データへルスを活用した疾病予防・健康づくりの取組が注目をされています。データヘルスとは、医療保険者が健康・医療情報を活用・分析したうえで行う、加入者の健康状態に即し たより効果的・効率的な保健事業を指します。横浜市におけるデータヘルス計画は、平成 29 年3月に第1期計画が策定され、横浜市におけ る今後の保健事業の方向性を定めています。
日本人の死因の6割は、生活習慣病(悪性新生物、心疾患、脳血管疾患、糖尿病 等)が占めており、生活習慣病の発症や重症化は、加齢や生活習慣等の影響を大いに受け ることから、今後、更なる高齢社会を迎える日本にとって、年々増加する医療費の抑制は、喫 緊の課題となっています。 そうした急速な高齢化や疾病構造に対応した健康施策が求められる中、国では、「日本再興戦略」において、医療保険者に対し「被保険者 の健康保持増進」と「医療費の適正化」のための事業計画として「データヘルス計画」の策定を求めました。
また、社会保障の主要な分野のひとつである健康・医療・介護分野は、革新 的な技術の導入による成長余力の高い分野として注目されると同時に、診療報酬明細書(レ セプト)の電子化など、ICT化による情報連携や情報提供の迅速化・効率化などが期待され ています。
データヘルス計画の最大のねらいは、やみくもに保健事業を実施するのではなく、レセプトや 健診情報等のデータを活用・分析して、効率的・効果的なアプローチをすることで、保健事業の 実効性を高め、「健康寿命の延伸」と「医療費の適正化」を同時に図ることにあります。
横浜市における平成 26 年度の年間医療費総額は約 2,818 億 6 千万円、一人当たり医療 費は約 32 万円となっています。医療費総額は増加の一途をたどっており、一人当 たり医療費も増加し続けています。 また、医療費は20~24歳で最も低くなった後、年齢が高くなるにつれて増加しており、特に 60 歳以降は急激に増加。横浜市における一人当たり医療費は、人工透析の有無により年間 500 万円以上の差が出 ています。人工透析の原因では糖尿病が最も多いと言われていますが、横浜市の レセプトデータでも、新規透析患者のうち 89.7%で糖尿病が併発していました。この ことからも、人工透析患者の減少には、糖尿病予防が重要なことが分かります。
横浜市国民健康保険では、内臓脂肪の蓄積に起因する高血圧症、脂質異常症、糖尿病等の生活習慣病をみつけ、生活習慣の改善、病気の予防を目的とする「特定健康診査」を実施しています。
横浜市における平成 24 年度から 26 年度にかけての特定健診受診者数は年々増加し ていますが、特定健診受診率は、全国、神奈川県、政令市平均と比較して低い 水準にあり、平成 26 年度時点で全国と 12.6 ポイントの開きがあります。特定健診未受診者のうち 61.4%が生活習慣病で医療機関を受診しています。 特定健診の受診率向上には、未受診者の約6割を占めている生活習慣病治療中の人の 受診が欠かせません。 また、特定健診受診者のうち、生活習慣を改善済み又は改善の意思のある人が 76.9%、 保健指導を希望する人が 50.5%と、過半数の人が指導を希望していることから、特定保健 指導の潜在的なニーズは高い状況にあります。(市会ジャーナル168)
人生100年時代の「健康」のあり方について、様々な取組みが必要です。