横浜港では、完成自動車・関連部品をあわせた自動車関係品目が輸出貨物取扱量の約5割を占める主要な取扱貨物となっています。
完成自動車は、横浜港の主力輸出品目であり、大黒ふ頭は「東日本最大の自動車取扱拠点」となっています。自動車専用船の大型化や着岸隻数の増加に対応するため、自動車専用船岸壁の改良、コンテナターミナルの自動車ターミナルへの転換等を進めてきました。その結果、日本最大級となる 11 隻の大型自動車専用船が同時に着岸可能な自動車取扱拠点となりました。
輸出先は、アジア・豪州・北米・アフリカ・南米など世界各国にわたっています。北関東を中心に完成自動車や部品の生産拠点を抱え、東日本における最大の取扱拠点としての役割を今後も担っていくために、大型化が進む自動車専用船への対応や、民間事業者によるターミナル運営に向けた貸付制度の導入等を行いました。今後も取扱量の増加が見込まれる電気自動車(EV)も含め、自動車取扱機能の強化を進めています。
令和6年度横浜市会予算特別委員会港湾局審査において、視察も踏まえて質疑に立ちました。(質疑内容以下)
●先日、東日本最大の自動車取扱拠点である大黒ふ頭に視察に行ってまいりました。広大な敷地に隙間なく、ホンダ、スバル、いすゞ、日野とメーカーごとに、整然と大量の新車が船積みを待っている光景は、まさに日本経済を支えている原動力を実感してまいりました。横浜港の完成自動車の取扱量は、コロナ禍前の水準を上回っています。横浜港は、北関東を中心に完成自動車の数々の生産拠点を抱え、大黒ふ頭は、輸出のニーズに応えられるよう、様々な機能強化を進めてききました。
【質問】これまでの完成自動車取扱機能強化について伺う。
【答弁】自動車専用船の大型化や着岸隻数の増加に対応するため、横浜航路側の岸壁の改良や荷さばき地の拡張を進め、令和4年に大型自動車専用船が5隻同時に着岸可能な延長1,400m の連続バースが完成しました。また、条例を改正して日本初の貸付制度の創設を行い、コンテナターミナルを自動車ターミナルへ転換しました。これらにより大黒ふ頭は日本最大級となる11 隻の大型自動車専用船が同時に着岸可能な自動車取扱拠点となりました。
●大黒ふ頭においてはハード・ソフト両面で取り組みが行われ、日本最大級の11隻もの自動車専用船が同時に着岸可能な拠点港になりました。一方で、東日本には、茨城港など、横浜港以外にも完成自動車を多く取り扱う港があります。
【質問】大黒ふ頭の自動車取扱拠点としての強みについて伺う。
【答弁】大黒ふ頭は、世界各地への航路網が充実しており、メーカー単独で船を仕立てる必要がなく、方面別に複数メーカーが合積みをして輸出することができます。また、専用ターミナルと公共ターミナルの使い分けが可能で、船会社・荷主企業の様々なニーズに柔軟に対応することが可能です。さらに、自動車専用船へ短時間で隙間なく積込む高い荷役技術を有し、総合港湾としてコンテナにより自動車部品もセットで輸出することも可能です。
●大黒ふ頭は、完成自動車取扱拠点として、世界各地への安定した航路網が充実し、取扱量も増加しています。また、専用、公共それぞれのターミナルがあり、荷主企業の様々なニーズに応えているとのことです。専用ターミナルは、条例改正により、日本初の貸付制度を導入したとのことです。
【質問】専用ターミナルのメリットについて伺う。
【答弁】条例改正により船会社等に専用ターミナルとして長期間貸付ができるようになりました。その結果、戦略的視点に立った集貨活動、効率的なターミナル運営に加え、DX・脱炭素化に向けた設備投資も行われ、新たなターミナル管理システムの導入、太陽光パネルを活用した充電設備等が新設されました。また、自動車専用船の世界各地に向けた航路の拠点となり、中国・東南アジア等の海外生産拠点からの積替え需要も増加しています。
●民間事業者の投資を呼び込み、創意工夫を活かしながら、ターミナル運営が行われることは非常に重要なことだと思います。また、昨今の世界的な脱炭素化の潮流の中で、電気自動車の需要が増えており、先ほども、横浜港での電気自動車の取扱が増加しているとの答弁がありました。電気自動車の取り扱いには、ガソリン車と違った対応が必要になると思います。
【質問】電気自動車への対応について伺う。
【答弁】横浜港では、令和5年の電気自動車の取扱台数は、対前年比で輸出が243%、輸入が119%、輸出入合計で188%と大幅に増加しています。国内外のメーカーは、電気自動車の開発・増産を進めており、引き続き民間事業者、横浜港埠頭株式会社等と連携しながら、荷さばき地の拡張、物揚げ場の補修、輸入車の検査施設や充電装置の整備等を進め、電気自動車の輸出入拠点としての機能強化を進めてまいります。
●今後も、電気自動車が増えていくことが予想されます。引き続き対応をしっかりと行っていただき、東日本最大の自動車取扱拠点として大黒ふ頭における完成自動車取扱が増加するよう、一層の機能強化の取組をお願いしました。