横浜市会では、平成 28 年3月に「無電柱化の推進に関する法の制定を求める意見書 の提出について」を全会一致で可決し、国へ提出しました。 こうした無電柱化の必要性の高まりや社会的機運の高まりを受け、平成 28 年 12 月、 「無電柱化の推進に関する法律」が公布・施行されました。
無電柱化は、「防災」/大規模災害(地震、竜巻、台風等)が起きた際に、電柱等が倒壊する ことによる道路の寸断を防止 。「安全・快適」/歩道の有効幅員を広げることで、通行空間の安全性・ 快適性を確保 。「景観・観光」 /景観の阻害要因となる電柱・電線をなくし、良好な景観を形成 。
国内と海外の主要都市の無電柱化率を比較すると、ロンドン・パリなどのヨーロッパの主要都市 や香港・シンガポールなどのアジアの主要都市では無電柱化が概成しているのに対して、日本の 無電柱化率は東京 23 区で8%、大阪市で6%と立ち遅れています。
横浜市における電線類の地中化事業は、昭和 61 年に旧建設省(現・国土交通省)が策定した 「電線類地中化計画」に基づき実施され、現在では「無電柱化に係るガイドライン」 に基づく電線類の地中化(電柱を減らす取組)並びに「電線共同溝の整備等に関する特別措置法」 (平成7年法律第 39 号)及び「道路法」第 37 条の改正(平成 25 年施行)に基づく新たな電 柱の占用制限(電柱を増やさない取組)により推進しています。 今後は、「無電柱化の推進に関する法律」(平成28年施工行)に基づき、国土交通大臣が「無電柱化推進計画」を策定・公表する予定であ り、計画策定を進めています。
電線共同溝整備にかかる費用 費用の総額は、道路延長1㎞(道路の両側の歩道に電線共同溝を設置した場合、電線共 同溝の長さでは2㎞)あたり8~10 億円程度です。 また、整備には7~10 年を要するため、長期間継続して事業費を確保することが課 題となります。 横浜市では事業費の一部に国土交通省の「社会資本整備総合交付金」を活用しています。
平成 30 年度以降もこの特例措置が継続されるよう、平成 29 年 11 月に林市長が、「国の 制度及び予算に関する提案・要望書」について、内閣官房長官等に対して提案を行っています。
東京 2020 オリンピック・パラリンピック競技大会を控え、インバウンド観光の受入れや、 首都直下地震や南海トラフ地震などの災害に備えるため、これまで以上に無電柱化の推 進が求められており、ここ数年の間に、無電柱化を推進する民間団体が設立され、平成 27 年 10 月には「無電柱化を推進する市区町村長の会」が設立されるなど、無電柱化を 後押しする動きが広がっています。(市会ジャーナルNO168参)