令和3年度9月補正予算案の中において、「新型コロナウイルスワクチン接種への対応」として9事業37.263百万円が計上されています。会派を代表して望月康弘議員(港北区選出)が議案関連質疑を行いました。まずは、新市長に対して、新型コロナウイルス感染症の感染拡大第5波の大変な最中に市長選が行われ、市長交代となりました。まずは、、コロナ対策の更なる取組推進を期待しておりますが、378万人の市民を抱える横浜の市政に停滞は許されません。市民の安心・安全のため、福祉の向上のため、行政の長として、真摯に市政全般に取り組まれることをお願いを致しました。公明党横浜市会議員団としては、9月3日、市長に「新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえた緊急要望書」を直接お渡しさせていただきました。これまで以上の感染予防対策の実施や、中和抗体薬・ロナプリープの投与、いわゆる抗体カクテル療法なども含めた医療提供体制の拡充など、具体的な提案をさせていただいてもいます。(質問&答弁の要旨は以下の通りとなります。)
日本のワクチン接種数は、世界223か国地域の中で第5位であり、決して遅れている状況にはないと思います。また、新型コロナウイルスワクチンの接種率については、9月8日時点で、内閣官房の発表によれば、国の接種率は1回目54.01%、2回目42.90%となっており、神奈川県の発表によれば、横浜市では1回目58.15%、2回目44.92%となっています。また政令指定都市の中でも、8月末時点で大阪市及び名古屋市よりも接種が進んでおり、全国的にも接種が遅れていると状況ではありません。横浜市は基礎自治体として我が国最大の人口を擁しており、多くの医療資源を有するとはいえ、接種を希望する多くの方々が一斉に接種を受けられるわけではありません。そうした中で市の当局が、この前代未聞のプロジェクトに対して、様々な接種手法や接種場所を検討・確保し、大変な努力をされていると認識しています。こうした状況の中で、市長は市長選のなかで、「横浜市は他都市と比べて接種が遅れていると」の発言をされていると認識しています。
【質問】就任後、現在の新型コロナウイルスワクチン接種状況についての受け止めについて
《市長答弁》本市では、65歳以上の高齢者の接種率は8月末までに83.2%に達しております。今後はさらに、64歳以下の方々の接種のスピードを速める必要があると認識しています。国からのワクチン供給の目処は立っていることから、個別接種医療機関への誘導など、効果的な接種体制を改めて検討しています。
【質問】「市民の皆様に対して、ワクチン接種に関する的確な情報発信を行うべき」
《市長答弁》感染拡大に伴い、ワクチン接種へのニーズが高まる中、特に接種が本格化する64歳以下の接種促進に向けて、的確な情報提供が求められています。このため、国からのワクチンの供給状況や予約スケジュール等に加えて、接種 可能なワクチン数量の見込み等について、WEBやSNS等を通じて、今後は、よりタイムリーに発信していきます。
高齢者接種を開始した当初、多少の混乱は生じましたが、その後、集団接種会場は 最大33会場、個別接種は市内の約1600の医療機関が接種を担うほか、大規模接種会場による接種体制も構築され、7月末までに8割の高齢者接種を達成しました。8月に入ってからは64歳以下の接種を50代、40代の順に予約を受け付け、8月末の段階で12歳以上64歳以下の市民の約4割が1回目接種を終えています。これは、国や神奈川県内の他市町村と比べても決して遜色ない割合であり、引き続き、このペースで順調に接種を進めることが期待されています。市長は市長選の公約の中で、今後のワクチン接種の加速化を掲げていますが、これまで培った接種体制を維持しながら、市民が安心して接種を受けられる体制づくりや情報発信に力を入れることこそが大切ではないでしょうか。ワクチンを接種することの重要性、副反応が生じる可能性や生じた事例などを正しく理解していただき、若年層の接種率を上げ、ひいては社会的なコロナ対策につながるものと考えます。
【質問】64歳以下へのワクチン接種を進める上での観点
《市長答弁》集団接種について、多様なライフスタイルに合わせて、夜間接種の実現や交通アクセスの良い会場に再編します。また、若年層の接種率向上に向けたプロモーション強化などを可能な限り早期に実施します。さらに、今後、国から充分なワクチン供給量が確保できるので、個別接種を中心としつつ、様々な手法を検討します。これらの取組により、若年層における接種意欲の醸成、接種機会の創出を図り、接種を促進していきます。
検査体制強化事業について
新型コロナウイルス感染症について、この夏の災害級とも言える爆発的な感染拡大に対し、横浜市は県や医療機関などと連携して、感染拡大防止にかかる体制を着実に強化してきたと思います。その中で、市長は、市長選において、検査の抜本的拡充を公約に掲げてきました。検査の拡充を公約にしたということは、現在の検査体制に課題があるとの思いがあってのことだと思います。
【質問】現在の検査体制にどのような問題があるのか
《市長答弁》本市ではこれまで、感染が疑われる方が地域の身近な医療機関等で検査を受けられるように、市医師会等の関係機関と連携し、検査体制を整えてきました。さらに、クラスター対策のY-AEITを立ち上げ、高齢者施設や学校等で陽性者が発生し、感染が広がる恐れがある場合には、幅広い検査を実施してきました。一方で、より短時間に身近なところで検査をしたいというニーズもあります。現在、国や県では、学校等で教職員や生徒向けに抗原検査キットを配布する取組を計画しています。国や県の対応状況を見極めつつ、市として、必要な対応を検討していきます。
発熱等の症状がある方や身近に感染した人がいて、接触者になったと不安に思う方を速やかに検査に導くためには、感染症コールセンターの役割は非常に重要であると考えます。
【質問】これまでの感染症コールセンターの対応状況
《市長答弁》看護師等のオペレーター最大80名が、24時間体制で対応しています。第5波のピーク時には、お問い合わせが急増したため、これまでの80回線に加え、さらに10回線を増やすなどの対応を図り、応答率は改善しています。ご相談の内容としては、有症状者からの健康相談が最も多く、次いで、検査希望が多いことから、検査実施が可能な市内医療機関を紹介して、受診機会の提供に努めました。
新型コロナ発生以降、これまで横浜市では、行政検査を行う医療機関を増やすなど、検査体制を充実させてきました。一方、市長は「いつでもどこでもPCR・抗原検査」や「PCR・抗原検査重点拠点の設置」を掲げていますが、これはすなわち現在の検査実施体制が、他都市に比べても不十分であるとお考えなのだと思います。
【質問】これまでの行政検査実施状況及び政令市との比較
《市長答弁》今年の8月までに、本市の累計検査数は、60万件を超え、大阪市に次いで政令市2番目の実績となります。行政検査が実施可能な市内医療機関も今年度に入り、1,000か所を超えています。また、ドライブスルー検査やY-AEITによる集団検査など、状況に応じて、多様な行政検査を実施し、感染拡大防止に努めています。
【質問】市内の宿泊療養施設の確保状況
《市長答弁》これまで市内3施設1,056室でしたが、感染者が急増したため、8月に、新たに3施設914室を増やし、計1,970室となっています。
【質問】神奈川モデルに加えて、本市独自に実施している自宅療養者への対応
《市長答弁》基礎疾患があるなど、早期に健康観察を開始する必要がある方へ、パルスオキシメーターを県の配送に先駆けて配布しています。また、協力病院が、平日日中に、当番制で外来診察やCT撮影を行う事業を開始したほか、民間事業者が、夜間や休日に、電話相談や往診等を行う事業を試験的に始めています。
重症・中等症患者等入院受入奨励事業
まずは、この瞬間も、医療現場の最前線で新型コロナウイルス感染症と戦い続けている医療従事者の皆様に、改めて感謝申し上げます。医療従事者の皆様の昼夜を問わない懸命なご努力により、医療体制は維持されているものと認識しています。一方、市長は市長選において、横浜市が「医療崩壊する」と訴えておられたと認識しています。
【質問】本市が医療崩壊しているかどうかの認識
《市長答弁》私自身、医療現場の声を直接聞く中で、このままでは「医療崩壊」が起きる可能性があるとの危機感の下、市民の皆様に訴えてきました。現在の状況を踏まえると「感染症に対する医療」と「通常医療」の両立が、ぎりぎりのところでできていると認識していますが、引き続き強い危機感を持って取り組んでいくことが必要と考えます。そのため、私自身が先頭に立って、更なる医療提供体制の充実に向けて、全力で取り組んでまいります。
横浜では、昨年2月のダイヤモンドプリンセス号への対応以来、何度となく感染 拡大の波が押し寄せる中、これまでも、重症・中等症病床の確保や拡充、Y-CERT(ワイサート)による入院や転院の調整、今回の入院受入奨励事業など、医療提供体制確保に向け、様々な対策が講じられてきたと考えています。特に、病床の確保にあたっては、市内の医療機関に協力を求め、感染者数の拡大に併せて、順次、病床を拡大し、確保した病床の中で、しっかりと入院が必要な患者を受け入れてきたというデータもあります。私は、これらの対策が講じられてきた中で、「医療崩壊」との言葉は適切ではないと考えます。この言葉には、市民を不安にさせる力があり、横浜市の首長になろうとする方が、口にすべき言葉ではなかったと思います。市内の医療機関、医療関係団体、市当局の皆さんが、「感染症に対する医療」と救急医療やがんの治療といった「通常医療」との両立を図るべく、必死に取り組み、これまで何とか波を乗り切ってきたものと認識しています。「重症・中等症等入院受入奨励事業」は、病床数確保へ向けた本市の取組として評価するところです。
【質問】今後の医療体制の課題及び解決に向けた取組
《市長答弁》今後も第5波のような感染拡大が続けば、重症患者が増え、重症病床がひっ迫することで、必要な時に必要な医療を受けることができなくなることが課題と考えます。そのため、これまでの病床確保に向けた取組に加え、早期に薬剤を投与することで、重症化を予防する取組や、本市独自の「コロナ専門病床」の開設に向けた検討を開始しており、様々な対策を実施していきます。
質問に対し、不明瞭な答弁については、再質問を致しました。(以下)
【再質問】1 ワクチン接種状況への受け止めについて、他都市に比べて接種が遅れているといわれていたが、実際どうなのか
《市長答弁》本市としては、接種につきましては、努力をしてきており成果も上がっていると考えておりますが、接種率に関しては、必ずしも先行して行き届いている状態というよりは、平均的な状況で進捗していると捉えております。
2 現在の検査体制に問題があるかないかの認識
《市長答弁》検査体制は充実してきていますが、すぐに検査を受けて結果を求められるといった要望があると認識しています。より短時間に身近なところで検査をしたいというお声を聞いており、今後、強化をしていきたいと考えています。
3 市長の医療崩壊という発言を選挙期間中にされていたと思うが、その定義がよく分からない。市長が選挙期間中に言われていたのは、コロナの対策の医療と、それ以外の医療、これが必要なときに受けられる、受けられないということで、今受けられない状況になっているというふうに演説の中でお話されていたと思う。午前中のやり取りでは、コロナの医療とそれ以外の医療がしっかりと両立しているという発言をされていたので、医療崩壊については、していると認識をしていたのか
《市長答弁》一般医療や通常医療にも著しい影響があるというのが、医療崩壊に関する認識です。この点の可能性が生じていたことから、医療崩壊する可能性があると考えていました。