市民相談をお受けする中で、質問を受ける事が多いのが、一つとして「年収の壁」についてです。人手不足が言われる中で、確保への支援強化の観点から、公明党の提言で国として10月からスタートしているのが「支援強化パッケージ」です。
パート労働者らの収入が一定額を超えると年金などの社会保険料負担で手取りが減る「年収の壁」への対策として、政府が9月27日に決定し、10月から適用の支援強化パッケージには、“壁”を意識せず働ける環境の整備を訴えた公明党の主張が随所に反映されています。以下はそのポイントを紹介です。
年収の壁を巡っては、配偶者がいる女性パート労働者の約2割が、この壁を意識するなどして就業調整をしている実態があります(2021年厚生労働省調査)。加えて、10月から全国で最低賃金が引き上げられることで、壁を越えないよう仕事量を抑える動きが広がる可能性があり、年末などの繁忙期に企業が働き手を確保できないといった懸念が指摘されてきました。公明党は今年4月、年収の壁プロジェクトチームを設置。関係団体や有識者から現場の課題を聴取し、9月5日には加藤勝信厚労相(当時)に対して、同月中の支援強化パッケージ策定などを提言。
支援策のうち、従業員101人以上の企業で社会保険料の納付が必要になる「106万円の壁」については、手取りが減らないよう賃上げなどに取り組んだ企業に対し、キャリアアップ助成金のコースを新設して従業員1人当たり最大50万円を助成する。使い勝手の良い制度とするよう求めた公明党の主張を受け、1事業所当たりの申請人数の上限は撤廃。提出書類も簡素化して支給申請の事務負担を軽減する。企業が手取りの減少を補う「社会保険適用促進手当」を従業員に支給できる仕組みも新設。
配偶者の扶養から外れて社会保険料を負担する必要がある「130万円の壁」では、残業の増加などで一時的に年収130万円を超えた場合について、公明党が対応の明確化を訴えた結果、事業主側が一時的な増収と証明し、扶養している配偶者が働く企業の健康保険組合などが認めれば、連続2年まで扶養にとどまれることとしました。
一部の企業で配偶者手当が支給されなくなる「103万円の壁」に関しては、手当見直しの手順を示し、企業への働き掛けを行う。政府は今回の支援策を「当面の対応」と位置付けており、25年の年金制度改革に向けて見直し案を検討する方針だ。
支援強化パッケージ決定を受け、党PTの西田座長は「政府には運用に万全を期してもらいたい」と強調。併せて、今後の見直しに向け「壁を意識せずにキャリアを積むとともに、社会保険への加入により老後の安心を得て働けるよう取り組む」と語っています。