公明党横浜市会議員団で「個・孤の時代に向けた展望と提言」と題して、(株)日本総合研究所創発センター・沢村香苗氏をお迎えして高齢者の身寄りなし問題の勉強会を開催しました。
まず、沢村さんは2017年に厚生労働省の事業で「身元保証等高齢者サポート事業者」の調査を行ったことがきっかけで、「老後の面倒を見てくれる『身寄り』がいない人が増える」ことにきづいたとの事。議員としての市民相談においても、入院等の意思確認や住宅入居、高齢者の孤独死、死後事務等、幅の広い相談が寄せられている現状もあります。
高齢者は心身機能や環境が変化し、苦しい中で新たな出来事に対応するという矛盾もはらんでいます。長寿化・サービスの多様化等によって、家族にとっても支援の負荷は高まっています。老後の面倒を見る人がいないとどうなるか…。生活の質が保てない、無縁仏ないなるなど、自分の尊厳が保持できない。環境が悪化する、支払いができない等、支援負担が過剰になる等他者にも不利益が生じてしまいます。
同居者がいる場合でも、配偶者頼みである可能性があり、持続可能性に欠けてしまいます。複数人世帯の場合でも、一人の変化が全員に波及し、全員が「おひとりさま」状態になってしまうことがあります。資力や判断能力の有無ではなく、「支払いの手続きができない」「判断能力が低下する」リスクがあること自体が身寄り無し問題となります。実際、判断能力がある場合や資力に任意後見や身元保証を利用するほどの余裕がない場合は利用できる手段がありません。
身寄りがないことによって入院・入所を断れることはいまだに続いている様で、多くは現場レベルでの判断で、全体としては「問題がない」ように受け取られている様です。例えば緊急連絡先がない、保証人がいない人は入院受けられないので、他の病院へと促される等。
横須賀市では、墓地埋葬法9条の「予防」として、資産が無い方を対象に葬儀の生前予約を支援する「エンディングサポート事業」と全ての市民を対象に、いざとう時に重要な情報を登録す。伝達する「わたしの終活登録事業」を展開しています。「わたしの終活登録事業」では、希望する全ての市民が対象で、元気なうちに安心に繋がる終活情報を自分の意志で登録します。登録内容は…
➀本籍・筆頭者②緊急連絡先③支援事業者・終活サークルなど④医師・薬、アレルギー⑤リヴィングウィル(Living Willとは、簡単に言うと、「回復の見込みがなく死期が間近に迫った人生の最終段階において、延命治療をしてほしいか、してほしくないか等について、主治医や家族に知らせるために、判断能力が十分なうちに示される意思」のことの保管場所)の保管場所。⑥エンディングノートの保管場所⑦臓器提供に関する医師表示⑧葬儀・納骨・遺品整理の生前契約、献体の生前登録⑨遺言書の保管先⑩お墓の所在地⑪自由登録事項
また、足立区では「権利擁護センターあだち」として区社会福祉協議会が身元保証など高齢者サポート事業のようなサービスを提供。
大都市横浜においても、区レベルの顔の見える地域包括等で、モデル事業を行う等検証が必要に思います。大変重要な事項ですので、引き続き調査していきたいと思います。