昨年10月に横浜市政策経営局が住民基本台帳に基づいて、本市の人口や世帯数に関する最新のデータが公表されました。令和6年9月30日時点での本市の総世帯数は1,885,992世帯。そのうち一人暮らしの世帯が864、800世帯と、総世帯数の45.1%を占めています。現在、全世帯のうち、ほぼ半数は、単身世帯、いわゆる「おひとりさま」です。
なかでも65歳以上の単身世帯の数は市内全体で302,390世帯と、遂に30万世帯の大台に乗り、横浜市にお住いの65歳以上の高齢者(941,316人)のうち約3割が一人暮らしという結果になっています。そして高齢化と単身化が急速に進む中で、市内の各地域の一人暮らし高齢者の方々は、今後もさらに増え続けて行くと推計されています。家族の在り方ももはや昭和でない」サザエさん一家のように3世代が一つ屋根の下に同居し、嫁が年老いた舅や姑の身の回りの世話をすることが当たり前とされていた昭和の時代の家族のありよう、もはやありません。
そうした中、新たな社会的セーフティネットを紡いでいくことが令和の時代の横浜市にとって急務ではないかと考えます。故に、我が党は、身寄りのない高齢者を中心とした市民の孤独・孤立の問題を、取り上げてきました。また市民の孤独・孤立を防ぎ、誰もが安心して暮らすことのできるセーフティネットは行政だけで築けるものではなく、地域住民もNPOも、そして企業も連携しながら、様々な公民の主体が共に手を携えて創り上げていかなくては成しえないと思います。
先日、危機の時代を生きる 希望の哲学として、放送大学・千葉大学名誉教授で社会学者の宮本みち子先生へのインタビュー記事が聖教新聞に掲載をされていました。そこでも、「一人で生きる」というライフスタイルが、今やマイノリティーとはいえなくなっていることを実感。東京23区では、2020年時点でミドル期シングルが人口の3割弱を占めている。その約半数が地方出身で、仕事を求めて東京に出てきた人たちが、そのまま単身で中年期を迎えている姿が浮かび上がった。シシングルの比率は、男性が女性より多いのですが、社会的なつながりが希薄な点が特徴です。また、女性の方が、将来に向けた準備を着実に進めている傾向も明らかに。かつて当たり前だった「家族の支え」が失われ、病気や貧困といった困難に対して、十分なセーフティーネットを持たない人が増えることは懸念点です。こうした状況は、やがて地方にも波及し、社会のあり方そのものに影響を及ぼす可能性があります。と話されています。
また宮本先生は、『「結婚して家庭を築く」という人生モデルは当たり前でなくなり、心と暮らしのよりどころであるはずの「家庭」を、誰もが当然のように手に入れることができなくなっています。極めて重い問題です。結婚することが人として当然の道だと言うつもりはありません。人生を選択できる自由度が高まったことは、人々のウェルビーイングを高めていると思います。では何が問題かといえば、一つは、結婚して家庭を持ちたいと思っても出会う機会がない状態にあることや、仕事や経済的条件が整わないために早々に結婚を諦めている男性が少なくないことです。「経済力が十分でなければ家庭を持つべきでない」といった男性の思い込みも根強いです。共に暮らす人を持てないままシングルになってしまう人が多い現状は良いこととはいえません。もう一つは、現行の結婚制度が、人々の感覚に合致しなくなっていて、家庭を持とうという意欲をそいでいることです。』と。そして、続けて
『そうした状況の中で、希望ある未来を実現する鍵は、まず何より「若者」の支援にあります。今こそ、現役世代(主に20代から50代)の可能性を最大限に引き出す包括的な支援を、政策の中核に据えるべきです。社会の担い手である現役世代が生き生きと活躍し、未来に希望を抱ける社会を築くために、その自立と成長を後押しする政策推進を強く期待します。』とお話しされています。こうした現状を踏まえた将来への視点で様々と考え、実行する事が必要です。