経済回復と脱炭素化 

横浜市会決算特別委員会における経済局審査の質疑に立ちました。

新型コロナウイルス感染症の位置づけが、本年5月8日から「5類感染症」になり、令和2年4月7日の緊急事態宣言から始まった、様々な制限・制約から解放され、コロナ禍前のまちの賑わいが戻りつつあります。しかし、令和2年度に実施されたゼロゼロ融資の返済が本格化しているなどにより、全国的に企業の倒産件数が増加しているとの報道もあります。さらには、原油価格や物価の高騰が、市民生活や事業活動に大きな影響を及ぼし、コロナ禍からの経済回復の重荷となっており、市内経済の現況はどうなのか。

(1)市内経済の現状について、局長に伺う。

【経済局長答弁】令和5年7-9月期の本市景況・経営動向調査では、自社業況BSIが前期より4ポイント上昇し、マイナス12.3とコロナ前を上回る水準となっています。コロナ禍からの社会経済活動の再開を背景に、非製造業を中心に景況感が改善しています。一方で、製造業はマイナス23.6と円安やエネルギー高に伴う原材料価格の高騰と、人手不足が重なり、厳しい状況が続いているものと認識しています。

●横浜市では、令和3年6月に、議員提案によって全会一致で可決・成立した「横浜市脱炭素社会の形成の推進に関する条例」では、脱炭素社会の形成の推進に当たっては、経済を縮小させることなく、関連する産業を新たな成長産業として発展させることを目指す。特に、横浜発の技術によって日本はもとより世界の脱炭素化に貢献するため、横浜市は、新たな技術革新のプラットフォームとして積極的に役割を果たし、ゼロカーボンシティとしての存在感を示すべきである。脱炭素社会の形成の推進に関連する産業の育成、集積を図ることが重要であるとしています。

(2)脱炭素社会の形成に資するこれまでの経済局の取組について、伺う。

【政策調整部長答弁】中小企業の皆様の脱炭素化を推進するため、「脱炭素ガイドライン」を活用した意識啓発や事例紹介、専門家派遣による省エネアドバイスや相談対応、省エネ設備の導入に向けた融資優遇や助成事業を実施しました。また、脱炭素関連企業の誘致・立地推進や、脱炭素社会の形成に取り組むスタートアップの成長支援などに取り組みました。

●脱炭素化につながる具体的な事業として、グリーンリカバリー設備投資助成事業は、事業者からの評判も良く、脱炭素化の効果が高いと事業だと評価している。

(3)令和4年度のグリーンリカバリー設備投資助成金の実績とCO2削減効果ついて伺う

【中小企業振興部長答弁】令和4年度の助成金交付件数は151件、交付金額は1億3,586万円でした。また、設備投資により削減された年間の消費電力やガス使用量などをCO2排出量に換算すると、約414トンとなります。これは、約4万7千本の杉の木が1年間で吸収するCO2の量に相当します。

●横浜市は、2030年の温室効果ガス排出削減目標を2013年比で50%削減としており、その達成に向け、市民や事業者の皆様と問題意識を共有し、加速させる必要があると考えます。この分野は、世界が注目する成長分野でもあります。 2050年カーボンニュートラル実現には、世界全体で、年間1兆ドルの 投資を、2030年までに4兆ドルに増やすことが必要との試算もあります。

我が国においても、官民が、炭素中立型の経済社会に向けた変革の 全体像を共有し、この分野への投資を早急に、少なくとも倍増させ、脱 炭素の実現と、新しい時代の成長を生み出すエンジンとしていきます。温暖化への対応を、経済成長の制約やコストとする時代は終わり、「成長の機会」と捉える時代に突入している。実際に、研究開発方針や経営方針の転換など、「ゲームチェンジ」が始まっている。 この流れを加速すべく、グリーン成長戦略を推進する。

「イノベーション」を実現し、革新的技術を「社会実装」する。 これを通じ、2050年カーボンニュートラルだけでなく、CO2排出削減にとどまらない「国民生活のメリット」も実現する。

(4)今後の脱炭素社会の形成に向けた本市の考え方について、副市長に伺う。

【副市長答弁】令和5年1月に改定した横浜市地球温暖化対策実行計画では、横浜臨海部脱炭素イノベーションの創出、脱炭素経営支援の充実、脱炭素に対応したまちづくり、脱炭素ライフスタイルの浸透、市役所の率先行動の5つの重点取組を掲げています。この重点取組を着実に推進することで、未来を担う子どもたちに良好な環境を引き継ぎ、加えて市内経済の循環及び持続可能な成長・発展につなげてまいります。

 

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