「子ども政策の司令塔」として、こども家庭庁がこの4月に新たに発足しました。
こども家庭庁は、少子化や虐待、貧困といった子どもに関する課題に総合的に対応する新しい行政組織としての首相直属の機関として内閣府の外局に設置されました。厚生労働省や内閣府が担ってきた子どもや子育てに関わる主な部署を移管。各省庁より一段高い立場から、子ども政策を一元的に担います。子ども政策に関わる省庁は多く、これらの縦割り行政を解消することが主な目的です。
具体的には、こども政策担当相、こども家庭庁長官の下に、政策立案や情報発信などを行う「企画立案・総合調整部門」、妊娠・出産支援や子どもの安全などを担う「成育部門」、虐待やヤングケアラーなど、さまざまな困難を抱える子どもや家庭を支える「支援部門」をつくられました。
●こども家庭庁の創設が必要な背景には、子どもを巡る環境が一層、深刻さを増している現状があります。例えば、2020年の出生数は約84万人と過去最少を記録するなど少子化対策は待ったなしの課題となっています。
また、児童相談所が対応した虐待件数は、20万件を超え(20年度)、過去最多を更新している。ひとり親家庭では、半数以上が貧困状態にあり、親が育児に関われず、虐待などにつながるケースもある。子どもと家庭を社会全体で支える取り組みが求められています。
一方、子ども政策の充実には、政府の組織の見直しにとどまらず、予算の確保も欠かせません。子育てや教育に関する公的支出である「家族関係支出」を国内総生産(GDP)比で見ると、日本は2%に満たない。3%を超える英国やスウェーデンなど欧州の主要国と比べ、低水準にとどまっています。
公明党は、政府に対し、子育て・教育に関連する予算の大幅な拡充を求めています。
●朝日新聞の天声人語に子ども記者からの質問として以下の記事が掲載をされていました。(以下)
「多子若齢化が進んだら、子どもは貴重な存在ではなくなってしまうのでしょうか」。今月発足したこども家庭庁の記者会見で、小倉将信こども政策相に対する新中学1年生の質問に意表を突かれた。少子高齢化が進むなか、正反対の仮定をするとは…だが、続きを聞いて得心した。「数が多くなると、道具のようにしか社会に必要とされなくなるのではと心配です」。数が増えればいいのか、本当に私たちの声を聞いてくれるのか。根源的な問いかけである▼会見に招かれたのは中1と小6の13人の「こども記者」だ。鋭い質問の数々に、子どもは見抜いていると感じた。「異次元の少子化対策」は、年金などの財源や労働力不足を案じた大人の都合で描いたものだと。会見に招かれたのは中1と小6の13人の「こども記者」だ。鋭い質問の数々に、子どもは見抜いていると感じた。「異次元の少子化対策」は、年金などの財源や労働力不足を案じた大人の都合で描いたものだと…編集者として戦後の児童文学界を牽引した故・松居直さんは62年前、子どもが読みやすいようにと縦型の絵本を横書き、横長にした。本棚に入らないと図書館から言われ、「本棚に本を合わせず本に本棚を合わせてください」と頼んだという。同庁は、子どもに合わせた組織になれるのか。当初は「こども庁」だった名称に「家庭」を入れたのも、行政から独立した第三者機関の設置が見送られたのも、伝統的な家族観を重んじる保守派が抵抗したためだった。会見では、こんな質問も出た。「選挙のためのアピールでなく、私たちが大人になるまで続きますか」…。
●こども家庭庁の設立にあたっての基本方針には、『常にこどもの最善の利益を第一に考え、こどもに関する取組・政策を我が国社会の真ん中に据えて(「こどもまんなか社会」)、こどもの視点で、こどもを取り巻くあらゆる環境を視野に入れ、こどもの権利を保障し、こどもを誰一人取り残さず、健やかな成長を社会全体で後押し。そのための新たな司令塔として、こども家庭庁を創設とあります。
公明党は、政府の「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)などに関する提言の中で「子ども家庭庁」の設置や「子ども基本法」の制定を主張してきました。重点政策でも、子どもの幸せを最優先する社会の実現へ「子育て・教育を国家戦略に」と訴え、同庁の設置を求めてきましたので公約が実現したものでもあります。
まさに天声人語にあるように、器を作るだけで終わらせてはならないと思いますし「こども家庭庁」の予算を十分に確保することはもちろんです、何より大切なのは、魂のこもった施策を実行していくこと。子どもを守るために大人たちが本気になって動き続けることが必要ではないかと思うますので、横浜市においてもこの理念を据えて議会活度を行って参りたいと思います。