災害時の情報伝達について

災害時の情報伝達について第3回市会定例会決算特別員会に総務局審査で質疑をしました。

近年、スマートフォンが広く普及し、多くの市民がスマートフォンを保有するようになりました。総務省の調査によると、既に9割弱の世帯でスマートフォンを保有。一方で、60歳台の25.7%、70歳台で57.8%がスマートフォンを利用できていないとのデータもあることから、他の世代と比べて、高齢者では、スマートフォンで情報を受け取れない方が多いという現状があります。

【質問】まずは、横浜市は災害時にどのような手段で情報伝達をしているか伺う。

《危機管理部長答弁答弁》横浜市では、Lアラートによるテレビ、ラジオへの発信、緊急速報メール、防災情報Eメールなどのメール、Twitter、スマートフォンアプリ、ホームページ、防災スピーカーによる伝達を行っています。その他にも、スピーカー付き公用車や戸別訪問などの人的対応まで含め、多様な手段を組み合わせて、災害情報をお伝えしています。

●スマートフォンを通じて情報伝達する手段が多くある中で、スピーカー付き公用車などによる音声による情報伝達は、スマートフォンを持っているかどうかに関係なく、情報を伝えることができる手段です。現在、区役所の公用車のうち140台程度がスピーカーを搭載していると聞いています。さまざまな情報を地域住民にお知らせする方法として、直接的でわかりやすく、選挙広報などでも活用されているかと思います。一方で、私の記憶では、スピーカー付き公用車の導入は、災害時の広報手段として東日本大震災以降拡大していったと聞いていましたが、実際に災害時にスピーカー付き公用車が活用されている姿をあまり見ることはありません。 せっかく導入を進めてきたのですから、有効活用されるべきだと思いますが、一方で、近年、横浜市でも災害時のさまざまな情報発信手段が導入されており、スピーカー付き公用車の活用機会が減っているのではないかと思います。

【質問】災害時の情報伝達手段としてのスピーカー付き公用車の位置づけや活用場面について伺う。

《危機管理部長答弁》スピーカー付き公用車は、移動しながら地域に合わせた情報を臨機応変に伝達することができ、また大災害によりスマートフォンなどが使えない場合のセーフティネットとしても有効と考えています。

●昨年度実施した戸別受信機の実証実験について。戸別受信機は、各家庭等の屋内で気象警報等の緊急情報を音声として聞くことができるもので、大雨や台風時に防災スピーカーからの音声が十分に聞こえにくい状況においても、屋内に設置する戸別受信機が市民への確実な情報伝達に有効であり、また、スマートフォンを保有していない方への情報伝達手段として有効であると考えています。

【質問】昨年度実施した、戸別受信機試行の検証結果について伺う。

《危機管理部長答弁》昨年度、新たな情報伝達手段として、戸別受信機の導入を検討し、緑区で実証実験を行いました。室内でよく聞こえたという評価を受けましたが、受信してから読み上げまでに時間がかかる、受信履歴が確認できないなどの運用面や、導入に係るシステム整備に多額の費用がかかるなどの課題があることが分かり、18区に展開し、継続して活用していくことは難しいと判断しました。

●運用面や費用の面で課題があるようですが、スマートフォンを利用していない人はスマートフォンを利用している人に比べて、取得する情報量が少なく、また、取得するタイミングについても遅れる可能性が高いと思われます。そのため、スマートフォンをお持ちでない方への情報伝達手段を強化する必要があると考えています。

【質問】スマートフォンを持たない方への情報伝達をどのように考えていくのか伺う。

《危機管理室長答弁》昨年度に実施したアンケート調査でも、まだ多くの方が、防災に関する緊急情報を、テレビから入手している、ということが分かりましたので、緊急時には自動的にテレビが立ち上がり、積極的に情報をお知らせする「プッシュ通知」を情報伝達手段として検討しています。また、様々な事情でスマートフォンをお持ちでない方に対しては、スマートフォンの保有を促進する取組についても検討を行っております。

●発災時に適切な避難行動を取るためには、“早く”そして“正確な”情報の取得が重要です。スマートフォンをお持ちでない方に対しても、迅速確実な情報提供や避難誘導などにつなげるとともに、情報格差によって失われる命がないようにしなければならないということで、いくつか具体的な情報伝達手段が必要です。しかしながら、災害は日常的に発生するものではないため、これらの活用機会はどうしても少なくなってしまうのではと思います。そして、普段から活用していないと、いざ、活用すべきときに、職員が不慣れであったり、体制が整わなかったりするのではないかと懸念しています。こういった懸念は、すべての情報発信手段に共通していることで、いくら手段を設けていても、結果的に、必要な方に必要な情報を伝えられないといった事態になっては意味がありません。

【質問】いつ起こるか分からない災害に備え、必要な情報が確実に伝達できるよう取り組むべきと考えますが、危機管理室長の見解を伺います。

《危機管理室長答弁》災害時の情報発信については、停電や通信障害など被害の状況や、一人ひとりの受信環境に応じ、重層的な手段を設け、情報の伝達に抜け落ちがないように備えることが重要と考えております。そのうえで、平時から、運用の確認や、訓練を行いながら職員が状況に応じた、効果的な手段を選択し、実際に活用できるよう取り組んでいきます。

●各年代、特性に応じて誰もが情報を取得できるよう、多様な手段を設け、また、確実にそれらの手段で情報発信できるよう日頃からの準備をお願いします。その上で、情報を受け取った市民の皆さんが自らの避難行動につなげていくということも大変重要なことであり、自分の命は自分で守るという自助の意識や地域で支える共助の意識の醸成も合わせて行っていくよう要望しました。

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