横浜市は、日本最大規模の基礎自治体であるため、地球規模の課題解決に向けた取組を推進していくことが期待されており、そうした中で、横浜市の国際政策を統べる国際局の果たすべき役割が、非常に重要になってくると考えいます。国際局では、令和3年2月に改定した「横浜市国際戦略」及び「横浜市国際平和の推進に関する条例」にのっとり、市民の皆様の「国際都市横浜」への思いに応えながら国際事業に取り組み、SDGsの達成及び世界の平和と繁栄への貢献を目指す事を掲げています。
「横浜市国際戦略」は本市の国際事業の基本的な考え方を整理し、戦略的に展開することで、横浜の成長につなげていくため、おおむね 2020(令和2)年までを見据え、平成 27(2015)年度に策定。各区局の国際事業をより戦略的に展開し、世界の人や企業に選ばれる都市の実現を目指すとともに、国際社会の平和と繁栄に貢献していくとしています。また、議員提案により「横浜市国際平和の推進に関する条例」が制定され、国際交流、国際協力、多文化共生等の国際平和に貢献する取組を推進することにより、市民の平和で安心な生活と国際平和に寄与していくことを明文化しています。
R2年度決算特別員会における国際局の国際政策につおての質疑です。
質問:(1)国際局の意義・役割 について伺う。
答弁:政令市で局として「国際局」を持つのは本市だけです。国際分野における政策の推進を図るという趣旨を明確に示していることに意義があります。関連する事業を一体的に推進する要として位置付けられていることが、国際局の意義だと考えています。多文化共生、国際交流、国際協力などの取組を推進するにあたり、庁内の総合調整・相互連携役を担うということもありますが、国際局自身も、国際施策推進に資する事業を進め、市民の皆様が誇りを持てる「国際都市・横浜」を目指していきたいと思います。
横浜市では、平成27年度に国際局が創設し、それから現在まで、議会と行政が協力して国際交流・協力等の取組を進めています。国際局の創設以降、これまでに培ってきた海外ネットワークを活かし、姉妹・友好都市の交流や海外事務所における企業誘致を行ってきました。また、国際会議の誘致、スポーツイベントの開催を経て、国際都市としての存在感をアピールする契機となりました。
質問:(2)これまでの国際政策の成果 について伺う。
答弁:主な成果として、まず、本市の国際事業の方向性をまとめた国際戦略を策定しました。多文化共生の分野では、多文化共生総合相談センターや日本語学習支援センターの開設、国際交流ラウンジの拡充、多言語通訳タブレットの全区配備を行いました。国際連携の分野では、姉妹都市交流、海外事務所を通じたビジネスマッチングや企業誘致、TICAD7開催都市としての取組、コロナ禍でのマスク調達などを行いました。国際協力の分野では、Y-PORT事業等による市内企業のビジネス支援、新興国諸都市の課題解決やSDGsの推進の他、国際機関との連携、CITYNETを通じた国際貢献などを行いました。このほか、県から権限移譲を受け、パスポートセンターを開設し、運営しています。
危機の時代の国際連携の例として新型コロナウイルス感染症の影響から、世界経済の不安定さが増す中で、新型コロナワクチンについては、世界で「COVAX(コバックス)」という国際的枠組みがあります。日本も参加すべきと公明党から進言し、早い段階から日本もCOVAXに参加しています。ワクチンの国際的枠組みで、全ての国々が迅速かつ公平にワクチンを入手できる体制をつくり、ワクチン格差が生じないという仕組みです。WHОは、昨年の総会決議でワクチンの広範な接種は、全ての国で分かち合うべき「グローバル公共財」であると強調しています。2000年に行われた九州・沖縄サミットで議長国の日本が感染症対策の主要議題に初めて取り上げたことが契機となり、2年後の「世界エイズ・結核・マラリア対策基金」の創設に結びつき、三大感染症の脅威から累計で世界の3800万人もの人々の命が救われてきました。SDGsに表されているように、地球規模の課題は多分野にわたり、多数のステークホルダーが多くあるため、市民や企業、NPOなど、多くの方々と連携・協力していくことで、地球規模の課題解決につなげていくことが必要です。
質問:(3)今後どのような国際政策を展開していくのか 伺う。
答弁:地球規模の課題解決に向け、日本最大の基礎自治体である横浜は、やるべきことをしっかりと果していきたいと考えています。そのためにも、本市として一体感をもって各区局が国際政策を推進していけるよう、引き続き庁内の総合調整役を担っていきたいと考えています。また、自治体は市民・企業などの現場と近いという強みがあります。これまで培ってきた海外とのネットワークやノウハウを活かしつつ、市民の皆様や企業の方々との関
係を強化し、現場主義、公民連携・共創の視点を重視しながら、今後も国際政策を一層推進していきます。
一つ一つの危機も、個別に対処するのでなく、包括的に対処する中で、新しい世界の可能性を共に切り開くチャンスに変えていくことができる力となる。「連帯して危機を乗り越える意識」を時代の潮流に押し上げることが「人間の安全保障」に繋がり、困ったときはお互い様という「国家の安全保障」の対立による悲劇を断ち切る道を開く事になるのではないか。国際政策の重要性は、今後、自治対外交の役割も含め、更に増していくと考えます。国際局が本市の国際政策の旗振り役となり、リードしていくことを期待しています。