横浜市会健康福祉・医療常任委員会の行政視察にて佐賀県武雄市にお伺いしました。
武雄市は、平成18年に武雄市、山内町、北方町が新設合併し誕生した人口約4万8千人の街です。令和元年8月の佐賀豪雨で多くの家屋が被災。市内の医療的ケア児1名も被災。自宅が床上浸水、医療機器・バギー等の水没、救助に時間が掛かり、命の危険があったとの事でした。そこから、近隣3市4町による医療的ケア児ワーキンググループを開催。保護者代表の「停電は命のカウントダウン」との切実な声も受け、電源の必要な医ケア児6名に対し、災害に対する不安、要望を聞き取りを開始。年齢や重症度の高い3名の自宅で個別新会議を設け、3名の個別避難計画を策定したとの事。
武雄市では、平成31年に“切れ目のない支援、教育と福祉の連携を目指して”、“医療的ケア児の専門相談部署を設置しています。ここでは、退院前の住宅移行支援会議(保健師と出席)、福祉サービス利用に関わる相談、災害時の避難支援(個別避難計画の策定、避難訓練)、就園、進学の係る相談、学校での個別支援会議等の相談がなされています。
避難計画策定においては、ケア児の自宅で行う事で本人の状態や居室の様子、使用する医療機器などを関係者全員で確認・共有。避難場所の選定では停電しない場所。災害時対応のフローチャート(個別避難計画)持出し品チェックリスト、誰でも一目でわかる避難手順書の作成。個別避難訓練では、避難計画の実効性が確認されています。避難訓練の内容の動画も拝見しました。
保護者の方の想いも紹介していただきました。・計画前は、「避難所へは行けない」と思いこみ、避難せずに自宅に留まることを考えていた。・計画策定後、計画通りに避難できるか不安であった。・毎年の訓練で、避難道具の見直しなども忘れず確認できて助かる。避難訓練は毎年実施してほしい。・年々家族の状況も変わる定期的に関係者に状況をしってもらえる安心感が大きい。等
個別で計画した内容の訓練を毎年必ず実施。関係機関の担当者が全員参加し、訓練後の振り返りで改善点や新しい課題を共有する事の繰り返しで、“顔が見える関係の構築”されているとの事。個別に計画をし、顔の見える取り組みが、一人の命を守る取り組みである。痛感しました。