性被害や生活困窮、家庭関係の破綻などの困難な問題を抱える女性に多様な支援を包括的に提供するため、公明党を含む超党派の議員立法で昨年5月に成立した「困難女性支援法」。1956年制定の売春防止法に基づく婦人保護事業による従来の支援の枠組みを転換するものです。
困難な女性支援法:困難に直面する女性への支援について、基本理念や国・自治体の責務などを規定。現在、婦人保護事業として各都道府県に設置されている婦人相談所を「女性相談支援センター」、同相談所などに配置される婦人相談員を「女性相談支援員」、39都道府県に47カ所ある婦人保護施設を「女性自立支援施設」と名称変更し、相談対応や一時保護、医学的・心理学的な援助、自立促進のための生活支援などを行うことも定めた。一部を除き2024年4月に施行されます。
支援の現場では評価や期待の声が上がりました。(公明党ニュース)
私たちは、生きづらさを抱える10代、20代の女の子を支援しているが、対象を家出、自殺などと限定せず、漠然としているからこそ、いろいろな相談が寄せられている。一方で、相談に来た子を公的機関につないでも、「法的根拠がない」として対応を断られることがあった。例えば家族から虐待を受けている場合、17歳だと児童相談所で保護するが、18歳以上は家出して「居所なし」にならないと婦人保護事業で対応できない――と言われたこともあった。新法は「困難な問題を抱える女性」が対象なので、より多くの人を救えることが期待される。「官民協働」も掲げられたが、女性を助けたい気持ちは官民共通だと思うので、お互いに当事者ありきの支援をしていきたい。女性支援の現場で、公明党が小さな声を聴いて必要な行動を起こし、実行する姿を見てきたが、新法における女性福祉の視点は、そうした公明党の視点と共通していると感じている。新法成立への尽力に感謝したい。(NPO法人BONDプロジェクト 橘ジュン 代表)
婦人保護事業は、売春を行う恐れがある女性の「保護更生」のために創設された。これは“女性自身に問題があり、生き直しが必要”という目線だ。しかし、実際に婦人保護施設に入所して支援を受ける女性は、売春歴の有無にかかわらず、性被害などの暴力被害に遭ったり、家を追い出されて居場所を失ったりした人が多い。本来なら心のケアや自立支援が必要だが、保護更生が前提の現行制度では、職員配置も含めて十分な支援が難しい状況だ。新法では、人権の尊重などが掲げられた。対象者の定義の中に「性被害」が明記されたことも重要だ。これらを踏まえ、心の回復支援を柱に据えた支援に取り組みたい。法律制定は遠い存在だと思っていたが、2016年に自民、公明の与党両党からヒアリングを受けて以来、政治が大きく動いた。特に公明党は、施設への視察や党の会合で、党を挙げて見直しに取り組んでいることが強く感じられた。ご協力に心から感謝申し上げたい。(全国婦人保護施設等連絡協議会 横田千代子 会長)
横浜市の地域の中で、課題認識をすることからはじめて、具現化して参ります。