◎新型コロナ感染症の拡大が過去にない大きな経済危機となっているため、緊急税制改正がされています。非常事態下で雇用を維持していくために、会社からできる限り資金を流出させない事が目的です。
新型コロナの影響は、特定の地域が大きな被害に遭う自然災害と異なり、日本経済の全体に及び、ほぼ全業種で深刻な経営状況に陥っています。よって、緊急税制改正は、業界の枠組みを超えた横断的な救済の実現が目指されました。特に中小企業への影響は深刻で、多くの企業の先には守らなければならない家庭があることから雇用の維持が重要です。
緊急事態下で必要なのは、企業の手持ち資金を手元に残すための施策です。納税猶予や税負担の軽減によって、手元に資金が残れば給与として支払うこともできます。公明党が強く主張した「納税猶予の特例」も導入されています。通常の猶予では、後日追加的に税金の支払いを求められる延滞税や担保の提供や、手元に残せる事業資金は1カ月程度とされますが、今回の「特例」では、納税が困難な事業者が対象なので、向こう半年間の事業資金を手元に残すことができます。
そして、「特例」には無担保かつ延滞税をなくし、1年間の納税猶予期間が設けられました。これは、異例の処置で基本的に所得税や法人税、消費税、固定資産税等と言った国税、地方税の全ての税目が対象です。同様に社会保険料の支払いも、猶予が可能です。
納税猶予の特例を受けるための条件は、1カ月の売り上げが前年同月比で概ね2割以上の減。申請書、収入がわかる資料が必要ですが、提供が困難な場合は、口頭でも可能との事。黒字企業でも利用でき、積極的に雇用が維持されることが期待されます。また、「猶予」でなく「免除」については、赤字企業でも税負担が必要な固定資産税と都市計画税について、本年2月~10月までの任意の連続3カ月の売上高が前年同期間と比較して、30%以上減少している企業は21年度の同税は半額免除として、50%以上減少した企業は全額免除となるとの事。これは、前例のない措置です。
納税猶予の特例による経済効果は、無利子・無担保の融資を約26兆円分行う事に匹敵します。
また、中小企業の「テレワーク」の実現のための必要な通信設備や機器導入については、即時償却か7%の税額控除ができます。さらに、横浜でも数多くのイベントが自粛されていますが、スポーツチームやアーティストへの財政支援の観点から、購入したチケットを払い戻ししない場合、購入者が寄付金控除を受けられる初めての制度も新設されました。文化芸術への税制面での支援です。(公明174 西田実仁 公明党税制調査会長 新型コロナ収束への方策)
何よりも、新型コロナ禍が一刻も早く収束に向かう事が望まれます。