認知症の人が尊厳を保持しながら希望を持って暮らせるよう、国と自治体が関連施策に取り組むことを規定した認知症基本法が成立しました。
令和7年には、約700万人が認知症になると見込まれ、65歳以上の5人に1人に上る数となります。
政府は首相を本部長とする推進本部を設置し、当事者や家族らの意見を反映させた基本計画を策定。都道府県と市町村には推進計画を策定する努力義務が課せられ、公布から1年以内に施行されます。
この基本法は与野党の合意による議員立法です。認知症の人を含む誰もが相互に支え合う「共生社会」の実現を掲げ、基本理念には、正しい理解の普及、適切な保健医療・福祉サービスの提供、家族らへの支援などを盛り込んでいます。
認知症施策を巡って公明党は、2015年に国会質問で基本法制定の必要性を主張。17年には党内に推進本部を設置し、18年9月に当事者らの意見を反映させた党独自の基本法案の骨子案を取りまとめていました。21年6月には超党派の議員連盟が発足し、今回の基本法を取りまとめられました。
公明新聞で、「認知症 共に生きる」を連載している認知症介護研究・研修東京センター副センター長兼研究部長の永田久美子氏のコメントが同紙に掲載されています。
「認知症の人は何もできないといった考え方を転換し、認知症になっても尊厳と希望を持って暮らせるという人権重視の新しい認知症観を導く法律であり、非常に画期的だ。認知症の人の症状のみに目を奪われず、人間そのものを見て、人間性を大事にしていく施策を進めるための羅針盤ができたと評価したい。これまでの施策の進捗には地域差があり、今後は基本法をどう迅速に具現化していけるかが課題となる。行政だけに責任を負わせずに、本人を含む地域のあらゆる人が一緒に施策を進めていくことがカギであり、家族だけに頑張らせることもあってはならない。」と。
横浜市では、高齢者に関する各種の保健福祉事業や介護保険制度の円滑な実施に関する総合的な計画「よこはま地域包括ケア計画」として、「⾼齢者保健福祉計画」・「介護保険事業計画」・「認知症施策推進計画」の3つの計画を合わせた計画を策定。
取り組む課題を明らかにし、目標などを定めた法定計画として令和3年度から5年度の計画を設定しています。現在新たに令和6年度から8年度の3年間の第9期計画の作成検討が進められてます。団塊の世代全員が 75 歳以上となる 2025 年及び、団塊ジュニア世代が 65歳以上となる 2040 年を見据えて高齢者福祉施策を推進していくための計画です。
基本法の成立により、これまで認知症対策加え、十分でなかった部分に、これを機に本腰を入れる事が期待をされます。認知症と診断されてもできるだけ悩みを減らしていける環境をつくる事が大切で、これまで認知症になった人の意見が十分に反映されていなかったとの指摘もあります。認知症の人への理解も進め、共生社会の実現に寄与するよう努力義務が新法には努力義務が課せられていますが、認知症の人が安心して暮らすには、周囲の理解も不可欠となります。
日常生活で困ったことの手助けを行えるよう「認知症サポーター」も要請なども更に浸透できればと思います。