これからの郊外部のまちづくりを考えていく際に、地域の魅力や資源を活かした就労や雇用の場を生み出していくことの必要性があります。このコロナ禍を乗り越えるために市民や民間の事業者の皆様から沸き起こった様々な活動の中に、一人、ひとりの市民が自分らしく、生き生きと働くことのできる場が生み出され、横浜の新たな時代を切り開くまちづくりの可能性があると考えています。横浜市における大きな資産の一つに、市民力があります。地域に目を向けると、そこには様々な財産やポテンシャルがあります。横浜版地域循環型経済の推進について予算代表質疑にて取り上げました。
今回、見つけた可能性の一つに、農業やアートを通じて地域で生き生きと働き、稼ぐ障害者の存在です。横浜では、これまでも障害者やひきもりの若者が社会体験や就労訓練の一環として農業に関わるケースは、ありましたが、コロナ禍以降は、自らの個性や能力に適した仕事として、農業や食品加工、文化芸術活動に携わり、プロとして稼いでいる障害者が増えており、彼らの頑張りが地域全体に良い影響を与え、多くの人たちを元気にしている事例があります。
続いて二つ目の可能性は、SDGsの視点から本業を通じて地域課題を解決する中小・零細企業の存在です。これまでも横浜では本業とは別のCSRの一環として社会貢献活動を行う企業は数多く存在していましたが、近年では本業を通じて社会課題解決と向き合う企業が増えています。そしてこうした企業の存在が地域経済の持続可能性をもたらし、課題解決に向けた多様な民間主体を結びつけるハブとなっています。
そして三つ目の可能性は、「はまっこ未来カンパニー」など自らが主体となって地域を元気にする子ども・若者の存在です。例えば私の地元の神奈川区羽沢地区では、子どもたちが近所の農家から養蜂やキャベツづくりについて学びながら、農家の仕事を支えるために蜂の蜜源となる花づくりをリサイクル事業者と連携しながら有機たい肥を活用しながら行っていたり、印刷事業者と連携しながら、羽沢のキャベツをPRするためのポスターづくりを行っている。子どもたちが学習活動を通じて、地域の様々な大人たちと連携しながら、地域を元気にする取組を進めています。
このようにこれまでは、行政からケアされたり支援されたりする存在としても考えられていた、どちらかというと社会経済的に弱い立場にある市民が、むしろ、周囲を元気づけ、新しい社会を創造する主体となっている。これが横浜の持続可能な未来に向けた大きな財産せあり、可能性だと考えます。
令和4年度の予算案として、「リビングラボを通じた横浜版地域循環型経済の推進」が予算化されていますが、私は、このように弱い立場にある市民や事業者が地域経済に積極的に参画し、大企業や大学等と連携することで、社会課題を解決しながら、地域に雇用の場を生み出し、持続可能なまちづくりを進めることが「横浜版地域循環型経済」を進めることにつながると考えますが、
質問:「横浜版地域循環型経済」の進め方について市長の見解を伺う。
【市長答弁】「横浜版地域循環型経済」の進め方についてすが、横浜のリビングラボは、地元の中小企業を中心に、子どもから高齢者まで多様な世代の市民の皆様が担い手となって、本市が直面する様々な社会課題を、持続的な対話と実証実験により解決していくためのプラットフォームとして機能し始めております。このような社会課題の解決に取り組むリビングラボを、行政としても積極的に支援をすることで、横浜版地域循環型経済を進めてまいります。
また、「横浜版地域循環型経済の推進」にあたっては、市内各地のリビングラボを支援し、「企業版ふるさと納税」も活用するとされている。
質問:企業版ふるさと納税を活用するねらいについて伺う。
【市長答弁】企業版ふるさと納税を活用する狙いですが、リビングラボによる地域循環型経済の取組を対外的に広くアピールし、横浜市に本社が所在しない企業にも、事業への寄附を通じて、一緒に取り組んでいただくことで、活動の更なる充実・強化につなげたいと考えております。同時に、大企業との協働により、横浜で生み出された社会課題解決の成果について、全国に広げていくことを目指し、企業版ふるさと納税を活用いたします。
●新産業の創出は「みなとみらい」など臨海都心部に集中するのみでなく、市民の暮らしに身近なエリアに、農業や緑、医療・福祉など各々の地域資源を活かす形で展開する。さらに仮に障害者や困難を抱える若者や女性であったとしても生き生きと働くことのできる環境を整備することを期待しています。