横浜市の今後の財政状況を見通す上で前提となる本市の将来人口推計では、今後、急激な少子高齢化と総人口の減少が予測されています。将来人口推計をベースにした長期財政推計では、高齢化の進展による社会保障経費の増加と人口減少による市税収入の減少により、今後、各年度の一般会計の収支差(歳出に対する歳入の不足額)は拡大し続けることが予測されています。これは、将来的に現在の行政サービスの水準を維持することが困難になることを意味しており、市政の持続性が欠けた危機的な状態です。
将来世代に負担を先送りせず、未来の横浜を担う子どもたちが安心して暮らせるよう、市政の土台となる「財政の構造的な課題」から目を背けず、今からその解消に向けて正面から取り組む必要があります。
「横浜市将来人口推計」(H29.12)」(中位推計)【0~14歳人口 2020年45万人 → 2065年32万人 (▲13万人) ■65歳以上人口 2020年94万人 → 2065年108万人 (+14万人)】
〔歳出面の見通し〕・社会保障経費は、今後、2040年頃にかけて高齢化の進展とともに支出が拡大。2040年以降も、総人口が減少する中で、市民一人当たりの支出額は継続して増加。・市内の公共施設の老朽化が進行し、今後、保全更新需要が増大。
【社会保障経費の推計】2022→2065年度(億円):市民一人当たり(千円) 高位推計+2,160〔+89〕 中位推計+980〔+74〕 低位推計+70〔+64〕
〔歳入面の見通し〕・歳入の中心となる市税収入が、人口減少により個人住民税を中心に減少。・現在でも、税収等の経常的な財源に加えて多額の臨時財源を活用することで毎年度の歳出をまかなっている状況。施策の「選択と集中」と、財源の充実に向けた歳出・歳入両面の取組が必要。
【市税収入の推計】2022→2065年度(億円) 高位推計▲710 中位推計▲1,060 低位推計▲1,380
【主な臨時的な財源の活用状況(予算)】債務に関する今後の見通しについては、国の厳しい財政状況から今後も臨時財政対策債の割当てが継続する可能性がありますが、将来世代に過度な負担を先送りしないよう、人口減少に対応し、市民一人当たりの負担に着目しながら、借入金残高全体として管理をしていく必要があります。現在まで多額の積立不足額がある減債基金についても、財源対策としての臨時的活用について、構造的な収支差の解消の状況を踏まえながら計画的に脱却し、着実に積戻しを実施していくことが求められます。
【減債基金残高及び積立不足額(累計活用額)の推移(決算】 減債基金は、将来の市債の償還に備えて積立てを行うものですが、経済事情の変動等により財源が不足する場合に、当年度の市債の償還の財源に充てる目的で、本来より早く取り崩して活用を行っています。 本来あるべき積立額に不足する金額(R4年度予算ベースで3,035億円)は、市債の償還に滞りがないよう、積戻しを行う必要があります。