こども・子育て政策の課題として“こども未来戦略”には以下のように示されています。(その2)
(3)子育ての経済的・精神的負担感や子育て世帯の不公平感が存在する
●夫婦の平均理想こども数及び平均予定こども数は 2000 年代以降、ゆるやかに低下してきており、直近では、平均理想こども数は 2.25 人、平均予定こども数は 2.01 人となっている。理想のこども数を持たない理由としては、「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」という経済的理由が 52.6%で最も高く、特に第3子以降を持ちたいという希望の実現の大きな阻害要因となっている。
●また、妻の年齢別に見ると、35 歳未満では経済的理由が高い傾向にあるが、35 歳以上の夫婦では、「ほしいけれどもできないから」といった身体的な理由が高い。また、いずれの世代も「これ以上、育児の心理的、肉体的負担に耐えられないから」が高い。
●これまでのこども・子育て政策の中では、保育対策にかなりの比重を置いてきたが、0~2歳児の約6割はいわゆる未就園児であり、こうした家庭の親の多く集まる子育て支援拠点が行った調査によれば、拠点を利用する前の子育て状況として「子育てをしている親と知り合いたかった」、「子育てをつらいと感じることがあった」、「子育ての悩みや不安を話せる人がほしかった」など、「孤立した育児」の実態が見られる。
●一方で、在宅の子育て家庭を対象とする「一時預かり」、「ショートステイ」、「養育訪問支援」などの整備状況は、未就園児1人当たりで見ると、一時預かりは年間約 2.86日、ショートステイは年間約 0.05 日、養育支援訪問は年間約 0.1 件など、圧倒的に整備が遅れている。
● 実際の若者の声としても「教育費が昔より高くなっているので、経済的負担を考えると1人しか産めなさそう」、「住居費などの固定費に対してお金がかかる」といった負担感のほか、「親の所得でこどもへの支援の有無を判断すべきではない」といった子育て世帯の不公平感を指摘する声もある。
●さらに、子育て家庭が負担感を抱えている現状については、若い世代が子育てに対してネガティブなイメージを持つことにもつながっており、「こどもがいると今の趣味や自由な生活が続けられなくなる」、「こどもを育てることに対する制度的な子育て罰が存在する」などといった指摘の背景ともなっていると考えられる。
●公教育の再生は少子化対策としても重要であり、こどもを安心して任せることのできる質の高い公教育を再生し充実させることは、次代を担うこどもたちの健やかな育成はもとより、若い世代の所得向上に向けた取組の基盤となり得るほか、基礎的な教育に係る子育て家庭の負担軽減にもつながるものである。このため、誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校・いじめ対策の推進、学校における働き方改革の更なる加速化、処遇改善、指導・運営体制の充実、教師の育成支援の一体的な推進、国策としての GIGA スクール構想の更なる推進など、公教育の再生に向けた取組を着実に進めていくことが重要である。
● また、学校給食費の無償化の実現に向けて、まず、学校給食費の無償化を実施する自治体における取組実態や成果・課題の調査、全国ベースでの学校給食の実態調査を行い、「こども未来戦略方針」の決定から1年以内にその結果を公表する。その上で、小中学校の給食実施状況の違いや法制面等も含め課題の整理を丁寧に行い、具体的方策を検討する。