プラスチックは、「合成樹脂」とも呼ばれ、もともと自然界にはなかったものです。主に炭素と水素からなる高分子化合物で、石油や天然ガスなどから作られます。日本では、原油を精製して作られる「ナフサ(粗製ガソリン)」を原料とするものがほとんどです。
熱や圧力で、思うとおりの形に作れる物質として、自動車や家電、フィルム、衣服、医療機器、漁具等、その利便性から短期間に社会に浸透し、世界の経済成長や社会的課題の解決に貢献してきました。しかし、プラスチックは金属等の他の素材と比べて廃棄後に有効利用される割合が世界全体で見て低く、不適正な処理が行われ続けた結果、地球規模で環境が汚染され、その進行が懸念されており、廃プラスチックの適正処理や3R 等の着実な推進が求められています。
2016年のダボス会議(世界経済フォーラム)では、「2050 年には海洋中のプラスチックの量が魚の量以上に増加する」という試算が公表されました。海洋プラスチック問題については、G7 や G20、国連環境計画、東南アジア諸国連合等においても議論がされており、国際連携、協力の必要性の認識が高まっています。また、SDGs では、ゴール 12 に「持続可能な消費・生産パターンの確保」が、ゴール 14 に「海洋・海洋資源の保全」が掲げられました。
一般的に使用されているプラスチックは生分解性が低く、一旦海洋に流出すると、様々な環境汚染を引き起こします。特に問題視されているのは、生物への影響です。海鳥や海洋生物による誤飲や絡まりなどの物理的な異物であることによる影響のほか、化学毒性の影響も指摘されています。
横浜市では、「ヨコハマ3R夢プラン(横浜市一般廃棄物処理基本計画)」に基づき、特にリデュースに重点を置いた施策を実施してきており、2019 年には市民や事業者の方の具体的な行動の契機となるよう、横浜市が実施する取組等をまとめた「よこはまプラスチック資源循環アクションプラグラム」を公表。
このアクションプログラムは、国の『プラスチック資源循環戦略』の内容を踏まえ、プラスチック問題の解決に向けた取組を通じて、天然資源の有効利用(資源循環による環境負荷の低減及び化石燃料等の枯渇性資源の確保)、温室効果ガスの排出抑制(地球温暖化対策)、海洋プラスチックゼロエミッション(海洋流出対策)に横浜市が貢献していくことをねらいとしています。
特定の取組に焦点を絞るのではなく、様々な取組を総合的に進めていくことが重要とし、①資源循環、②海洋流出対策、③連携協同の3つを重点戦略とし、これらを着実に推進していくため7つの施策に基づき、具体的な取組を進めていくための 35 のアクションを設定しています。
また、日本では 1980 年代から行政や研究者等による海洋ごみの実態調査等が数多く始まり、その後2000年頃より日本海側海岸への他国からのごみの漂着が年々増大。日本は、G20 大阪サミットにおいて、議長国として海洋プラスチックごみ対策に世界中挙げての努力が必須という共通認識を作る必要性がありました。このため、日本が新たな汚染を生み出さない世界の実現を目指し、率先して具体的な対策を打ち出し世界をリードしていくという姿勢を示すため、前述のプラスチック資源循環戦略と同じ 2019 年 5 月に海洋プラスチックごみ対策アクションプランを策定。
横浜市の沿岸におけるマイクロプラスチックの漂着状況調査では、2017 年度に、横浜市内の沿岸6地点(砂浜や干潟など)において、マイクロプラスチックの漂着状況を調査。その結果、沿岸6地点の全てでマイクロプラスチックを確認。2018 年度からは、野島海岸で調査を実施しています。野島海岸で見つかったマイクロプラスチックのほとんどは破片状のプラスチックであり、特徴的なものとして、発泡スチロール破片や人工芝破片、ペレット、ポリスチレン粒子が見つかりました。(資料:市会ジャーナルNo.200)
SDGsでは発展途上国のみならず,先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なものであり,日本としても積極的に取り組んでいます。地球上の「誰一人取り残さない」ことを誓っています。地道な日常の一人ひとりの生活の取り組みから始まります。