横浜市中期計画2022~2025では、「共にめざす都市像」の実現に向け、複雑化・多様化する社会課題や市民ニーズに対応した取組を推進していくために重視していく中の一つに「協働・共創の視点」があり以下の様に掲げられています。
「協働・共創の視点」 複雑化・多様化する社会課題を行政だけで解決していくことは困難であり、これまでも本市では、自治会町内会や大学、NPOなど様々な団体との協働により、魅力ある地域づくりを進めてきました。 こうした協働の取組に加え、企業をはじめとした様々な民間事業者と行政の対話により連携を進め、相互の知恵とノウハウを結集して新たな価値を創造する、行政と民間で「公」を共に創っていく、という「共創」の考え方が重要です。企業のCSR(社会的責任)や経済的な利益と社会的な価値を両立するCSV(共通価値創造)があいまって、あらゆる行政分野で民間の持てるアイデアを発揮し、質の高い公共サービスの提供や横浜らしい地域活性化につなげていきます。(横浜市中期計画)
◎昨今の社会課題は、複雑化、多様化し、行政だけでは成しえない課題が多く、困難な時代に突入しています。変化も激しく従来の常識やこれまでのやり方が通用しない事も多くあるように思います。その様中で、企業は市場メカニズムによって変化を遂げようとしています。渋沢栄一の「論語と算盤」の様に、世界では株主市資本主義からステークホルダー資本主義へとかじを切りつつあると言われます。(参:日経BPソーシャルX)
戦後の経済成長の中、築かれてきた行政の仕組みは、人口ボーナスに支えれて成長し、それに伴って税収が伸びていく時代の中で築かれてきました。大量生産・大量消費のマインドセットで設計されてきました。経済成長の中で、未予測が可能な環境での制度設計がされて来ました。
1990年の高齢者人口は、1489万人で全人口に占める割合は12.1%。2020年には、3602万人と2.4倍に増加。全人口に占める割合は28.6%と3割弱に高まっています。そして、14歳以下の子供の数は2020年に1503万人と1990年の2248万人から745万人も減少。割合で33.1%減。
また、一人暮らしの単独世帯は、1990年の939万世帯から2022年には、2115万世帯と2・5倍の増加です。生涯未婚率では、1990年に男性5.6%、女性4.3%から、2020年に男性26.7%、女性17.5%と推定されています。男性の生涯未婚率は、なんと21ポイント上昇で4人に1人が一生涯独身という事になります。女性も13ポイント上昇。
女性が家事を支える専業主婦世帯も、1990年代の900万世帯前後から、2020年には571万世帯に減少。従来の制度想定では、社会と現状に大きな相違が生じているのは明らかです。家族の構成も生活スタイルも多様なになった時代に、財政に不安を抱える行政が公共サービスで全てのニーズに応えていくのは無理があります。(参:日経BPソーシャルX)
自治体と企業が社会課題やビジョンを共有して、企業等の力も借りながら、公益性のあるビジネスに力でアップデートをしていく事も模索する事が重要です。企業経営においても、社会課題を解決する取り組みの推進が最優先課題になり、企業は社会における存在意義を考えながら経営しなければならないとする、米国発の経営環境の変化という外圧があると言います。ESGやSDGsの観点で、人や自然にやさしくない経営は今や投資家から許されなくなっています。解決すべき課題を抱えた行政と社会課題の解決を収益に変えていく取り組みを強く求められる企業が手を携えながら社会課題解決を軸にした新しい価値に臨んで、新しい生活を創り出していく。まさに社会をよくする方向に向かう「官民共創」の時代が到来しています。《参:同》
企業と自治体でつくる「楽しい仕事」ソーシャルX(日経BP)を手にしましたが、示唆に富んでいると思います。横浜に多様な市民・企業が織りなす市民力があります。協働・共創の視点もしっかりと持ち合わせて、計画の目指す「明日をひらく都市」として、横浜に携わる、全ての人が前を向き、希望にみちあふれた毎日を送れる、世界のどこにもない都市を目指していきたいと思います。