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“人生のエンディング”について

ࣧࣧ孤独死で身元がわからなかったり、引き取り手がなかったりする無縁遺体は、独居高齢者や親族関係の希薄化に伴う引き取り拒否の増加で、増えている。総務省が初めて行った調査によると、2018年4月~21年10月で約10万6000人。読売新聞が今年、政令市と道府県庁所在市、東京23区に行ったアンケートでは、22年度までの5年間で3割増加していた。これは、読売新聞の11月4日付の掲載記事です。

横浜市における「身寄りのない又は遺族が引き取らない方の遺骨」の保管数は、平成20年度ー585 平成25年度ー835 平成30年度ー1090 令和元年度ー1192 令和2年度ー1174 令和3年度ー1351 令和4年度ー1460との事です。無縁遺体は死亡地の市区町村が墓地埋葬法などに基づき、火葬。自治体では火葬の前後に親族の連絡先を調べ、遺体や遺骨、金品の引き取りを依頼。身元不明や親族から引き取りを拒否された場合は火葬後、遺骨や金品を保管。故人が残した現金があれば、火葬費に充てますが、ない場合は公費で支出しています。

読売新聞の記事では、一部自治体へのヒアリングでは、火葬の立ち会いや連絡先を調査する負担の大きさ、遺骨の保管場所の不足を訴える声が上がった。「火葬を知らなかった親族とトラブルになるリスクがある」「自治体に任せれば低額で火葬してもらえると誤解している場合もある」などの意見も出たとのこと。厚労省は今後、専門家や葬儀業者へのヒアリングを実施。さらに課題を洗い出したうえで、統一的な指針を作ることや、自治体に地域の葬送の慣習に応じたマニュアルの作成を促すことなどを検討するとしています。

昨今、高齢者のみならず、廻りを見渡しても単身世帯が増加しています。核家族化と少子高齢化で一人暮らしの65歳以上の方が増加。身寄りのない高齢者は民間の賃貸住宅の入居や、介護施設に入る時も身元保証人を求められます。また、高齢者への支援の多くは、介護施設職員やケアマネ、病院スタッフが職務外のボランティアで行う「シャドウワーク」として担っているのが現状です。自分の意思決定の完結を最後は誰かに託さなければなりません。家族を前提としない仕組みをどうつくり込むのかが大きな課題です。

月刊潮12月号では、元気なうちに考えておくべき“人生のエンディング”と題して田原総一朗氏と(株)OAGウエルビーイングの黒澤史津乃さんの対談をされています。黒澤さんは、横浜市も公明党でもお世話になっている方です。人生のエンディングを託す相手を託す事が大切です。子どもがいなければ、仲の良い兄弟姉妹に後事を託す選択肢としてあります。現代では、それも叶わない事や、少し幅を拡げて遠縁の親戚等の検討をしても、遠縁の親戚の面倒などみられないと拒否されるケースがままある時代です。

第三者の終身サポート事業者や専門家の家族に代わって意思決定を支援し、実行する権限を委譲する取り組みが始まってもいますが、それなりの費用も要します。今回の対談記事でも話されていますが、日本人のボリュームゾーンは、資産に余裕があるわけではないが、生活保護を受給してもいない、という中間層への対応が課題です。

厚生労働省が公的支援の仕組みが必要と判断をして、二つのモデル事業を始めています。 一つは、市町村や社会福祉協議会などに相談窓口を設け、「コーディネーター」を配置するもの。もう一つの事業では、市町村の委託、補助を受けた社協などが、介護保険などの手続き代行から金銭管理、緊急連絡先としての受託、死後対応などをパッケージで提供。国による補助で少額でも利用できるようにするものです。 

横浜市では、横浜イノベーション推進機構という一般社団法人が青葉区内にある分譲型「すすき野団地」で相談・調整窓口が地域密着型で始まりました。団地の中で近所づきあいがあって、見守りあいもある様な団地です。しかし、入院したりお亡くなりになったりしたら「身寄りのない患者」「引き取り手のない患者」になります。そこで、「すすき野団地」で家族を前提としない地域包括ケアを試みられています。

家族とか後見人がいない人に「アドボケーター」(権利の擁護者、代弁者)という専門職が担当して、本人の意向や現状の聞き取りをしながら、誰に何をどう託すのか一緒に検討するというものです。(潮記事)

やはりこの課題は、まったなしの課題です。

 

 

 

 

 

 

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