横浜市立小中学校児童生徒に対するゲーム障害・ネット依存に関する実態調査

横浜市学校保健審議会ゲーム障害に関する部会から「横浜市立小中学校児童生徒に対するゲーム障害・ネット依存に関する実態調査」の結果を分析し、考察・提言をまとめた報告書が提出されました。報告書の冒頭では、「総務省の「令和2年通信利用動向調査」によると、我が国でインターネットを利用する個人の割合は 83.4%となり、年齢階層別にみると、13 歳~59 歳の各年齢層で9割を上回る結果となりました。その背景には、スマートフォンをはじめとする ICT 機器の普及とともに、ネットワークを介した様々なサービスが急速に広がってきていることが挙げられます。既にインターネットの利用は人々の生活に欠かせなくなっていると言えます。教育の面から見ても、子どもたちに対して高度な情報化社会の中で生き抜いていく資質・能力の育成が求められています。一方で、そのような身近なインターネット利用環境は子どもたちに大きな影響を与えています。特に近年では、インターネットを利用したオンラインゲームにのめり込み、日常生活や社会生活に著しく支障をきたす深刻な事例が、家庭や学校から報告されるようにもなってきました。」

「このような状況は我が国だけにとどまらず、世界的な社会問題として取り上げられるようになり、2019(令和元)年に採択された世界保健機関(WHO)の ICD-11(国際疾病分類)において、診断カテゴリ「ゲーム障害(「Gaming disorder」)が新設されました。さらに、新型コロナウイルス感染症拡大により、自宅で過ごす時間が増えた子どもたちのゲームやインターネットとの関わり方については、問題意識をもって対応していく必要性が高まってきています。そのような背景の中、横浜市教育委員会からの諮問に応じて、小学生及び中学生のゲーム依存傾向及びネット依存傾向についての実態及び課題を把握し、対策を検討するために本部会が設置されました。 」とあり、この報告書が児童生徒のゲームやインターネット利用の実態、心身の健康への影響や予防のため正しい理解の普及・啓発、予防教育の推進や具体的な対応などの参考として生かされ、児童生徒の健康保持増進に役立てばとしてしています。

この調査は、小学校4年生から中学校3年生までの児童生徒 4,164 名が回答(回収:31.4%)で、ゲーム依存(IGDS-J)、ゲームの使用状況、ネット依存(YDQ)、インターネットの使用状況、生活習慣、抑うつ症状及び健康状態を調査。主な調査結果として、(記者発表資料)・小学校6年生で約4割、中学校3年生で約8割が自分用のスマートフォンを所持・情報通信機器のフィルタリング状況について「フィルタリングをしていない」「分からない」が約3割・オンラインゲームの使用機器は、学年の進行とともにスマートフォンに移行・インターネット利用時の使用機器は、中学校では据え置き型ゲーム機を除き、スマートフォンに集約される傾向があるとの事。

【ゲーム依存傾向】・オンラインゲームをしたことがあると回答した児童生徒のうち 12.6%が該当(当該調査の全回答者に占める割合は8.9%)
・ゲーム依存傾向は、女子と比較すると男子の割合が高く、また、男子の小学校4年生及び5年生で割合が高い。・抑うつ症状がある児童生徒は、抑うつ症状がない児童生徒に比べ、ゲーム依存傾向の割合が3.27倍
【ネット依存傾向】・動画サイト、SNSを利用したことがあると回答した児童生徒のうち 10.0%が該当(当該調査の全回答者に占める割合は9.4%)
・ネット依存傾向は、男子、女子ともに中学校2年生の割合が最も高い。・抑うつ症状がある児童生徒は、抑うつ症状がない児童生徒に比べ、ネット依存傾向の割合が4.65倍 

【ゲーム依存傾向・ネット依存傾向共通】・平日及び休日の就寝時刻並びに平日の起床時間が遅く、習い事、塾、部活動をしないほどゲーム依存傾向又はネット依存傾向が認められた。
・両方又はどちらか一方の依存傾向のある児童生徒は、「家ではホッとできる」、「親にはいろいろ相談できる」、「学校は楽しい」、「何でも話せる現実の友達がいる」に対し、否定的に答える者が多い。また、小学生、中学生ともに、生活習慣の悪化(睡眠習慣、運動習慣)と深い関連が見られた。との事。

横浜市としてこの提言を踏まえ、教育委員会事務局内にプロジェクトチームが立ち上げられて、検討を進められていく事になります。

 

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