「おひとりさま」時代の到来。

高齢者の長寿化や未婚率上昇などによって、国の推計では2040年、単身世帯は総世帯数の4割になるとされています。「おひとりさま」の急増が社会にどのような変化を引き起こすのか。公明新聞誌上で社会政策専門の日本福祉大学の藤森克彦教授へのインタビュー記事が掲載をされていました。高齢者の身寄り問題、地域で身寄りのない体制づくりは急務です。以下記事要旨。

高齢者で一人暮らしが増えるのは、長寿化による高齢者の増加と、老親とその子が同居しなくなった。また、男性を中心に中高年で一人暮らしが増加という未婚化の影響が大きいとされます。未婚化の背景は、仕事と子育ての両立が難しい社会環境や、非正規労働者の増加。結婚に対する社会規範の変化等が上げられます。かつては「皆婚規範」が強く、特別な理由がない限り人生の中で結婚することが当たり前とする意識が一般的でしたが、近年では高い年齢に至るまで未婚に留まる人々が増え、結婚を選択的行為として捉える見方が広まっていると考えられると言われます。

この国は「家族依存型福祉国家」で、介護や保育等の福祉ニーズに対して、主に家族対応するスタイルが主でした。夫が正社員として働き、妻が介護や育児などを担う「男性稼ぎ主モデル」です。この男性稼ぎ主モデルの「夫婦と子」からなる世帯は全世帯の25%迄減少。単身世帯が4割近くを占めています。家族の形が変わる中で、従来の役割を家族に期待することは困難です。

そして、今後高齢者の“身寄り問題”が深刻化する懸念があります。70代の一人暮らし男性の配偶関係では、1985年には死別者が5%。2020年では、死別者が30%、未婚者34%。同じ一人暮らし高齢者でも未婚者は、死別者と異なって、配偶者だけでなく子どもがいない可能性が高く、老後を家族に頼る事も一層困難な状況です。

現代社会は、経済的貧困だけでなく、「関係性の貧困」も大きな課題であると藤森教授は指摘します。そこで急務なのは、地域で身寄りのない単身者を支える体制づくりです。「身寄りのない人をどのように支えるか」のガイドラインを策定している地域もある様です。身寄りのない人を見守り、繋がり続けていく『伴奏型支援』も必要です。子育て支援の『伴奏型支援』、どちらも大切な繋がりの中での支援です。

 

 

URL :
TRACKBACK URL :

コメント

  • 最近の投稿
  • 人気の記事
  • Category
  • アーカイブ