横浜市会令和6年度の予算特別委員会において、公明党が取り組む企業の賃上げについて質疑に立ちました。
●持続的な賃上げの実現は、現在の日本経済における最重要課題の一つです。「賃金と物価の好循環」の実現。この循環を作る上で重要なのが、雇用の7割を支える中小企業の賃上げ。市内企業の99.6%を占める中小企業です。2月22日の東京株式市場の日経平均株価は、市場最高値で終了。3万9098円68銭とバブル経済ピーク時を34年2ヶ月ぶりに更新。日本経済は株価の上では「失われた30年」を乗り越えたとの声もあります。
一方で、中小企業においては、長引く原材料高やエネルギー価格の高騰、人手不足などの影響により、コロナ禍前に戻り切れず、経営に苦しんでいるという声も聞こえてきます。そこで、まず
【質問】市内中小企業の経営状況について伺う。
【経済局長答弁】令和5年 10-12 月期の本市景況・経営動向調査では、自社業況BSIがマイナス12.8 とコロナ前を上回る水準となっており、個人消費の回復やサプライチェーンの正常化を反映し回復基調で推移しています。一方、規模別では中小企業がマイナス 14.9、うち小規模企業がマイナス 20.3 と企業規模が小さいほど事業環境の影響を受けやすく、長引く物価高騰や人手不足により厳しい経営状況が続いていると認識しています。
●2023年は、春闘で例年にない高水準の賃上げが実現した結果、全産業平均で3.2%という、比較可能な1999年以降で最大の賃上げ幅となりました。しかし、大企業に比べ中小企業の賃上げ幅は小さく、また、物価が高騰したことを受け労働者の実質賃金はむしろ2.5%低下しました。そして、昨年12月の民間調査によれば、中小企業で昨年以上の賃上げを検討しているのは1割程度にとどまっており、賃上げの機運が高まっているとは言えません。公明党は、昨年10月「中小企業の賃上げ応援トータルプラン」を政府に提言。23年度補正予算では、企業の賃上げを促す補助事業も実施。24年度税制改正では、「賃上げ促進税制」も強化されます。
持続的な賃上げの実現に向けては、横浜市としても、できる限りの役割を果たしていくべきだと考えます。とりわけ、中小企業においては、賃上げの原資を生み出すため、物価高騰によるコスト上昇分を適切に販売価格に転嫁することが重要であり、それが可能となる環境づくりを進めていくことが重要だと考えます。そこで
【質問】中小企業の価格転嫁が可能となる環境づくりの進め方について伺う。
【答弁】取引先の価格転嫁を許容し望ましい取引慣行を遵守するため、令和2年5月、国や経済3団体、労働団体により「パートナーシップ構築宣言」が創設されました。本市では、6年度新たに宣言企業向けの融資制度を創設し、適正な取引環境づくりを進めてまいります。また、本市が様々な中小企業支援策を提供することで、商品の改良や新サービスの開発につなげ、中小企業の皆様の価格転嫁を支援してまいります。
●持続的な賃上げ実現に向けては、中小企業が抱える具体的な課題、稼ぐ力の向上への支援策必要です。これまで、利用する側からすれば分かりにくい面もありました。新たな国の支援制度で、「中小企業省力化投資補助事業」は、省力化に効果のある汎用製品をカタログ形式で簡易に選択する制度で、申請開始が4〜5月と言われる。必要な方々に必要な支援が届けられるよう、多様な支援策について中小企業にしっかりと周知・案内をしていくことが重要だと考えます。
【質問】中小企業向けの様々な支援を分かりやすく周知・案内する取組について伺う。
【答弁】支援に関する様々な情報を企業の皆様にお届けするため、関連施策を1冊にまとめた「中小企業サポートガイド」を作成・配布するとともに、説明会を開催し企業の皆様からニーズの高い補助金等についてご案内します。また、IDEC横浜では、国、県の事業を含め様々な支援策に関する知識やノウハウを持つ専門家が相談者の課題を整理したうえで、ニーズに応じた支援策のご案内を行っています。
●持続的な賃上げに必要な適切な価格転嫁については、昨年11月に公正取引委員会などが『労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針』を策定・公表しており、
また、経営者団体も適切な価格転嫁への支持を表明しています。しかし、中小企業の経営者が実際に取引先に価格転嫁を求めるためには、社会全体に広く理解が深まっていくことが重要だと考えます。労務費を含む価格転嫁を社会全体で新たな商習慣にしていかなければなりません。今年の春闘に向けては、国レベルの政労使会議に加え、厚生労働省の都道府県労働局が中心となり、各地方でも政労使会議が開催されています。公明党の主張を受けて、今回は賃上げを主なテーマにする事になりました。
●神奈川版の政労使会議は、3月6日に開催予定と聞いております。この会議を、実際の賃上げの実現のために意義のあるものにしていくことが重要であり、そのために横浜市も積極的な役割を果たすべきだと考えます。
【質問】神奈川版政労使会議で賃上げに向けて横浜市が果たすべき役割について伺う。
【答弁】使用者団体、労働者団体、行政が一堂に会する今回の会議では、中小企業の持続的な賃上げに向けた議論が予定されています。社会全体に明確なメッセージが発出されるよう本市としても積極的に関わってまいります。
神奈川版政労使会議が更に実効性の高いものになるよう、開催時期や議論の進め方などについて、国に意見を伝え、賃上げや価格転嫁の機運醸成づくりに貢献してまいります。
●労使交渉と言え、組織率の割合は、約16%位。推定組織率をみると、1,000人以上の大企業で39.6%と4割近くに達するが、100~999人の中小企業10.5%で、99人以下となると0.8%で1%にも満たない。横浜市中小企業新興基本条例「中小企業新興に関する施策を総合的に策定し、及び実施しなければならない。」とある様に、更なる中小企業への総合的支援を強める事を要望しました。