横浜市会大都市行財政制度特別委員会の委員長ほか8名が、本日(11月9日)総務副大臣、衆議院総務委員長及び参議院総務委員長に対し、特別市の法制化に関する要望を行いました。
横浜市会は、昭和22年5月の地方自治法施行に伴い、特別市制が法律に規定されたことを受け、特別市制促進実行委員会を設置して以来、半世紀以上に渡り、地方制度の調査とその改善促進を目指すとともに、大都市横浜にふさわしい新たな大都市制度の早期実現と、その実態に対応する税財政制度の確立に向けて議論を積み重ねてきました。平成23年12月には、第30次地方制度調査会において大都市制度のあり方について審議が進められていくこと等を踏まえ、国における制度改革を働きかけるために、特別市の創設を強く要望する「新たな大都市制度である「特別自治市」創設に関する決議」を議決し、議決機関の立場として横浜市会の意思を明確に示しました。
平成24年8月には「大都市地域における特別区の設置に関する法律」が成立し、地域の実情に応じた大都市制度の特例として道府県に特別区を設置することが可能になった一方、特別市については法制化に至っておらず、横浜市をはじめとする大都市が地域の実情に応じた多様な大都市制度を選択できない不均衡な状況が今日まで継続しています。この間も横浜市会は、令和3年6月に「特別自治市制度の早期実現を求める意見書」を議決し、衆参両議院議長や内閣総理大臣等に提出しているほか、令和4年2月には、横浜市を取り巻く各方面において大都市制度改革の議論が盛んになっている時機を捉え、改めて、国等において、速やかに特別市の制度化に向けた議論を始めるなど、特別市の早期実現に向けた取組を加速させることを強く要望する「「特別自治市」の早期実現に関する決議」を議決したところです。特別市は、市民サービスの向上はもとより、圏域の発展や日本の国際競争力強化によって、その効果を国内に広げ持続可能な地域社会の実現を図るものです。
大都市を取り巻く様々な課題解決を新たな飛躍のチャンスと捉え、将来を見据え、日本全体の成長力を高め、経済を活性化していくために、大都市が持つ力を最大限発揮できる特別市の早期実現に取り組むべきです。 特別市の実現に向けては、国会において立法化されることが必要です。ついては、特別市の法制化に関し、次の事項の実現を強く要望します。
特別市の法制化に関する要望
1 特別市の法制化の早期実現
現行の指定都市制度は、暫定的な制度として創設されてから65年余りが経過し、道府県との二重行政や不十分な税制上の措置など、多くの課題を抱えており、大都市がその能力を十分に発揮できる制度的な位置付けがなされていない。377万市民を擁する大都市横浜が、今後も持続可能な行財政運営を行い、日本経済の成長を牽引していくためには、大都市制度の抜本的な改革が必要である。指定都市が地域の実情に応じた大都市制度を選択できるようにするため、「大都市地域における特別区の設置に関する法律」に基づく特別区設置以外の新たな選択肢として特別市の法制化を早期に実現すること。
2 内閣総理大臣の諮問機関である地方制度調査会における大都市制度改革議論の推進
大都市制度の改革について検討がなされた第30次地方制度調査会の答申において、「特別市(仮称)」は、「「二重行政」が完全に解消され、今後の大都市地域における高齢化や社会資本の老朽化に備えた効率的・効果的な行政体制の整備に資する点で大きな意義を有する。また、大規模な都市が日本全体の経済発展を支えるため、一元的な行政権限を獲得し、政策選択の自由度が高まるという点にも意義がある」とされた。一方で、さらに検討すべき課題が存在するとし、引き続き検討を進めていく必要があるとされた。これを受け、横浜市は、令和3年3月に「横浜特別自治市大綱」を改訂し、第30次地方制度調査会答申で示された「さらに検討すべき課題」に対する考え方を提示している。
しかし、第30次地方制度調査会以降、地方制度調査会において大都市制度改革の実質的な議論はされていない状況である。特別市の「さらに検討すべき課題」に対する横浜市の考え方も踏まえ、特別市の法制化に向けて、速やかに地方制度調査会における大都市制度改革の議論を進めること。