2年後の2025年に団塊の世代が全員、75歳以上になり、全人口の約18%を後期高齢者が占める一方で、昨年の出生数は初めて80万人を割る見通しです。このままでは社会保障制度などの持続可能性が危ぶまれます。こうした厳しい現状認識を踏まえ、公明党は昨年11月に「子育て応援トータルプラン」を発表。「子育て支援」は、まさに国の「隠れた安全保障」といえる事態に差し掛かっています。
WHOの統計で日本は世界で一番平均寿命が長い。所得や人口、環境など、世界の国のランキングには、様々ありますが平均寿命は極めて重要な基準で日本は世界のトップに立っています。
百歳以上の高齢者の数は、老人福祉法が制定された昭和38年には全国で153人でした が、昭和56年に千人を超え、平成10年に1万人を超えました。 平成24年に5万人を超え、 今年は90,526人(前年比+4,016人)です。 また、百歳以上の高齢者のうち女性は80,161人(全体の約89%)です。国連の推計では、2050年までに、日本の100歳以上の人口は、100万人を突破すとしています。2007年に生まれた子供の半分は、107年以上生きる事が予想されるとは、リンダ・グラットン氏のLIFE・SHIFTです。
神奈川区では、令和4年における100歳以上の人口は、143人です。平成7年では7人で平成20年に50人を超え、令和に入り100人を超えて令和元年で113人です。人生100年時代における「人生設計」とともに「社会保障制度」の在り方、国にあり方が問われています。
また、長寿化と併せて未婚率も上昇していて、単身世帯は国の総世帯の4割に上るとされています。これは、家族の姿が大きく変化していて公明新聞の特集インタービューでの日本福祉大学、藤森克彦教授のインタビュー記事では、「おひとりさま」時代の到来として、全ての人が安心して暮らせる社会への課題定義をされています。
単身世帯の要因として、高齢者で一人暮らしの増加は、長寿化の高齢者の増加と老親とその子が同居をしない。また、男性を中心に中高年層で一人暮らしが増加する要因として未婚化があります。未婚化の背景には仕事と子育ての両立が困難な社会環境や非正規労働の増加、結婚に対する社会規範の変化を指摘されています。(50歳時の未婚率は、1990年以降男性が急上昇。2040年には29%となり、3人に1人が結婚経験無しの状況が推測され、家族の姿が大きく変わると指摘。
藤森教授は、日本は介護や保育等の福祉ニーズに対して、主に家族で対応する「家族依存型福祉国家」と言われてきた。これを支えて来たのは、夫が正社員で働き、妻が介護や育児等を担う「男性稼ぎ主モデル」。しかし、“夫婦と子”からなる世帯は、全世帯の25%迄減少し、単身世帯が4割近く占めて、家族の形が変わる中で従来通りの役割を家族に期待するのは困難とも指摘。
公明党は1964年の結党時に「大衆福祉」の旗を掲げ、「福祉なんて政治が扱うものではない」と冷笑していた他党の政治家の考えを覆し、福祉を政治の表舞台に押し上げてきました。トータルプランの提言は、公明党の代名詞といえる政策集です。第1弾は1976年の「福祉社会トータルプラン」にまでさか上ります。その後、高齢化が進む社会情勢に対応した「21世紀トータルプラン」(89年)、「少子社会トータルプラン」(2006年)と続きます。
最初の福祉社会トータルプランは、日本の政党が初めて策定した福祉の総合政策として画期的な内容で、当時、識者から「批判にたえうる現実的一貫性をもっている」(村上泰亮・東京大学教授=1976年10月25日付公明新聞)と高い評価が寄せられました。今や当たり前となった基礎年金の導入や児童手当の拡充、幼児教育・保育の無償化など、社会保障の施策の多くは、公明党が数々のトータルプランで掲げ、一つ一つ着実に実現したものです。
こうした中で、今回の子ま育て応援トータルプランは、コロナ禍で少子化が想定を上回る速さで進む危機的現状を打破すべく、識者や子育て世代の声を反映して策定した。妊娠・出産から子どもが社会に巣立つまで、ライフステージに応じた支援策を切れ目なく示した。巣立ちまで支援策切れ目なく実施する事が大切です。
日本は、GDPに占める家族関係社会支出の比率が改善されていると言え、先進国に比べて低く少子化の歯止めをかけるには対応できない状況と言われます。
横浜市でも、全ての人の「明日をひらく都市」であり続けたいことを中期計画にも掲げています。計画では、「子育てしたいまち 次世代を共に育むまち ヨコハマ」を「基本戦略」に掲げて、「住みたい都市」「住み続けたい都市」「選ばれる都市」となり、「明日をひらく都市を共にめざす仲間」を増やしていきます。子育て世代を支援し、仲間を増やしていきながら、高齢者を支えていく等の好循環を創出していくとしています。
一方、「財政ビジョン」で掲げた「必要な施策の推進と財政の健全性の維持」を実現していくためには、政策の優先順位付けも必須です。そのため、「基本戦略」への貢献度が高い策を優先して実行していくことと、「行政運営
の基本方針」を踏まえた行政サービスの最適化(事業手法の創造・転換)をセットで進め、将来の横浜市民を支える財源もしっかり確保しする事にしています。
構造変化の時代ともいえる中で、大きな大切な課題をしっかりと地に足を付け乗り越えるために努力して参りたいと思います。