トピックス&活動報告

防災における男女共同参画について

能登半島地震を踏まえ、横浜市地震防災戦略の改定を行っています。公明党としても、第1回市会定例会以降、災害時要援護者支援の強化や、避難場所の環境改善、女性の視点を踏まえた運営の推進を求めてきました。横浜市会第3回定例会決算特別委員会政策経営局審査においては、「防災における男女共同参画」について質疑を行いました。以下要旨です。

●今年4月、防災にも取り組む男女共同参画センターを訪問し、大変有意義な意見交換を行わせていただきました。その際、男女共同参画センターが、災害時における様々な不安や課題について、震災を経験した女性たちの声を集め、それに対する備えを呼びかけるために作成した「わたしの防災力ノート」が改めて話題となりました。男女共同参画センターでは、この「わたしの防災力ノート」を使った防災講座を実施されています。

【質問】防災講座の開催状況について伺います。

【答弁】「わたしの防災力ノート」を使った防災講座は、阪神・淡路大震災での女性の被害を知った、男女共同参画センター職員の発案で始まりました。これまで、自治会町内会や家庭防災員、企業等を対象に講座を実施しておりまして、昨年度までの5年間では、32回開催し、参加者は約1,300名となっております。

●「わたしの防災力ノート」には、暴力被害、解雇、育児のケア負担の増加といった困難さが掲載されています。私はこのノートを読み、避難生活ではなく、在宅避難であっても、多くの方がこうした困難に直面することを実感しました。こうした脆弱性を少しでも御理解いただきたいと考え、私は、防災士としてこのノートを使い、地域で防災に関するお話をしています。市としても、防災講座の増加に是非積極的に取り組んでいただきたいと考えていますが、但しノートの最終改訂は平成29年度であり、近年の災害が反映されていないという課題もあります。

【質問】「わたしの防災力ノート」を活用した防災講座の開催増加に向けてどのように取り組むのか伺う。

【答弁】身近で読みやすい内容となるよう、市民の皆様の御意見も踏まえながら、能登半島地震の経験も踏まえまして、令和7年度にノートを改訂していきたいと考えております。また、ノート改訂の機会を捉えまして、防災講座についても自治会町内会等への再周知を行います。加えて、地域防災拠点の訓練の中で講座を開催していただけますよう、講座の内容を工夫し、運営委員会にも働きかけるなど、区とも連携をしながら開催増加に向けて取り組んでまいりたいと思います。

●引き続き、地域での積極的な活用に取り組んでいただきたいと思います。災害対策として、備えをしていくことは大変重要ですが、そもそも、災害時の暴力被害、解雇、育児・介護等のケア負担の増加といった女性の困難さの背景には、ジェンダーバイアスや、固定的性別役割分担といった、平常時からの男女共同参画における課題があります。このため、平常時からこうした課題解決に向けて取り組むことも大変重要であると考えています。フェイズフリーを希求する時代にもなりました。

【質問】「わたしの防災力ノート」も活用しながら、平常時から男女共同参画における課題の解決に取り組むべき、と考えるが政策経営局長の見解を伺う。

【答弁】「わたしの防災力ノート」は、防災をきっかけとして、ジェンダー課題を自分事としてとらえることのできる、わかりやすいツールであると考えています。今回のノート改訂の中で、固定的性別役割分担等のジェンダー課題の内容も充実させます。また、「男女共同参画センター」がノートを使い、防災とジェンダー課題に関するワークショップを地域で開催するなど、平常時からも男女共同参画の取組を進めてまいります。

●先ほども申し上げました通り、災害時に女性がリスクに直面する背景には、平常時からのジェンダー課題があり、私たちの暮らす社会が、災害に対する、いわば「脆弱性」を抱えている、ということに他なりません。この脆弱性は、女性に関することだけではありません。先の能登半島地震では、避難所において空調や寝具が整わず高齢者の方にとって厳しい生活環境でした。こうした事は、災害関連死に繋がりました。また、福祉避難所は施設や職員の被災により開設されない状況も発生しました。災害時で大きな影響を受けるのは、社会で弱い立場に置かれた方々、いわゆる災害弱者とも呼ばれる、高齢者、障害者、乳幼児等の「要配慮者」です。要配慮者を含めた市民の方すべてが災害時にも安心して生活を続けることが大切です。

【質問】「要配慮者」への視点もしっかりと踏まえながら、本市の災害対策を進めるべきと考えるが副市長の見解を伺う。

【答弁】能登半島地震から得られた知見でありますとか、市民アンケートの結果等を踏まえ、現在「新たな地震防災戦略」を検討しているところでございます。その中で、「避難所環境等の被災者支援」を、重点方針の一つとしていく方向でございます。総務局や健康福祉局、こども青少年局等の関係区局が横断的に、要配慮者の状況に応じた支援の在り方を検討しておりまして、「新たな地震防災戦略」に反映していけるように取り組んでまいります。

●8月には、初めて、南海トラフ地震臨時情報が発表されました。大規模地震が切迫している中で、いざというときに命と暮らしが守られる、という安心感は、377万市民にとって大変心強いものだと思います。現在検討している新たな地震防災戦略の中で、要配慮者への視点も重視しながら、検討を進めていただくことを期待します。

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