横浜市では、市街化が進んだ街の中に、大規模な森林を新たに造成することは困難であり、アマモなどの海草等がCO2を吸収する、いわゆる「ブルーカーボン」による脱炭素化が有効です。そのため、ブルーカーボンとしての機能も担う藻場・浅場の形成に取り組みます。
陸の「グリーンカーボン」と海の「ブルーカーボン」/(横浜市予算概要)森林や都市の緑地等、陸上の植物が固定する炭素は「グリーンカーボン」、海草、植物プランクトンなどにより海中に取り込まれる炭素は「ブルーカーボン」と呼ばれています。森林は、伐採され木材等として使うと最後には焼却等がされCO2が排出されるのに対し、海草は、枯れても海底に堆積し大気中に戻ることなく閉じ込められます。瀬戸内海では、3千年前の海底地層からもアマモ由来の炭素が見つかっています。
ブルーカーボンのCO2吸収効果/(同)杉は樹齢によりCO2吸収量が増減し、樹齢 90 年で合計 446 トン/haとなります。これに対し、国の調査によると、アマモは苗を植え付けた年から年間約 4.9トン/haのCO2を吸収し続けるため、同じ 90 年では同程度の 441 トン/haとなることが分かっています。
豊かな海づくりと市民との連携/(同)NPO、市民団体等による環境保全の取組として、臨港パーク前では、ワカメの種付け、収穫を行う「夢ワカメ・ワークショップ」が実施されています。また、金沢区の白帆地区や海の公園では、アマモの種まきや移植を行う「UMIプロジェクト」が進められています。金沢区の沿岸海域では横浜市漁業協同組合が企業と連携し稚魚放流にも取り組んでいます。
●令和6年横浜市会予算特別委員会の港湾局審査にて、質疑を行いました。(以下)公明党が以前より提案してきた海洋生物の生息環境や生態系への影響が懸念されるプラスチックなどの海底ごみを回収する取組が計画されています。令和3年度から予算化され、調査等の実施から始まり、継続的に行われてきたものだと認識しています。
【答弁】令和3年度は、ダイバーの目視や水中ドローンにより、海底ごみの状況を調査しました。4年度は、調査でプラスチックごみ等が確認された海の公園前面海域で、漁船の底引網を使った試行的な回収を行いました。5年度は、海底ごみが堆積する頻度を調査するため、同じ海域で回収を行った結果、1年前と同程度のごみが確認されました。また、新たに、NPO法人と連携し、汽車道周辺海域の調査や回収も実施しました。
●今年度は内港地区にもエリアを広げて実施しているとのことで、着実に推進していることが確認できましたが、海に浮遊・堆積するごみの大半は、我々の日常生活から発生しているものだと思います。繰り返し回収を行うとともに、流出を削減するため、市民の皆様への啓発も必要です。
【質問】海底ごみ回収事業の今後の展開について伺う。
【答弁】引き続きNPO法人等との連携による調査・回収を行うなど、継続的に取り組んでいきます。併せて、海底ごみ回収事業のPRやごみの流出削減に向けて、海洋環境に関するイベントへの参画、市民団体等が行う環境活動との連携、メディアを活用した情報発信等を積極的に行っていきます。市民や企業の皆様に対し、幅広く啓発活動を展開していきます。
●「豊かな海づくり」として、藻場・浅場の整備による生物多様性の保全や海の環境改善、市民に開かれた漁港の改修による地産地消の促進、横浜の海や漁と触れ合える場の創出等を目指していくとしています。先の本会議議案関連質疑では、ブルーカーボンの取組についての質問に対し、市長より、「先駆者として日本のブルーカーボンをリードしていく」とのご答弁をいただきました。そこで、
【質問】これまでの本市のブルーカーボンの取組について伺う。
【答弁】本市、これは温暖化対策統括本部ですが、平成 26 年度に全国に先駆け、ブルーカーボン事業を立ち上げ、国に推進を働きかけてきました。その結果、国による認証制度が創設されるとともに、日本は世界で初めて海藻のブルーカーボンによるCO2吸収量を温室効果ガスの算定に含める、削減するということとなりました。また、市民団体、NPO等により、金沢区白帆地区等で、アマモの種まきや移植による藻場の形成、臨港パーク前では、ワカメの種付け、収穫等の環境活動が実施されています。
●横浜市のブルーカーボンに対する取組の先駆性。そしてブルーカーボンの重要性が理解できます。今後、ブルーカーボンをさらに推進・拡大していくため、新規事業として、既存の護岸を活用した取組が計画されています。
【質問】護岸を活用した取組について伺う。
【答弁】現在整備を進めている臨港パーク先端部において、護岸本体となるブロック前面に、ワカメの種を編み込んだロープを設置し、成長を促す実証実験を行います。この取組により、ワカメを護岸に繁茂させ、護岸そのものにブルーカーボンの役割を持たせます。横浜港は、南北約 140km に及ぶ海岸線を有しており、この護岸を活用した取組は、大変大きな可能性があると考えています。
●二酸化炭素を吸収する海藻等を、横浜港の水際線に広く繁茂させていくことは、港湾都市横浜のポテンシャルを最大限に発揮できる効果的かつ有効な取組です。ブルーカーボンの拡大・推進を迅速かつ着実に進め、カーボンニュートラルポートを早期に実現していただくことに期待をします。