「特別自治市」制度における区のあり方

横浜市は、人口減少や少子高齢化が進行する中、市民サービスの向上と日本経済の活性化を実現するために、市と県の二重行政を完全に解消する「特別自治市」の実現を目指しています。

その中で、特別自治市大綱(平成25年3月策定)で特別区の設置を目指さないとしています。特別区とは、東京にみられる都の区のような自治体で、区長も公選制で市民の代表としての区議会及び議員も有するイメージとなります。

これまで、横浜市では「横浜特別自治市大綱」の考え方を基本として、市会においての議論も踏まえ、「特別自治市」制度における区のあり方を取り纏めています。

横浜市には、18の区がありますが、大都市行政を円滑に推進するために設けられた行政区制度のもと、昭和14年に確定した市域を保ちながら、77年以上もの間、現在の市域を前提とした行政運営を行い、一体性を重視して発展してきました経緯があります。そして、東京都と近接し、首都圏の一翼を担い、幹線道路、地下鉄、港湾などの広域インフラや産業政策などの広域行政も市内で完結している特徴があります。

また、横浜市は、高度経済成長期に人口が急増したため、学校や下水道などの社会資本整備を積極的に進めるとともに、全国の指定都市に先駆け、区民に最も身近な区役所機能強化の取り組み、行政サービス向上に資する取り組みを継続して進めてきています。例えば、平成6年「地域総合行政機関としての区役所の実現」を図るべく、区へ保健所を編入。

「個性ある区づくり推進横浜市会議員会議」も設置され、平成16年には、市立保育所を区へ移管。平成17年には、土木事務所も区へ編入。区役所は市民サービスに直結する部門を強化。他にも市長から区長への事務委任も積極的に推進し、平成24年6月現在、82事務が区長に委任されています。その時点では、2番目に多い福岡市の58事務と比べても格段に多く、最も少ない都市の10倍以上で、指定都市の20市の中でも際立って多い状況です。

さらに、大都市のスケールメリットを生かしながら区局の役割分担や連携などにより、「ヨコハマG30」や「保育所待機児童ゼロ」等の施策を達成。

業務の効率化に効果のある業務については、区から局への事務の集約化を図るなど、効率的な行政運営を進め、平成24年度現在、人口1,000人あたりの職員数は5.32人と指定都市で最小です。

よって以上の様なことも踏まえ、現在の横浜市の一体性や、区局連携による効果的かつ、きめ細やかな大都市行政を特別自治市でも生かすため、特別自治市内部の自治構造は、特別区のような新たな自治体をつくるのではなく、法人格を持たない区(行政区)とするとしています。

 

 

 

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