横浜の資源・技術を活用した公民連携による国際技術協力 YーPORT

横浜市では、アジアをはじめとする新興国等では、著しい経済成長や都市化に伴う急激な人口集中に対して様々な都市問題が発生しています。横浜市も、戦後の高度経済成長期に同様の問題に直面しました。人口急増に起因するインフラ整備の遅れや公害などの数多くの問題を市民・企業の皆様と一丸となって乗り越え、現在の環境に配慮した持続可能な都市を作り上げてきました。2011年1月から横浜市は、都市づくりの経験と企業の技術・ノウハウを活用し、新興国等の都市課題解決の支援と企業の海外展開支援を目的として、「横浜の資源・技術を活用した公民連携による国際技術協力(Y-PORT事業)」に取り組んでいます。

Y-PORT事業は、横浜の資源・技術を活用した公民連携による国際技術協力です。アジアをはじめとした新興国では、急速な都市化の進展に伴う人口増加と無秩序な市街地の拡大や、都市インフラや住宅整備の遅れに伴う生活環境や自然環境の悪化といった都市問題が発生しています。これらの課題に対して、これまでに横浜市が培ってきた都市づくりのノウハウと市内企業の有する環境技術などを活用し、連携を進めることで国際技術協力を推進します。これにより国際都市横浜のブランド価値を高めるとともに、市内企業の海外展開の推進を目指します。Y-PORT事業は、横浜市中期4か年計画においても、「国際ビジネスの促進とグローバル人材の育成・確保」の主な施策(事業)として位置付けられています。

決算特別委員会における公民連携による国際技術協力「Y-PORT事業」について伺いての質疑です。

日本政府は昨年、わが党の提言の、2050年に温室効果ガス排出量実質ゼロを目指すことを宣言しましたが、横浜市においても今年5月、議員提案による「横浜市脱炭素社会の形成の推進に関する条例」が制定されました。この条例に基づき、横浜市は脱炭素社会の形成に向けた様々な取組を推進する責務があります。このY-PORT事業を通じて、海外都市における脱炭素化を支援していくことも、横浜市の大事な役割で、国際貢献に繋がります。

(1)コロナ禍・地球温暖化等の危機におけるY-PORT事業の意義 について伺う。

答弁:感染症拡大や地球温暖化に伴う危機感が高まる中、多様化する都市課題解決にあたり、本市が有する知見や市内企業の皆様が有する技術の活用は有効と考えます。一例を挙げますと、コロナ禍で医療系廃棄物の処理が難しくなっているところですが、連携しているフィリピン・セブ都市圏では、市内企業が提案した解決策が評価され、その機器の導入について調整が進んでいます。

Y-PORT事業では、ベトナム社会主義共和国ダナン市、タイ王国バンコク都、フィリピン共和国セブ市の各都市と、持続可能な都市の発展に向けた協力の覚書を締結し、横浜市は都市間協力を進めています。

(2)連携都市との都市間協力の取組状況 について伺う。

答弁:現地に進出している市内企業や国際協力機構・JICAなどと連携しながら、ベトナム・ダナン市やタイ・バンコク都で、地球温暖化対策などの計画づくりを進めています。また、ダナン市では、工業団地での省エネルギー事業を実施するための調査も進んでいます。このようにコロナ禍においても各都市での都市間協力に取り組んでいます。

現在の感染症拡大等に伴い、市内企業の皆様は大変厳しい事業環境に置かれています。都市間協力を通じて、新興国の都市課題の解決に貢献するとともに、市内企業のビジネス展開をしっかりと支援していくことが重要です。

(3)市内企業支援の取組状況 について伺う。

答弁:オンラインでのセミナーを開催し、海外都市の課題を市内企業と情報共有すると共に、海外都市・企業とのビジネスマッチングを進めました。また、セミナーに参加した企業による交流の場を設け、企業間での連携促進も図りました。このような取組を通じて、複数の企業が連携して行うダナン市での省エネルギー事業形成支援など、9件の調査実施につながりました。

世界中の都市が地球規模の課題に直面している中で、横浜市内の複数企業が連携して、横浜市とともに解決策を海外都市に提案し、現地の課題解決に貢献することが出来れば大きな意義があると考えます。

(4)Y-PORT事業における課題と対応 について伺う。

答弁:新興国のインフラ・省エネ・デジタルなどの技術力が向上しています。そのため、これまでのように、日本の技術を優れたものとしてご紹介すればよい、という時代ではないと感じています。こうした中、いかに横浜の強みを発揮し、市内企業の受注に結びつけていくかが課題です。国による支援も取り込みながら、デジタル技術や、脱炭素技術などを組み合わせ、現地に適合する解決策の提案に公民連携で取り組んでいきます。

デジタル技術の活用は、ポストコロナの経済成長における鍵の一つであり、市内企業の皆様の環境技術との融合は、今世界が着目しているグリーン経済、そして地球規模の課題の解決に貢献する重要な取組と考えます。脱炭素化に向けた環境インフラの整備などといった世界の成長産業を、市内企業の活力に取り込むため、しっかり取り組んむ事を要望。

(5)今後のY-PORT事業の取組 について伺います。

答弁:新興国諸都市においても地球温暖化や感染症拡大など、国際社会が抱える共通課題への関心が高まっており、例えば、医療廃棄物を含む廃棄物問題や脱炭素化などに対して支援要請が来ています。また、デジタル技術を活用した大型で一体型なスマートシティの開発などの案件も、海外の民間開発事業者から要請が寄せられています。こうした要請に市内企業と連携して取り組み、市内企業の海外展開を更に支援していきたいと考えています。

横浜市そして市内企業の皆様が培ってきたノウハウや技術をもって、海外都市の課題解決、すなわちSDGsの目標達成、脱炭素社会の実現にしっかり役割を果たすことを求めました。

URL :
TRACKBACK URL :

コメント

  • 最近の投稿
  • 人気の記事
  • Category
  • アーカイブ