横浜美術館が全館リニューアルオープンをしました。先日、横浜市会として横浜美術館リニューアルオープン記念展にお伺いをしてきました。 展示は「おかえりヨコハマ」とのことで“横浜”をキーワードに、美術コレクションを立ち返る展覧会となっています。当日は、蔵屋美香館長が生まれ変わった館内の特徴や記念展について説明してくださいました。
横浜美術館は、1989年11月3日に開館。迫力のあるシンメトリーな外観と、吹き抜けの開放的な「グランドギャラリー」が特徴。9つの展示室のほか、多彩なワークショップを行うアトリエ、約24万冊の蔵書がある美術図書室なども揃う、国内でも有数の規模を誇る美術館です。国際的な港町、横浜にふさわしい美術館として、開港以降の近・現代美術を幅広く扱い、14,000点を超える(2024年3月現在)所蔵品からテーマを立てて紹介するコレクション展や、バリエーションに富んだ企画展を開催しています。(横浜美術館HP参照)
今回のリニューアルでは、エントランスホール「グランドギャラリー」を「じゆうエリア」を拡充。展覧会の観覧者以外でも無料でくつろげるスペースが増設されています。建物や作品を見ながら併設のカフェの飲み物を座って飲むことができる場所や子どもが靴を脱いで楽しめるエリア、彫刻の近くに座ってくつろげる大階段などが作られています。
「おかえりヨコハマ」のタイトルは、「3年ぶりに横浜美術館が帰ってきた」という意味と、「異なる時代にいろいろな地域からやってきて横浜に暮らした人々、また現在暮らす様々人たちを、あらためて『おかえり』と言って迎え入れたい」という希望が込められているとの事。
新しい船出となるこの機会に、当館コレクションの名作の数々を新たな視点で紹介され、加えて、横浜市歴史博物館、横浜開港資料館、横浜都市発展記念館、横浜市民ギャラリーなど、主に市内の施設が所蔵する、コレクションへのまなざしを豊かにしてくれる作品や資料も展示されています。
作品を読み解くための鍵は「横浜」。そしてリニューアル後の横浜美術館の活動理念の柱である「多様性」。今回は「多様性」という観点で、横浜にまつわる作品の中でこれまであまり注目されることのなかった存在―開港以前の横浜に暮らした人びと、女性、子ども、さまざまなルーツを持つ人びとなど―にあらためて光をあてているとの事です。これにより、おなじみの作品や横浜の歴史にたくさんの新しい発見をもたらします。「こうしてローカルの歴史を深掘りすると、世界の歴史もきっと違って見えてきます。」とは藏屋館長。会場内には、子どもも一緒に楽しめる「子どもの目でみるコーナー」を設けられ、横浜美術館の活動の柱のひとつである教育普及事業も開催されます。