横浜市会健康福祉常任委員会にて、福岡市社会福祉協議会の終活を通じた意思決定支援の視察にお伺い致しました。
福岡市社会福祉協議会では、公正な立場で分野横断的な助言を提供し、その人らしい終活の進め方、その時の迎え方を準備するお手伝いとして、相続・葬儀・断捨離・終末期医療・介護・権利擁護・死後事務・社会参加など『終活』に関して多岐に渡る不安や疑問に関する相談に対応するほか、総合的な支援を実施しています。
その中で、設置されているのが『終活サポートセンター』です。市内の高齢者や家族などを対象に終活に関する相談を受け、様々な情報提供を行う事を目的として生まれたセンターです。終活相談窓口では、終活アドバイザーや弁護士などが、死後事務委任(ずーっとあんしん安らか事業・やすらかパック事業など)、社会参加・貢献(ボランティアセンターなど)、断捨離(家財処分業者・自費ヘルパーなど)、介護(介護予防事業・介護保険サービス・生活支援サービスなど)、権利擁護(日常生活自立支援事業・成年後見制度など)、相続(遺言作成・遺贈・空き家活用など)終末期医療(医療同意・緩和ケアなど)の相談を予約面談で実施。出張相談や終活出前講座も行っています。
終活サポートセンターの三つの機能として、①啓発運動(公民館や集会所等でのエンディングノート等活用した出前講座・出張相談会)②個別相談(窓口での相談対応のほか、終活アドバイザーや弁護士による個別相談で課題整理。)③死後事務委任(身寄りのない方の終末期支援・ずっーとあんしんやすらか事業・やすらかパック事業)
●【ずーっとあんしん安らか事業】あらかじめ貯宅金をお預かりして、契約した方が亡くなった時に預かった金額内での葬儀・納骨・公共料金等の精算や家財の処分を行う事業です。「自分が死亡した後のことが心配」という方、例)・身寄りがいないから、この先不安・亡くなった後、葬儀や家財処分を頼める人がいない・私らしく、人生の最期も自分の意思で決めておきたい等、また定期的な電話連絡や訪問を行なうことで、利用者の日常生活の把握に努めます。※契約者には、必要に応じて書類等預かりや入退院支援(有料)を行ないます。
対象は、1.福岡市内に居住する70歳以上の方(※同居者がいる場合は、すべて70歳以上の親族であること)2.明確な契約能力を有する方 3.原則として子がいない方 4.生活保護を受給していない方。入会金:15,000円(税込)年会費:10,000円/年(税込)。葬儀・納骨時費用公共料金等の精算費用 500,000円~※預託金の1割を執行費用としていただきます。残存家財処分(業者見積額)。書類など預りサービス3000円/年 他入院前支援や退院支援等も、それぞれ有料で行われています。
●【やすらかパック事業】少額短期保険を利用して、月額料金の支払いで死後事務を実施する事業です。「自分が死亡した後のことが心配」という方との生前の契約により、毎月定額の利用料金の支払いのみで、死後事務(直葬※、納骨、家財処分、役所の手続き等)を行なう事業です。※『直葬』とは…通夜・告別式を行なわず、24時間ご遺体を安置後、火葬する形式。
福岡市社会福祉協議会と、①死後事務委任契約を結び利用料を支払っていただくことで、②保険の仕組みを利用し、③福岡市社会福祉協議会が委託した業者が死後事務を実施します。(利用者が亡くなった場合に必要な葬儀や納骨、残存家財の処分などの手続きを行ないます。)利用料金は、毎月の利用料3,000円〜7,500円(申込時の年齢及び健康状態により金額が変わります。)※途中解約した場合、お支払い頂いた利用料の返金はありません。
相談者の事例/71歳の離婚歴ありの単身男性でこども3人とは20年以上音信不通。兄弟とも数年前から音信不通。収入は、年金月約11万円、パート約月8万円、貯金は転居費用程度あり。相談内容として、同居者名義の家に住んでいたが、同居者が急に亡くなり退去せざるを得ず、数日間サウナで寝泊り。家を探すが、保証人も緊急連絡先も頼める親族がいない。《支援として》①緊急連絡先確保『やすらかパック事業』の利用により、NPO法人が緊急連絡先になれる。②『住まいサポートふくおか』の協力店へ依頼。協力店としても死後事務がプラットフォームのサービスとして付いていれば、オーナーを説得し易くなる。➡【結果】死後事務の不安を解消して、家を借りる事ができた。
多死社会とも言われ、身寄りのない高齢者、単身の方が横浜市においても増加しています。これからも増加する傾向も見て取れます。現段階で横浜市における仕組みづくりが重要であると思われます。