令和3年度の予算案と今後の財政運営について

昨年1月、新型コロナウイルスに感染した乗客を乗せたダイヤモンド・プリンセス号の横浜港入港により、本市におけるこの未知の感染症との戦いが始まりました。これ以降、感染拡大や市内経済の状況、国の対応がめまぐるしく変化する中で、本市は累次のくらし・経済対策と補正予算の編成により、こうした事態に臨機応変に対応してきました。以下代表質問にて「令和3年度予算案と今後の財政運営」について市長に質問しました。

令和3年度予算案は、コロナ禍への対応に必要な経費と、年間を通じて必要となる政策的な経費の双方について計上を行う初めての本格予算です。財源が極めて限られている中、この当初予算の形は、ウィズコロナ時代において本市が何を守り、何を見直し、何を進めていくのかという市政のあり方を表すものと認識しています。公明党としては、コロナ対応に万全を期すことはもちろんのこと、こうした危機的状況においてこそ、そのしわ寄せが社会的に弱い立場にある方々に集中しないようにすることが、政治・行政の大切な役割と考えています。

そこで、まず質問(1)令和3年度予算案では、コロナ禍という危機に対応する観点及び市民の日常を守り抜く観点をどのようにバランスを取ったのか市長の考えを伺います。

《市長答弁》コロナ対策に万全を期す観点から、ワクチン接種、小規模事業者への支援などの「くらし・経済対策」を2,405億円計上し、「感染症対策の強化」と「経済再生の実現」に最優先で取り組むことといたしました。同時に、守らなければならない市民の皆様の暮らしがあるという強い決意の下、福祉、医療、防災・減災など基礎自治体として必要な予算をしっかりと計上しました。

質問:今回の予算編成では、巨額の収支不足への対応として、事業見直しを徹底して行った上で、減債基金の取崩しと、財政目標を変更した上でのさらなる赤字地方債の発行により財源を確保しています。未曽有の危機に対応し、市民生活を守るためにやむを得ない選択であったとは思いますが、非常手段であることは間違いありません。予算案発表と同時に更新された「長期財政推計」においては、来年度以降、将来に向けて極めて厳しい財政状況が予測されています。そうした中、このような持続性に欠ける財源確保策を続けていては、足元での市民の安心・安全が守れたとしても、将来的には最低限の市民サービスも提供できないような事態になりかねないと強く危惧しています。真の意味で市民生活を守り、市民の皆様に生活・仕事の場として横浜を選び続けていただくためには、このような状況を踏まえた中長期的な対応方針を示し、市民の皆様が将来に不安を感じることのないようにしなければなりません。

そこで、(2)今後、本市が抱えるリスクを洗い出した上で、持続的な財政運営の在り方についてしっかりとした方針を策定し、市民と共有するべきと考えますが、市長の考えを伺います。

《市長答弁》本市は、今後、超高齢社会の進展や公共施設の老朽化といった構造的課題に対応するとともに、自然災害や感染症等の突発的な危機にも備えていく必要があります。こうしたリスクも含めて財政運営の現状や課題などを市民・議会の皆様としっかりと共有しながら、本市の持続的な発展に向けて、今後の財政運営の方針を検討していく必要があると考えています。

質問:今回直面した新しい危機は、人口の密集や企業の集積など、大都市の持つ特徴がそのままリスクや脆弱性に転換してしまうという問題を明らかにしました。他方、財政面でも、コロナ対応の地方創生臨時交付金が十分に配分されなかったり、大幅な税収減の補填として将来世代の負担となる臨時財政対策債の発行枠が集中したりと、大都市は、実態にそぐわない不利な状況に置かれています。本市として持続的かつ自主・自立の財政運営に向けた取組を進めることは当然のことですが、そもそも、頻発する大規模災害や人口動態のドラスティックな転換など、これまで所与としていた地方財政の前提条件が大きく変化している中で、現在の地方財政制度自体の限界が見えてきているのではないかとも思われます。

(3)本市の取組だけでは解決できない現在の地方財政制度が抱える構造的な問題について、どのように国に改善を求めるのか市長の考えを伺います。

《市長答弁》コロナのような新たな脅威の出現や、人口動態の変化など、財政運営の前提条件が大きく転換しつつあるとの認識に立って行う必要があります。今後、大都市の運営に必要な一般財源の確保に向けて、財政の現状や将来の姿を見える化するなど、新たな視点も盛り込みながら他の指定都市とも連携し、あらゆる機会を捉えて要望していきます。

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