今後の地域交通「横浜モデル」について

基本計画特別委員会における「横浜市の地域交通」への取り組みについての公明党の質疑です。

高齢者の免許返納、コロナ禍でのバスの減便・路線廃止等々、市民の「日常の足」がなくなるこうした待ったなしの状況に、行政が対応できているのかが問われています。先日の本会議、公明党の質疑で、地域交通の「横浜モデル」をつくるとの市長答弁がありました。期待したいですが、そこでまず、

【質問】「横浜モデル」とはどのようなものか、市長に伺います。

【市長答弁】御承知のとおり本市の郊外部は、地形、路線バスの運行状況、店舗、病院の立地状況などが地域ごとに大変大きく異なってございます。したがって、それぞれの地域に合った移動手段を適切に考えていく必要がございます。このような、様々な地域性に見合った移動サービスを「横浜モデル」と表現したものであります。

●現在の取組み含め、伺っていきます。中期計画原案では、地域交通サポート事業などの本格運行地区数を17地区から30地区にすることを目標に、各地域で実証実験を行うこととしています。現在、行われている実証実験のひとつ、港南区永野・永谷地区の「ながなが号」は、地域の高齢者の方々を対象にルートやダイヤを定めずに運行するデマンド型交通として、実証実験を10月から開始しました。運行開始からまだ2か月ですが、

【質問】「ながなが号」の登録状況や利用状況について、道路局長に伺います。

【局長答弁】デマンド型交通は地域の利用者の方々にとっても全く新しい交通システムです。そこで、登録者数を実験終了時までに180人とすることを目標としています。これに対しまして、12月12日現在で登録者数は93人となっています。また、利用者数は、延べ137人となっています。

●現在、地域交通の導入が求められているような地域では、運賃収入だけで事業の採算性を確保することは非常にハードルが高いものがあります。持続可能な地域交通には、利用者を増やすだけではなく、更なる工夫が必要と考えます。そこで、

【質問】持続可能な地域交通とするためには、どのような工夫が必要と考えているのか、副市長の見解を伺います。

【副市長答弁】持続可能な地域交通とするためには、多くの方々にまず御利用いただくこと、そして採算性を確保していくことが不可欠でございます。そのため、運行ルートや頻度の最適化によります利用満足度の向上、それから運行経費の抑制、広告料をはじめとした運賃以外の収入確保等の工夫が必要と考えてございます。実証実験から得られるデータの分析を行いまして、地域に最適な移動サービスの導入に向けて引き続き検討してまいります。

 ●地域交通は採算性の確保や運転手の確保など、とても難しい課題を抱えています。そこで、民間企業との連携が一つの解決策となります。例えば、以前もご紹介しました、群馬県から始まった福祉施設の送迎車両を活用する福祉ムーバー事業は、既にあるデイサービスの送迎網とICT技術を活用し、多額の投資をせずに交通弱者を救うことができ、本県の小田原市をはじめ広がりを見せています。また明日から、前橋市ではこの仕組みを活用し、介護車両だけでなく、市内すべてのタクシー事業社9社も加わり、運行がスタートするとのことです。

これに限らず、他都市では、市民の移動の足を確保するため、民間による様々な取組を取り込み、街がひとつになって、スピードを上げて進んでいます。立ちはだかる壁を破り、行政は市内全域の地域交通を俯瞰して、どこが不足しているかなどを管理し、民間と連携するなどして対策を進めているのです。そこで、

【質問】こうした他都市の取組みに対する市長の所感を伺います。

群馬県の事例のように、デイサービスの送迎車を利用したデマンド型乗合送迎サービスなど、地域の既存ストックを活用して、地域交通の充実を図っていくことは、大変重要な視点であると考えています。今後、横浜の特性に合った、移動サービスを構築するために、他都市の取組について、積極的に情報収集してまいります。併せて既成概念に捉われることなく、検討を進めてまいります。

●横浜市会では、何年も前から、現場の声を受けて各会派が地域交通問題を取り上げています。市民生活の厳しい現実、日常の足がなくなることによる悲鳴のような声を聴けば、黙っているわけにはいかないからだと思います。他都市ではどんどん進む対策も、本市はまだ行政が企画・立案してモデルを開始する段階であり、今後数年をかけて結果を検証し、横浜モデルを作るとしています。あまりに遅くないでしょうか。この質疑の冒頭に申し上げた免許返納、バス便の減便・廃止などの現実の変化に、追いついていないように、私は感じます。どんどん民間の力を取り込んで、地域交通問題の解決に向けて取り組むべきと考えます。そこで、

【質問】早期に市民の足を確保するためには、様々な分野の民間の企業・団体などとの連携が必要と考えますが、市長の見解を伺います

【市長答弁】民間企業や民間団体との連携として、まず、運行経費の抑制に向けた、地域の商業施設や福祉施設の送迎車両など、既存ストックの活用が考えられると思います。また、利便性向上に向け、電子決済やアプリ等の技術の活用、さらに、利用機会の創出に向けて、地域の商店街と提携したサービスの提供など、様々な検討余地がございます。こうした民間企業・団体との対話を積極的に重ねることで、地域交通の充実に向けて、既成概念に捉われることなく取り組んでいきたいと考えています。

すでに、日常生活に支障をきたしており、地域交通問題は待った無しの状況です。何度も申し上げてきましたが、タクシーは重要な交通手段ですが、買い物、病院などへ、タクシーを日常の足として使える年金生活者は決して多くはありません。地域交通施策の実現。一体、いつになったら新たな移動手段が確保されるのか。

 【質問】スピード感を持って取組をしっかり進めるべきと考えますが、市長の見解を伺います。

【市長答弁】新たな移動手段の検討には、柔軟な発想とスピード感が求められます。その観点で、タスクフォースを設置して、地域交通の取組を加速させる、この取組をいま行っております。子育て世代をはじめ、あらゆる世代から選ばれるまちの実現に向けて、しっかりとタスクフォースでの検討、そして全庁内的な検討を進めてまいりたいと考えています。

●公明党としても、とても重要な課題と認識しており、後押ししていきたいと思っていますので、ぜひ、地域交通を充実させてほしい。改めて強く要望します。

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