にしたという報道もありました。
こうした事をきっかけに、「障害児のいる家族でも安心して入れる避難所をつくれないのか」と考えさせらた。「いつどこで発生するかわからない大災害に備えて、すべての人が安心して暮らせる街をつくるために、高齢者や障害者や、妊婦と言った災害弱者が優先される社会であってほしい。」
議会図書室で手にした新井英靖氏他3名の方の編著(クリエイツかもがわ)の「発達障害児の防災ハンドブック」の記されている内容です。“いのちと生活を守る福祉避難所”をとのサブタイトルです。大災害発生時にも、絆があれば救われるという精神論では片づけられない、制度・構造的な社会問題が存在しているのではないかと考えられます。
このハンドブックでは、こうした問題意識の中で特に発達障害とその家族を中心に、障害児者その家族が大災害発生時にどのような不安や困難を抱えているかを調査をして明らかに。また、発達障害児が多く利用している特別支援学校や障害者施設では、東日本大震災の時に、どのように地域住民や学校・施設の障害児者を避難したのかを調査。
高齢者や障害児者が安心して避難できる「福祉避難所」を設置・運営するためのシステムについて概観し、特別支援学校や障害者施設が「福祉避難所」となるにはどのような準備や体制の整備が必要であるか検討。そしていつどこで発生するかわからない大災害の備えて、今後どように防止意識を高めていく事が求められているのかまとめられています。
調査研究を通して、大災害発生時においても学校・施設が地域社会と「つながり」を保つことが重要である事を再確認。この時の「つながり」は、単に人々の意識の問題でなく、社会システムとしてどこに居住していても得られるものでなければならないとしてしてます。
障害児者とその家族が安心して入れる避難所、全ての地域で設置・運営できる事が望ましいとされますが、課題もあります。しかし、この課題に向き合っていく必要もあります。こうした視点の地域・社会づくりの為の「防災ハンドブック」の視点は、大変重要な課題です。日頃からの安心・安全のまちづくり、地域づくりの大切な課題であること再認識しました。