大都市の持続可能性について

大都市の財政の持続可能性は、大都市経営の前提になります。 大都市財政の危機要因は、複雑多様であり、人口減少、高齢化の他多様な要素があります。財政の現状を明晰に認識した上で現実的で妥当な方策を練り上げていく必要があります。

そもそも大都市財政は、国の財政と密接に結びついていますが、根幹のこの国の財政は主要国中で最悪の状況とも言える状況です。地方自治体は国家財政の持続可能性を注視しながら、財政規律の確保を常に意識する事が求められます。人口減少と高齢化は、大都市財政にも大きな影響を与えることも確かです。生産年齢人口の減少により、税収が減少することとなる一方で、老年人口の増大により、社会保障関連経費は増加の一途を辿ります。大都市には、孤独と貧困との闘いの舞台でもあります。財政面では、生活保護、国保、介護保険の扶助費の増加への影響も与えます。

道路、橋梁、学校施設、多様な公共施設、下水道設備等、大都市の抱える大規模なインフラが更新時期を迎えつつある中で、長寿命化や更新を行う必要があります。毎年度の決算は、黒字でも実質収支の黒字が財政の健全性を意味するものではありません。見かけ上の黒字だけでなく、将来の負担の膨張を見据えねばなりません。

受益と負担の関係を意識した事務事業の見直しと住民の負担能力を勘案した上で、適切な負担を求めざるを得ない事にもなります。また、財政の持続可能性は、収支均衡のみを達成する事のみならず、年を成長させることにより税収を増加させ、その果実を、市民、企業が分かち合い、自治体もその果実を活用活用して、将来の成長に結びつくような投資を行い、持続可能な都市の成長を実現していく事に繋がらなければなりません。税収の確保は重要な課題です。国・県・市が税源の“とりあい”に終始するのでなく、国と地方が連携して、生み出す、確保する、成長するという、財源確保策を構築する事が重要です。

著書:持続可能な大都市経営 神戸市の挑戦 (久本喜造・増田寛也)には、以上(骨子)の他、気になる研究項目として、以下の事も示されていましたので、今後の研究としたいと思います。

例えば、国税レベルでの金融資産への課税強化及びその税収の一定割合の地方交付税原資へ参入ができないか。現在の国税は所得税及び法人税を中心とする課税体系であり、金融資産への課税にはまだ十分に踏み込んでいない。グローバル化が進展する中、国境を越えた金取引が活発に行われている中で、国内金融市場においても、クラウドファンディングなど国内資金循環の媒体の変化など、企業内外の資金の流れが多様化しています。マイナンバー制度を活用して、個人及び法人の金融資産をを把握した上で、国税として課税。そしてその国税として徴収した金融資産課税額の一定割合を地方交付税原資として確保する仕組みを構築する事が、国及び地方の税財源の滋養に資することとなるのではないか。このような仕組みを通じて、東京に一極集中する財源の地方への再分配を実現するとともに、東京23区と他の指定都市との財政力格差の是正に寄与することが期待される。

横浜市では、特別自治市大綱が作成をされ困難を国・県・市が一丸となって取り組む案件となります。

 

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