過去の大規模災害においては、ペットが飼い主と離れ離れになってしまう事例が多数発生しましたたが、このような動物を保護することは多大な労力と時間を要するだけでなく、その間にペットが負傷したり衰弱・死亡するおそれもあります。また、不妊去勢処置がなされていない場合、繁殖により増加することで、住民の安全や公衆衛生上の環境が悪化することも懸念されます。このような事態を防ぐために、災害時の同行避難を推進することは、動物愛護の観点のみならず、放浪動物による人への危害防止や生活環境保全の観点からも、必要な措置であるとは、環境省の定めた「災害時のペットの救護対策ガイドライン」です。災害が起こった時に飼い主はペットと同行避難することが基本です。そのため、平常時からそれに備えるべき対策についての意識をもち、ペットの安全と健康を守るとともに、他の避難者への迷惑にならないように努めなければなりません。様々な人が共同生活を送る避難所においてペットを飼育する場合は、動物が苦手な人、アレルギーを持っている人等への特別の配慮が求められます。避難所におけるペットの存在が、人々にとってストレスやトラブルの原因となるかどうかは、飼い主自身の意識と、平常時からの備えに左右されとしています。また、通常の環境とは大きく異なる避難生活はペットにとっても大きなストレスとなる可能性がありますが、ペットの避難に必要な用具等を準備しておくことや、普段からしつけや健康管理をしておくことで、そのストレスを軽減させることも可能です。
横浜市の災害時ペット対策については、平成23年5月に「災害時のペット対策~ペットとの同行避難対応ガイドライン~」にまとめられています。(以下)現在、 横浜市内には約 17 万 3 千頭の犬が登録され、 ほぼ同数の猫も飼育されていると推計しています。 また、 そのほかに鳥や小動物など多くのペットが飼育されています。このように多数のペットが飼育されている中で、 大規模災害の発生を想定したペット対策をどのように講じていくかは、 重要な課題です。横浜市では、 災害時のペット対策について、 平成 23 年 5 月に 「地域防災拠点におけるペットの同行避難対応ガイドライン」 としてまとめています。
その後、 度重なる全国の震災時の被災状況を検証し、 平成 30 年に環境省の 「人とペットの災害対策ガイドライン」 が改訂されたことや、 横浜市の 「横浜市防災計画 (震災対策編)」、 「地域防災拠点開設 ・ 運営マニュアル (資料編)」 等の改訂を受けて、 このガイドラインも改訂を重ねてきました。また、 令和元年度に発生した台風による大規模な風水害では、 地震等の震災時とは異なる事前の 「避難行動」 が重要であることがわかってきました。災害発生時に混乱を生じることがないよう、 ペットを飼っている人だけでなく、ペットを飼っていない人や地域防災拠点 を運営される人など、地域の皆様に活用していただく事が大切です。