横浜市繁殖センターは、平成11年4月24日、ズーラシアの敷地内に開設た施設です。ここでは、横浜市の3動物園及び大学等と連携して、生物多様性の保全を目的とした研究が推進されています。
敷地内には希少野生動物を飼育する動物舎と、野生動物に関する様々な研究を行う研究棟、及びよこはま動物園の動物を診療するための動物病院などが建てられています。希少野生動物の飼育・繁繁殖センターの飼育棟では、絶滅に瀕する野生動物を保存していくため、厳選された動物を繁殖させ、飼育下で継代的に維持していくことを目指しています。
現在は、マレーバクやカンムリシロムク、カグー、ホオアカトキ、コンゴクジャクなどの希少野生動物の飼育・繁殖に取り組んでおり、飼育技術の向上を図るための調査や、野生動物の生態を解明するための基礎的な研究などを行っています。繁殖と、種の保存に関わる調査・研究を目的として作られた施設で、通常一般には公開されていません。
また、 このような施設が動物園のために作られたのは国内では初めての試みです。
100年後、200年後を見据えて、絶滅が危ぶまれる動物の配偶子や遺伝子、体細胞などの凍結保存も始めています。凍結保存は、野生動物の配偶子等を-196℃の液体窒素に保存されています。
また、平成15年3月に、横浜市はインドネシア共和国とカンムリシロムクの保全に協力する合意文書を締結し、これを基に平成16年4月から国際協力機構(JICA)草の根技術協力事業の採択を受けています。その後、毎年、研修員の受け入れや専門家の派遣を行い、インドネシアにおける保護活動や飼育・繁殖、環境保全に関する技術協力を行っています。また、これまでに125羽のカンムリシロムクを生息地であるバリ・バラト国立公園の繁殖施設や同鳥の血統を管理しているタマンサファリ動物園へ送りました。
カンムリシロムクは、インドネシアのバリ島にしか生息しない希少なムクドリの仲間で、野生での絶滅が危惧されています(平成25年度3月現在 生息数20羽以下)。横浜市繁殖センターではカンムリシロムク保全のため、飼育下繁殖に積極的に取り組み、現在およそ100羽を飼育しています。
そして、ニューカレドニア南部領土政府からは、平成元年5月に1ペアのカグーがニューカレドニア南部領土政府から横浜市に寄贈されたのを機に野生動物に関する交流合意書を締結。ニューカレドニアの固有種であるカグーやその他の希少動物の保全に関する学術交流と動物交換を行っています。
日本の希少動物の保全のみならず、国際的な絶滅のおそれのある野生動物の飼育下繁殖に取り組むとともに、野生復帰活動や国際保全計画への参加等、国際貢献が進められていました。